「河鍋暁斎の世界」神戸展を振り返る——次は静岡県立美術館へ巡回

美術
Photo by Adrien Olichon on Pexels
この記事は約6分で読めます。
スポンサーリンク

こんにちは。風読珈琲店のカエデです。

2026年7月11日(土)から9月23日(水・祝)まで、神戸市立博物館で「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」が開かれました。イギリスの収集家イスラエル・ゴールドマン氏の暁斎コレクションから約110件、その半数以上が日本初出品という展覧会です。

幕末から明治にかけて活躍した「画鬼」河鍋暁斎は、狩野派の正統な技法を身につけながら、風刺画や妖怪画、動物画まで描き分けた絵師です。神戸会場はすでに閉幕していますが、本展は静岡県立美術館で開かれています。この記事では神戸展を記録として振り返りつつ、巡回情報もまとめます。


スポンサーリンク

「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」とは

美術館のギャラリー空間
Photo by Adrien Olichon on Pexels

本展は、イギリス在住の美術商・収集家イスラエル・ゴールドマン氏が長年かけて蒐集した河鍋暁斎コレクションを紹介する展覧会です。神仏画のような正統派の作品から、動物を擬人化したユーモラスな戯画、地獄や妖怪を題材にした奇想の作品まで、暁斎の画業の幅広さをたどれる構成になっています。出品作の半数以上が国内の展覧会では初公開というのも大きな見どころです。

本展は東京・サントリー美術館(2026年4月22日〜6月21日)を皮切りに全国を巡回しており、神戸会場のあとは静岡県立美術館(2026年10月10日〜12月6日)で開かれています。

興味深いのは、暁斎の評価が国内よりも先に海外で高まっていったという経緯です。明治期に来日した外国人建築家のジョサイア・コンドルは、暁斎に弟子入りして絵を学んだことで知られており、当時から西洋人の目に暁斎の画力は強く印象づけられていました。そうした海外での評価の積み重ねの延長線上に、今回のゴールドマン・コレクションもあります。日本で長らく大々的に紹介される機会が少なかった作品群が、海外での再評価を経てこうして里帰りするというストーリー自体が、この展覧会の面白さのひとつだと感じます。

ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界 公式サイト
日本初出品多数!幕末明治期に活躍した絵師・河鍋暁斎の魅力を、世界屈指の暁斎コレクターが所蔵する名品約100点でご紹介します。

「画鬼」河鍋暁斎の生涯と画業

版画・木版画の制作風景
Photo by Thoranin Duangsin on Pexels

河鍋暁斎は1831年、下総国古河(現在の茨城県古河市)に生まれました。幼い頃から絵の才能を発揮し、わずか6歳で浮世絵師・歌川国芳に入門。その2年後には狩野派の絵師にも師事し、伝統的な画法をみっちりと叩き込まれています。狩野派では9年ほどで修了の証となる号を得るほどの腕前でした。

そんな正統派の技術を土台にしながら、暁斎は浮世絵、風刺画、妖怪画、動物画と、あらゆるジャンルを軽やかに横断していきます。明治初期には政府を風刺した戯画を描いたことで投獄される事件も経験していますが、釈放後まもなく画号を「暁斎」に改め、以後は写生を何より大切にしながら旺盛な創作活動を続けました。当時から「画鬼」の異名で呼ばれるほど絵に取り憑かれた人物だったと伝えられています。

  • 師事した流派:歌川国芳(浮世絵)、前村洞和ら狩野派の絵師
  • 得意とした画題:神仏画、戯画、動物画、妖怪画、風刺画と幅広い
  • 異名:「画鬼(がき)」——絵に憑かれたように描き続けたことに由来
  • 活動時期:幕末から明治22年(1889年)に没するまで

狩野派の格式と、庶民に向けた戯画のユーモアを一人の画家が両立させていた、というのが暁斎の面白いところ。会場では、同じ画家が描いたとは思えないほど作風の異なる作品が並んでいる様子を実際に見比べられます。

ちなみに、明治期の投獄事件は「政府の役人を風刺した戯画を描いた」ことが理由とされています。当時は言論・表現に対する取り締まりが厳しく、風刺画がしばしば処罰の対象になっていました。それでも権力に媚びることなく筆を振るい続けた姿勢は、「反骨の画鬼」と呼ばれる所以でもあります。この事件のあと画号を「暁斎」に改めたというのも、絵師としての再出発を印象づけるエピソードだと思います。

展示の見どころ・注目作品

展覧会を鑑賞する来場者
Photo by Dua’a Al-Amad on Pexels

本展の最大の特徴は、なんといっても出品作の半数以上が日本国内で初めて公開されるという点です。ゴールドマン氏のコレクションはこれまで海外での展示が中心だったため、暁斎ファンにとっては見逃せない里帰り展といえます。

  • 肉筆画の名品:絹本・紙本に描かれた繊細な筆致の作品群。狩野派仕込みの構図力が随所に見て取れる
  • 戯画・動物画:擬人化されたカエルや猫などが登場するユーモラスな作品。当時の風俗を軽妙に風刺している
  • 妖怪画:地獄絵や幽霊、化け物を題材にした一連の作品。緻密な描写と大胆な構図が同居する
  • 版画作品:肉筆画とあわせて、版元を通じて広く流通した木版画も多数展示された

特に妖怪画・地獄絵のコーナーは、暁斎の観察眼とユーモアが同居する見応えのある一角です。恐ろしいはずの地獄の情景を、どこか間の抜けた表情の鬼や動物たちがコミカルに演出していて、江戸から明治にかけての「怖いけれど笑える」という独特の絵画感覚を味わえます。一方で、掛軸や屏風に描かれた花鳥画・人物画は一転して静謐な空気をまとっており、緩急のある展示構成そのものが暁斎の多面性を物語っています。

公式X(旧Twitter)やInstagramでは、個別作品の紹介などが発信されています。

https://x.com/kyosai_2026
Instagram
Create an account or log in to Instagram – Share what you're into with the people who get you.

会期・料金・アクセス情報

神戸港タワーの夕景
Photo by Samuel Seelig on Pexels

会場の神戸市立博物館は、神戸・旧居留地エリアにある博物館です。三宮や元町からも歩いて行ける距離にあるので、カフェ巡りやショッピングと合わせて立ち寄りやすいのも嬉しいポイントです。周辺には歴史的な洋館が立ち並ぶエリアもあり、展覧会の前後に散策するだけでも異国情緒を楽しめます。

  • 会期:2026年7月11日(土)〜9月23日(水・祝)※前期・後期で一部展示替えあり/閉幕
  • 開館時間:9時30分〜17時30分(金曜・土曜は20時まで、入場は閉館30分前まで)
  • 休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌平日休館)
  • 観覧料:一般2,000円、大学生1,000円、高校生以下無料
  • 会場:神戸市立博物館(神戸市中央区京町24番地)

神戸会場は9月23日に閉幕しました。

次に観られるのは静岡県立美術館(2026年10月10日〜12月6日)です。静岡会場の当日券は一般1,500円、70歳以上800円、大学生以下無料。月曜休館(10月12日・11月23日は開館)です。最新情報は公式サイトで確認してください。

開催中の展覧会 – 神戸市立博物館

あわせて訪れたい、関西の日本美術展

暁斎と同じく幕末に活躍した浮世絵師といえば、暁斎の師でもある歌川国芳です。同じ時期、京都市京セラ美術館では「浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展」(9月23日まで)が開かれていました。

「歌川国芳展」京都展を振り返る——武者絵から戯画まで約200点の記録
2026年7月18日〜9月23日に京都市京セラ美術館で開かれた「浮世絵スーパークリエイター 歌川国芳展」を振り返り。武者絵・戯画・風景画・美人画まで約200点で一望した国芳の多才ぶりと、「相馬の古内裏」や判じ絵に込めた反骨精神をまとめました。

師弟関係にある二人の作品を見比べると、国芳の奔放さが暁斎にどう受け継がれたのかが見えてきます。

暁斎の作品をもっと知りたくなったら

暁斎の魅力をもっと深く知りたくなった方には、埼玉県蕨市にある「河鍋暁斎記念美術館」の存在も知っておいてほしいところです。

また、先述したジョサイア・コンドルが著した評伝は、弟子の視点から見た暁斎の人物像や制作風景が記録された貴重な一次資料です。図録やミュージアムショップでは、こうした研究書や画集が並んでいることも多いので、気になる一冊を見つけたら手に取ってみるのもおすすめです。展覧会の余韻を持ち帰る手段として、図録は思っている以上に楽しめます。


PR・広告

Agoda

会場周辺のホテル・宿泊予約はこちらから。Agodaなら国内・海外の宿をまとめて比較できます。

じゃらん

国内の宿泊予約はじゃらんでも。ポイントやクーポンを使ってお得に泊まれます。

アソビュー!

美術館・博物館のチケットや、周辺のレジャー・体験の予約は「アソビュー!」から。

まとめ

「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」は、狩野派の格式と庶民感覚あふれる戯画・妖怪画という、暁斎の二つの顔を一度にたどれる展覧会でした。

  • 神戸会場:神戸市立博物館(2026年7月11日〜9月23日)※閉幕
  • 内容:ゴールドマン・コレクションの約110件、半数以上が日本初出品
  • 巡回:サントリー美術館(4月22日〜6月21日)→神戸→静岡県立美術館
  • 静岡会場:2026年10月10日〜12月6日

神戸で見逃した方は、静岡会場を候補にしてみてください。地獄絵の中にもユーモアをのぞかせる暁斎の世界は、一度観ると忘れられない強烈さがあります。それではまた次の記事で。

タイトルとURLをコピーしました