こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
日本イタリア国交樹立160周年、そしてフォンタネージ来日150周年を記念した特別展「フォンタネージ―イタリアの光・心の風景」が、京都国立近代美術館で2026年7月18日(土)から10月4日(日)まで開催されています。日本初となる大規模な回顧展で、明治初期の日本に西洋絵画の技法をもたらした画家の全貌を紹介する展覧会です。
アントニオ・フォンタネージという名前は、美術の教科書で見かけたことがある方もいるかもしれません。「工部美術学校のお雇い外国人教師」という肩書きだけで知られがちな画家ですが、今回の展覧会では、その枠を超えた画業の全体像に光を当てています。今日は、この展覧会の見どころと、訪れる前に知っておきたいポイントをまとめてみます。
会期は10月上旬までと2か月半ほどありますが、期間中に一部展示替えが行われる予定です。長期開催だからこそじっくり計画を立てて訪れたい展覧会です。
展覧会の開催概要

本展は、日本イタリア国交樹立160周年およびフォンタネージ来日150周年を記念して企画された特別展です。主催は京都国立近代美術館、トリノ市立近現代美術館、トリノ美術館財団、京都新聞社。フォンタネージを「西洋画の指導者」という一面だけでなく、「兵士、版画家、画家、教育者、風景画家」という多面的な人物として捉え直す、日本では過去に例のない大規模な回顧展となっています。
- 名称:日本イタリア国交樹立160周年記念・フォンタネージ来日150周年記念 フォンタネージ―イタリアの光・心の風景
- 会期:2026年7月18日(土)〜10月4日(日)※会期中一部展示替えあり
- 会場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
- 開館時間:10:00〜18:00(金曜日は20:00まで、入館は閉館30分前まで)
- 休館日:月曜日(7月20日、9月21日は開館)、7月21日、9月24日
- 観覧料:一般2,000円(1,700円)、大学生1,300円(1,100円)、高校生以下・18歳未満無料 ※( )内は前売・団体料金
展覧会の詳細な出品作品リストやチケット情報は、京都国立近代美術館の公式サイトで随時更新されています。会期中の展示替え情報も掲載されているので、目当ての作品がある場合は事前に確認しておくのがおすすめです。
アントニオ・フォンタネージとは

アントニオ・フォンタネージ(1818〜1882年)は、イタリア・レッジョ・エミリア生まれの画家です。フランスのバルビゾン派の影響を受けた叙情的な風景画で知られ、母国イタリアでは風景画家として高い評価を確立していました。日本では、1876年に開校した工部美術学校に招かれ、西洋絵画の技法を指導した「お雇い外国人教師」として名前が知られています。
フォンタネージの日本滞在期間はわずか2年ほどでしたが、その指導は日本近代洋画の礎を築いたといわれています。浅井忠や小山正太郎など、後に日本の洋画界を牽引する画家たちが、フォンタネージのもとで直接指導を受けたことでも知られており、その影響は日本近代美術史において非常に大きなものでした。
「光・心の風景」というタイトルに込められた意味
本展のサブタイトルである「イタリアの光・心の風景」は、フォンタネージの作風を象徴する言葉です。バルビゾン派の影響を受けた彼の風景画は、単なる写実にとどまらず、光の移ろいや空気感、そして描き手自身の内面の情景までもがキャンバスに映し出されているといわれます。今回の展覧会では、そうしたフォンタネージ独自の「風景画への眼差し」を、初期から晩年までの作品を通じて辿ることができます。
版画家・教育者としての一面にも注目
今回の展覧会が興味深いのは、フォンタネージを「風景画家」という枠だけで語らない点です。若い頃には兵士として従軍した経験を持ち、版画家としても活動し、晩年はトリノの美術学校で教育者として後進の指導にあたりました。そうした多面的な人生の軌跡を辿ることで、日本で語られてきた「工部美術学校の外国人教師」という一面的なイメージが、より立体的な人物像として浮かび上がってくる構成になっています。
フォンタネージが工部美術学校で教鞭を執った期間はわずか2年ほどでしたが、体調を崩して帰国を余儀なくされたことは、日本の洋画教育にとって大きな損失だったともいわれています。それでも、限られた期間の中で伝えられた技法と感性は、教え子たちを通じて日本の美術界に脈々と受け継がれていきました。ひとりの外国人画家の存在が、遠く離れた国の美術史をこれほど大きく動かしたという事実そのものが、本展を通じて実感できる大きな見どころのひとつです。
展覧会の見どころ

本展の目玉のひとつは、イタリア側の主催であるトリノ市立近現代美術館やトリノ美術館財団の全面協力により、フォンタネージの代表作の数々が海を渡って集結している点です。日本国内でこれほどまとまった数のフォンタネージ作品を見られる機会は、今後もそう多くはないでしょう。
- イタリア各地の風景画:母国イタリアでの活動期に描かれた、バルビゾン派の影響を感じさせる叙情的な風景画の数々
- 日本での足跡を伝える資料:工部美術学校での指導の様子や、当時の教え子たちに関する記録
- 版画作品:画家としてだけでなく版画家としての一面を伝える希少な作品群
- 日本近代洋画への影響を辿る展示:フォンタネージに学んだ日本人画家たちの作品との対比
「西洋美術史の一頁」としてだけでなく「日本近代美術の源流」としても楽しめる、二重の見応えがあるのが本展の大きな魅力です。西洋絵画に詳しくない方でも、明治期の日本美術がどのように西洋の技法を吸収していったのかという視点から楽しむことができます。
この夏から秋にかけては、大阪でもフェルメールの至宝を紹介する話題の展覧会が開催されています。関西で美術館めぐりを計画している方は、あわせてチェックしてみてください。

訪れる前に知っておきたいポイント
2か月半という長期にわたる会期だからこそ、事前に押さえておきたいポイントをまとめました。
- 展示替えのタイミングを確認:会期中に一部作品の展示替えが予定されているため、目当ての作品がある場合は事前に公式サイトで展示期間を確認する
- 金曜日の夜間開館を活用:金曜日は20:00まで開館しているため、平日の仕事終わりに立ち寄ることもできる
- 祝日開館・休館日の振替に注意:7月20日・9月21日は月曜日でも開館する一方、7月21日・9月24日は休館日となるため、カレンダーで事前確認をしておく
- 前売券でお得に観覧:一般料金は当日2,000円のところ、前売・団体料金なら1,700円で観覧できる
京都国立近代美術館は、平安神宮や京都市京セラ美術館にほど近い岡崎公園エリアに位置しています。美術館めぐりや神社仏閣を巡る観光と組み合わせて、京都の文化的な一日を過ごすのもおすすめです。京阪電車「三条」駅や地下鉄東西線「東山」駅からも徒歩圏内とアクセスがよく、京都駅からもバスや電車で比較的スムーズに向かえる立地です。
また、岡崎公園周辺には琵琶湖疏水沿いの散策路もあり、美術鑑賞の合間に少し歩くだけでも季節の移ろいを感じられます。夏の終わりから秋にかけては日差しもやわらぎ、屋外を歩くにも過ごしやすい時期になっていきます。展覧会だけで一日を終わらせず、周辺のエリアもあわせて楽しむ計画を立ててみるのもよいでしょう。
Q. 美術に詳しくなくても楽しめますか?
A. フォンタネージという名前を知らなくても、じゅうぶんに楽しめる展覧会です。むしろ「工部美術学校のお雇い外国人教師」という一面的な知識しか持っていない方こそ、多面的な人物像に触れることで新たな発見があるはずです。会場の解説パネルも丁寧に構成されているので、予習なしで訪れても内容を理解しやすい構成になっています。
Q. 混雑を避けるにはどのタイミングがおすすめですか?
A. 会期の後半は駆け込みの来場者で混み合いやすい傾向があります。会期序盤の平日、特に金曜日の夜間開館の時間帯は比較的落ち着いて鑑賞できることが多いので、ゆっくり作品と向き合いたい方にはおすすめです。夏休み期間や連休中は家族連れで賑わうことも予想されるため、静かに鑑賞したい場合は平日の夕方以降を狙うとよいでしょう。
まとめ
- 「フォンタネージ―イタリアの光・心の風景」は2026年7月18日〜10月4日、京都国立近代美術館で開催中
- 日本イタリア国交樹立160周年・フォンタネージ来日150周年を記念した日本初の大規模回顧展
- 「風景画家」という一面だけでなく、兵士・版画家・教育者としての多面的な人物像を紹介
- 浅井忠ら日本近代洋画の礎を築いた画家たちへの影響も辿れる構成
- 金曜日は20:00まで開館、会期中は一部展示替えあり
明治期の日本に西洋絵画の風を吹き込んだ画家の全貌を、じっくりと味わえる貴重な機会です。会期は10月上旬までと余裕がありますが、展示替えのタイミングを逃さないよう、早めに予定を立てて訪れてみてはいかがでしょうか。
鑑賞のあとは、岡崎公園周辺のカフェで一息つきながら、見てきた作品の余韻に浸る時間もおすすめです。風景画に描かれた光の移ろいを思い返しながら過ごすひとときは、美術館めぐりならではの贅沢な締めくくりになるはずです。展覧会をきっかけに、普段はあまり意識しない「日本の美術史とヨーロッパの美術史がどこでつながっているのか」という視点を持ってみると、他の展覧会を訪れる際の楽しみ方にも新しい広がりが生まれるかもしれません。

