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「生誕140年記念 山鹿清華」展が京都市京セラ美術館で9月19日開幕——40年ぶりの回顧展で辿る手織錦の世界

京都の伝統的な建築 美術
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こんにちは。風読珈琲店のカエデです。

京都で美術館めぐりをするなら、この秋はぜひチェックしてほしい展覧会があります。京都市京セラ美術館で2026年9月19日(土)から、染織作家・山鹿清華(やまが せいか)の回顧展が開催されます。山鹿清華の作品がまとまった形で紹介されるのは実に40年ぶりとのことで、京都の染織文化に関心がある方はもちろん、伝統工芸と近代デザインの融合に興味がある方にもおすすめできる内容です。

正直に言うと、私も「山鹿清華」という名前をこの展覧会の告知で初めて知りました。西陣織の図案からキャリアを始めた作家が、なぜロケットや東京タワーをモチーフにした作品を残しているのか——その意外性に惹かれて、今回記事にまとめることにしました。京都在住・在勤の方はもちろん、大阪や神戸から日帰りで訪れる価値も十分にある展覧会だと思います。

京都は古くから西陣織をはじめとする染織産業の一大産地であり、図案家・職人・織屋が分業しながら精緻な織物文化を築いてきた土地です。そうした分業体制が当たり前だった時代に、山鹿清華があえて「デザインから織りまで一人で担う」という道を選んだこと自体が、当時としてはかなり異色の選択だったと言えます。今回の展覧会は、そんな一人の作家の生涯を通して、京都の染織文化がどのように近代化と向き合ってきたかを垣間見られる内容にもなっているようです。


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展覧会の概要

まずは基本情報から確認しておきましょう。正式名称は「特別展 生誕140年記念 染織家 山鹿清華─宙翔ぶイマジネーション」です。

美術館ギャラリーの展示空間
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  • 会期:2026年9月19日(土)~12月20日(日)※会期中、一部展示替えあり
  • 会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊1階(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
  • 開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
  • 休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
  • 観覧料:一般1,800円(前売1,600円)、大学・専門学校生・高校生1,300円(前売1,100円)、中学生以下無料、ペア券3,000円(一般2枚組・前売のみ)
  • 主催:京都市、産経新聞社、読売テレビ

詳しいチケット情報や関連イベントのスケジュールは、京都市京セラ美術館の公式サイトの展覧会ページで随時更新されています。訪れる前に最新情報を確認しておくと安心です。

生誕140年記念 染織家 山鹿清華─宙翔ぶイマジネーション
染織芸術のパイオニア・山鹿清華。 染・織・図案から空間装飾まで、その想像力をたどる40年ぶりの回顧展。   京都で活版印刷業を営む家に生まれた山鹿清華(やまがせいか/1885~1981)は、

会場である京都市京セラ美術館は、1933年に「大礼記念京都美術館」として開館した、現存する公立美術館としては日本最古の歴史を持つ施設です。2020年には新設の「東山キューブ」棟が加わり、現代美術の展示にも対応できるようにリニューアルされました。岡崎エリアの平安神宮のすぐそばに位置し、アクセスもわかりやすいのがうれしいポイントです。

京都市京セラ美術館
2020年3月21日「京都市京セラ美術館」としてリニューアルオープン。

山鹿清華とはどんな作家か

山鹿清華(1885~1981)は、京都で活版印刷業を営む家に生まれました。十代の頃から西陣織の図案と日本画を学び始め、やがて図案家・神坂雪佳(かみさか せっか)に師事します。神坂雪佳といえば、尾形光琳ら琳派の意匠を近代的な感覚で再構築したデザイナーとして知られる人物で、この師弟関係が山鹿清華の作風にも大きな影響を与えたと考えられています。

手織りの機(はた)で織物を制作する様子
Photo by kaboompics.com on Pexels

山鹿清華の最大の功績は、「手織錦(ておりにしき)」と呼ばれる独自の染織技法を確立したことにあります。通常、織物の制作は図案を考える人と実際に織る人が分業されることが多いのですが、山鹿清華はデザインから素材の選定、織りの工程までを一貫して自らの手で行うという制作スタイルを貫きました。1927年の帝展(帝国美術院美術展覧会)美術工芸部門に出品した《手織錦和蘭陀船》で特選を受賞したことで、その名は広く知られるようになります。

分業が当たり前だった当時の染織業界において、一人の作家がすべての工程に責任を持つという姿勢は、染織を単なる「工芸」ではなく作家性を伴う「美術」として位置づけ直そうとする試みでもあったのではないかと感じます。実際、山鹿清華は帝展の美術工芸部門という、絵画や彫刻と並ぶ舞台で高く評価されました。工芸と美術の境界を自らの手仕事で越えていった作家、という見方もできそうです。

  • 手織錦:図案・素材選び・織りの全工程を作家自身が手がける染織技法
  • 師匠:図案家・神坂雪佳(琳派の意匠を近代的に再構築した人物)
  • 代表作:1927年帝展特選作品《手織錦和蘭陀船》

見どころ——伝統とモダンが同居する図案

今回の展覧会でとくに面白いと感じたのが、山鹿清華が用いたモチーフの幅広さです。祭礼で使われる懸装品(けそうひん)には天女や雲龍といった伝統的な図柄を採用する一方、公募展に出品する壁掛などの作品には機関車、ロケット、東京タワーといった、当時最先端だったモダンな題材を積極的に取り入れています。

色鮮やかな着物地の柄
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同じ作家の手から、古典的な吉祥文様と最先端の工業製品モチーフの両方が生まれているというのは、なかなか想像しづらいギャップです。伝統技法を守りながらも、常に「今」の空気を作品に取り込もうとした山鹿清華の姿勢が伝わってきます。展覧会では、祇園祭の船鉾や長浜曳山祭で実際に使われた懸装品も紹介される予定で、京都・滋賀の祭礼文化と染織美術の接点をたどれる貴重な機会になりそうです。

祇園祭の山鉾や長浜曳山祭の曳山には、古くから贅を尽くした懸装品(幕や飾り)が用いられてきました。祭りそのものを見る機会があっても、そこに使われている染織品を美術作品としてじっくり鑑賞する機会は意外と少ないものです。今回の展覧会では、そうした「祭りの道具」としての側面と「作家の代表作」としての側面を、同じ空間で見比べられるのも魅力のひとつだと思います。

また、建築家・村野藤吾との協働による空間装飾の仕事も本展の見どころのひとつです。村野藤吾は大阪の新歌舞伎座や京都会館(現ロームシアター京都)などを手がけたことで知られる建築家で、山鹿清華はその内装に染織作品を提供する形で協働しています。染織という工芸のジャンルを超えて、建築空間そのものをデザインする仕事にも携わっていたことがうかがえます。

  • 伝統モチーフ:天女、雲龍など祭礼用懸装品に用いられた古典的な図柄
  • 近代モチーフ:機関車、ロケット、東京タワーなど公募展出品作に取り入れた同時代の題材
  • 祭礼との関わり:祇園祭船鉾、長浜曳山祭の懸装品制作
  • 建築との協働:建築家・村野藤吾との空間装飾コラボレーション

アクセスと訪れる際のポイント

京都市京セラ美術館は、京都市営地下鉄東西線「東山」駅から徒歩約10分、市バスなら「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐの立地です。平安神宮や京都国立近代美術館、京都市動物園といった観光スポットが徒歩圏内に集まっているエリアなので、周辺散策とあわせて一日楽しめます。

京都の伝統的な建築
Photo by Karolina on Pexels

個人的にうれしいのは、館内地下1階に「ENFUSE」というミュージアムカフェが併設されていることです。展示を見た後にゆっくりコーヒーを飲みながら感想を整理する時間は、美術館めぐりの醍醐味のひとつだと思っています。カフェは入館チケットがなくても利用できるエリアにあるので、待ち合わせ場所としても便利です。

ENFUSE
京都市京セラ美術館のカフェ

最新の展覧会情報や関連イベント(ギャラリートークや記念講演会など)の告知は、美術館の公式Instagramでもこまめに発信されています。会期が長期にわたる展覧会なので、訪問時期を決める前にフォローしておくと展示替えのタイミングも把握しやすくなります。

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今回の展覧会は京都市が主催団体に名を連ねていることもあり、開催概要の第一報は京都市の公式サイトでも発表されていました。主催者としての位置づけや開催に至った経緯を知りたい方は、あわせて確認してみてください。

京都市:特別展「生誕140年記念 山鹿清華」(仮称)の開催について

観覧料は前売券の方が200円〜300円お得なので、訪問日が決まっている方はコンビニ等での前売券購入も検討する価値があります。会期は12月20日までと3か月にわたって開催されるので、紅葉シーズンの京都観光とあわせて計画を立てるのもおすすめです。混雑を避けたい場合は、開館直後の時間帯や平日の来館が狙い目になりそうです。


まとめ

今回ご紹介した「生誕140年記念 山鹿清華」展のポイントを整理します。

  • 京都市京セラ美術館で2026年9月19日(土)~12月20日(日)に開催される、40年ぶりの本格的な回顧展
  • 山鹿清華は図案から織りまでを一貫して手がける「手織錦」という独自技法を確立した染織作家
  • 伝統的な吉祥文様から機関車・ロケットなど近代的なモチーフまで、幅広い作風が魅力
  • 祇園祭や長浜曳山祭の懸装品、建築家・村野藤吾との協働作品も紹介予定
  • 観覧料は一般1,800円(前売1,600円)、前売券の方がお得
  • 館内のミュージアムカフェ「ENFUSE」で鑑賞後のひと息もおすすめ

染織というジャンルは、絵画や彫刻に比べると美術展で取り上げられる機会がやや少ないように感じます。だからこそ、40年ぶりというまとまった規模で山鹿清華の仕事を振り返れる今回の展覧会は貴重な機会だと思います。会期は3か月と比較的長めなので、平日休みが取りやすい方は空いている時間帯を狙って、じっくり作品と向き合ってみるのもよさそうです。京都に立ち寄る予定がある方は、ぜひスケジュールに組み込んでみてください。

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