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資産運用論 第2回:なぜ「インデックス投資」が最強なのか(理論編)【ほったらかし投資術 解説2/4】

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1. はじめに:投資における「プロ」の実像

前回の講義では、投資の目的が「人的資本を最大化し、人生を豊かにするための自由を得ること」にあると学びました。第2回となる本日は、具体的な運用手法の核心に迫ります。

世の中には、経済を分析し、成長する銘柄を予測して売買する「投資のプロ(ファンドマネージャー)」が数多く存在します。彼らが行う運用を「アクティブ運用」と呼びます。一方、市場全体の平均値(指数)に連動することを目指す、いわば「平均点」を狙う運用を「パッシブ運用(インデックス運用)」と呼びます。

一般社会では、努力して専門性を高めたプロが、何も考えない素人よりも良い結果を出すのが当然です。しかし、驚くべきことに、投資の世界では「平均点を目指すインデックス運用が、大半のプロの成績を上回る」という現象が長年続いています。本日は、この「不都合な真実」の背景にある論理を紐解いていきましょう。

2. 専門家が市場に勝てない「不都合な真実」

まず、データを見てみましょう。S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス社が発表している「SPIVA®」という調査データによると、プロが運用するアクティブ・ファンドの約7割から8割が、単なる市場平均であるインデックスに負けています

2020年のデータによれば、日本株のアクティブ・ファンドの67.28%、米国株では75.27%が、5年間の成績でインデックスを下回っています。この傾向は特定の年だけでなく、世界中で、そして毎年観測されています。

なぜ、膨大な情報と分析ツールを持つプロが、平均点に勝てないのでしょうか。その理由は主に3つあります。

  1. 市場の効率性: 株価は常に多くの投資家によってチェックされており、新しいニュースは瞬時に価格に反映されます。そのため、他人が気づいていない「お宝銘柄」をコンスタントに見つけることは、プロであっても至難の業です。
  2. コストの壁: アクティブ運用は、銘柄の調査や頻繁な売買に多額のコストがかかります。対してインデックス運用は、売買が少なく手数料(信託報酬)も極めて低く抑えられています。このコストの差が、運用成績に大きな「ハンデ」としてのしかかります。
  3. 算術的な必然: 市場全体の投資家のリターンの合計は、市場平均(インデックス)と一致します。そこから高い手数料を支払うアクティブ運用の平均リターンは、必然的にインデックスのリターンを下回るという論理的な帰結です。

つまり、インデックス投資とは「手抜き」ではなく、「勝てる確率が極めて高い、合理的な戦略」なのです。

3. 運用リターンの正体:「リスク・プレミアム」

「経済が成長しないと投資は儲からない」と思っている人がいますが、これは正確ではありません。投資によって得られる利益の源泉は、経済成長そのものではなく、「リスク・プレミアム」にあります。

リスク・プレミアムとは、「損をするかもしれないという不確実性(リスク)を負担する代償として、投資家が要求する追加的な利回り」のことです。

例えば、1年後に利益がゼロ成長、あるいはマイナス2%で縮小する企業の株式であっても、そのリスクが適切に株価に反映されていれば(=安く買えれば)、投資家は期待されるリスク・プレミアム分(例えば年率5%など)の利益を得ることができます。

投資とは、特定の企業の将来を当てるギャンブルではなく、「社会全体の経済活動に伴うリスクを引き受け、その対価として報酬(リスク・プレミアム)をコレクションしていく行為」なのです。

4. 投資の三原則:長期・分散・低コスト

インデックス投資を成功させるための「呪文」があります。それが「長期・分散・低コスト」です。

  • 長期投資: 短期的には株価は大きく上下しますが、長く持ち続けることでリスク・プレミアムが積み重なり、収益が安定していきます。また、予測できない「急上昇の日」を逃さないために、常に市場に居続けることが重要です。
  • 分散投資: 特定の企業1社に投資すると、その会社の不祥事などで資産を失うリスクがあります。しかし、全世界の数千社に分散投資をすれば、個別のリスクを打ち消し、市場全体の成長とリスク・プレミアムだけを効率よく受け取ることができます。分散は投資における「唯一のフリーランチ(タダで手に入る昼食)」と呼ばれます。
  • 低コスト: 手数料は「確実に発生するマイナスのリターン」です。年率1%の手数料の差は、20年、30年という長期では数百万円、数千万円という巨大な差になって現れます。

5. どの指数(インデックス)を選ぶべきか

インデックスには様々な種類がありますが、本講義(および「ほったらかし投資術」)が推奨するのは、「時価総額加重平均型」の全世界株式指数です。

日本の「日経平均株価」などは、少数の銘柄の株価に影響されやすく、分散の観点からは不十分な面があります。一方、全世界の株式市場全体を網羅する指数(MSCI ACWIなど)は、時価総額が大きい国の割合を大きく、小さい国の割合を小さく、世界中の投資家の評価を自動的に反映しています。

これを1本持つだけで、米国、日本、欧州、さらには新興国まで、世界中の経済活動からリスク・プレミアムを回収する仕組みが完成します。

第2回のまとめ

  1. プロの7〜8割は市場平均に負けている。 それはコストと市場の仕組み上の必然である。
  2. 投資の利益は「リスクを負担した報酬(リスク・プレミアム)」である。 成長率が低くても利益は期待できる。
  3. 「長期・分散・低コスト」の三原則を貫く。 これが個人投資家にとっての最強の盾であり剣である。

次回、第3回では、この理論を具体的にどう実行に移すのか。新NISAという強力な制度の活用法と、「これだけ買えばいい」という究極の投資信託について詳しく解説します。

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