【新書大賞2024】受賞作を一挙にご紹介。

こんにちは。風読珈琲店のカエデと申します。

先日新書大賞2024が発表され、今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』が大賞を受賞しました。

そこで本記事では、新書大賞を受賞した上位10作品を一挙にご紹介いたします。

本記事が、生活を彩る新たな一冊と出会うきっかけとなれば幸いです。

中央公論による新書大賞発表ページはこちら

新書大賞とは?

新書大賞とは、中央公論新社が主催する、1年間に刊行された新書からその年の最も優れた一冊を選ぶ賞です。毎年、多くの有識者や業界関係者が投票して受賞作品が決定され、受賞作品は出版界や一般読者に大きな注目を集めます。

今年で第17回目を迎える新書大賞2024では、2022年12月から2023年11月までに刊行された1200冊以上の新書を対象に、107人の有識者、書店員、各社新書編集部、新聞記者など新書に造詣の深い方々が投票し、今井むつみ/秋田喜美著『言語の本質』が大賞を受賞しました。

過去の主な受賞作

大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(新書大賞2020第1位)

堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』(新書大賞2009第1位)

藻谷浩介『里山資本主義』(新書大賞2014第1位)

斉藤幸平『人新世の資本論』(新書大賞2021第1位)

新書大賞2024受賞作品紹介

第1位 今井むつみ, 秋田喜美『言語の本質』

日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語。
なぜヒトはことばを持つのか? 子どもはいかにしてことばを覚えるのか? 巨大システムの言語の起源とは? ヒトとAIや動物の違いは?

言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることである。
鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。

第2位 東浩紀『訂正する力』

日本にいま必要なのは「訂正する力」です。保守とリベラルの対話にも、成熟した国のあり方や老いを肯定するためにも、さらにはビジネスにおける組織論、日本の思想や歴史理解にも、あらゆる局面で「訂正」は大きな「力」になります。人が生きることにとって必要な哲学を実践的に示した決定版です。

第3位 村上靖彦『客観性の落とし穴』

「エビデンスはあるんですか」「数字で示してもらえますか」「その意見って、客観的なものですか」 
数値化が当たり前になった今、こうした考え方が世にはびこっている。その原因を探り、失われたものを明らかにする。 

第4位 三牧聖子『Z世代のアメリカ』

機能不全に陥る民主主義、「保守」化する社会、脆弱な社会保障、拡大する経済格差――
戦後国際秩序の盟主としてのアメリカが今多くの難題を抱え、転換期を迎える中で、
人口の2割を占める米国のZ世代は、社会変革の主体として注目を集めている。

テロとの闘いの泥沼化や金融危機など、自国の「弱さ」を感じながら育った彼らにとっては、
機能不全に陥る民主主義、拡大する経済格差、脆弱な社会保障こそがアメリカの「現実」だ。
長期的には政治・外交にも影響を及ぼすと見られる彼らは今、
どのような価値観や対外政策への志向を持ち、アクションを起こしているのだろうか?

米中対立、反リベラリズムからジェンダー平等、レイシズムまで。
気鋭の国際政治学者が、アメリカの今と未来をさまざまな角度から描き出し、
私たちの社会や政治の想像力を広げる渾身の書。

第5位 鈴木大介『ネット右翼になった父 』

ヘイトスラングを口にする父
テレビの報道番組に毒づき続ける父
右傾したYouTubeチャンネルを垂れ流す父

老いて右傾化した父と、子どもたちの分断
「現代の家族病」に融和の道はあるか?

ルポライターの長男が挑んだ、家族再生の道程!

<本書の内容>
社会的弱者に自己責任論をかざし、
嫌韓嫌中ワードを使うようになった父。
息子は言葉を失い、心を閉ざしてしまう。

父はいつから、なぜ、ネット右翼になってしまったのか? 
父は本当にネット右翼だったのか?
そもそもネトウヨの定義とは何か? 保守とは何か?

対話の回復を拒んだまま、
末期がんの父を看取ってしまった息子は、苦悩し、煩悶する。
父と家族の間にできた分断は不可避だったのか? 
解消は不可能なのか?

コミュニケーション不全に陥った親子に贈る、
失望と落胆、のち愛と希望の家族論!

第6位 周司あきら, 高井ゆと里『トランスジェンダー入門』

トランスジェンダーとはどのような人たちなのか。
性別を変えるには何をしなければならないのか。
トランスの人たちはどのような差別に苦しめられているのか。
そして、この社会には何が求められているのか。
これまで「LGBT」と一括りにされることが多かった「T=トランスジェンダー」について、さまざまなデータを用いて現状を明らかにすると共に、医療や法律をはじめその全体像をつかむことのできる、本邦初の入門書となる。
トランスジェンダーについて知りたい当事者およびその力になりたい人が、最初に手にしたい一冊。

第7位 辻田真佐憲 『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』

神武天皇、教育勅語、万世一系、八紘一宇……。
右派が誇り、左派が恐れる「戦前日本」の本当の姿とは?
「国威発揚」の物語を検証するーー!

「筆者はここで、同じく昨年、凶弾に斃れた安倍元首相が唱えた「日本を取り戻す」「美しい国」というスローガンを思い出さずにはおれない。それはときに戦前回帰的だといわれた。
だが、本当にそうだっただろうか。靖国神社に参拝しながら、東京五輪、大阪万博を招聘し、「三丁目の夕日」を理想として語るーー。そこで取り戻すべきだとされた「美しい国」とは、戦前そのものではなく、都合のよさそうな部分を適当に寄せ集めた、戦前・戦 後の奇妙なキメラではなかったか。
今日よく言われる戦前もこれとよく似ている。その実態は、しばしば左派が政権を批判 するために日本の暗黒部分をことさらにかき集めて煮詰めたものだった。
つまり「美しい国」と「戦前」は、ともに実際の戦前とはかけ離れた虚像であり、現在の右派・左派にとって使い勝手のいい願望の産物だったのである。(中略)
このような状態を脱するためには、だれかれ問わず、戦前をまずしっかり知らなければならない。」 (「はじめに」より)

第8位 小泉悠『ウクライナ戦争』

2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し、第二次世界大戦以降最大規模の戦争が始まった。国際世論の非難を浴びながらも、かたくなに「特別軍事作戦」を続けるプーチン、国内にとどまりNATO諸国の支援を受けて徹底抗戦を続けるゼレンシキー。そもそもこの戦争はなぜ始まり、戦場では一体何が起きているのか? 数多くのメディアに出演し、抜群の人気と信頼を誇る軍事研究者が、世界を一変させた歴史的事件の全貌を伝える待望の書き下ろし。

第9位 三浦まり『さらば,男性政治』

男性政治とは、男性だけで営まれ、男性だけが迎え入れられ、それを当然だと感じ、たまに女性の参入が認められても対等には扱われない政治である。ジェンダー平等な社会を目指す推進力が生まれているが、男性政治の最後の砦、永田町がその流れを阻んでいる。こうした日本の現実を超えて、女性も、男性も、マイノリティも、誰もが生きやすい社会への道を探る。

第10位(同率) 千葉聡『ダーウィンの呪い』

ダーウィンを祖とする進化学は、ゲノム科学の進歩と相まって、生物とその進化の理解に多大な貢献した。一方で、ダーウィンが提唱した「進化論」は自然科学に革命を起こすにとどまらず、政治・経済・文化・社会・思想に多大な影響をもたらした。そして、悲劇的なことに、進化論を曲解した彼の後継者たちが「優生思想」という怪物を生み出した。〈一流の進化学者〉たちによって権威づけられた優生学は、欧米の科学者や文化人、政治家を魅了し、ついにはナチスの反ユダヤ思想とつながり「ホロコースト」という悲劇を生み出すことになる。

第一線の進化学者の進化学の歴史に詳しい著者は、ダーウィンが独創した進化論は、期せずして3つの「呪い」を生み出したと分析する。「進歩せよ」を意味する〈進化せよ〉、「生き残りたければ、努力して闘いに勝て」を意味する〈生存闘争と適者生存〉、そして「この規範は人間社会も支配する自然の法則だから、不満を言ったり逆らったりしても無駄だ」を意味する、〈ダーウィンもそう言っている〉である。順に、「進化の呪い」「闘争の呪い」「ダーウィンの呪い」である。

第10位(同率) 佐藤俊樹『社会学の新地平』

マックス・ウェーバーとニクラス・ルーマン――科学技術と資本主義によって規定された産業社会の謎に挑んだふたりの社会学の巨人.難解で知られる彼らが遺した知的遺産を読み解くことで,私たちが生きる「この」「社会」とは何なのかという問いを更新する.社会学の到達点であり,その本質を濃縮した著者渾身の大作。

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