こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
コーヒーの世界には、豆の産地や焙煎方法だけでなく、抽出する人=バリスタの技術を競うさまざまな大会があります。今回ご紹介するのは、2026年9月15日(火)に東京・品川プリンスホテルで開催される「チャレンジコーヒーバリスタ」。一般社団法人日本サステイナブルコーヒー協会が主催する、障がいのある方たちによるバリスタコンペティションです。
単なる技術競技会にとどまらないのがこのイベントの特徴です。「技術の向上」と「新しい雇用の創出」を掲げ、障がいの有無にかかわらず誰もが自分らしく活き活きと働ける「インクルーシブな社会」の実現を目指して企画されています。コーヒーという身近な飲み物を通じて、社会のあり方そのものを問いかけるユニークな取り組みだと感じ、今回記事にすることにしました。抽出という繊細な作業を通じて、それぞれの出場者の個性や努力が可視化されていく様子は、見ているだけでも胸を打たれるものがあります。
普段このブログでは、SCAJやジャパンコーヒーフェスティバルのような大規模イベントを取り上げることが多いのですが、今回のように「福祉」と「コーヒー」という二つのテーマが交わる大会を知り、ぜひ多くの方に知ってもらいたいと思い記事にしました。技術を競う場であると同時に、社会のあり方について考えさせられる大会でもあります。
本記事では、大会の概要や込められた思い、コーヒー好きとしてどう関わっていけるかをまとめてお届けします。
大会の概要

「チャレンジコーヒーバリスタ」は、豆の配合や抽出方法、カップへの注ぎ方、そしてチームワークまでを総合的に評価する競技会です。出場者は各地の福祉事業所や企業などに所属する障がいのある方たちで、日頃の練習の成果を披露する晴れ舞台となっています。参加費は1,000円で、公式サイトのGoogleフォームから申し込みができます。チームでエントリーする形式のため、選手同士の連携や声かけの様子も評価の対象になっているのが特徴的です。
- 開催日:2026年9月15日(火)12:00受付開始、12:30開会
- 会場:品川プリンスホテル アネックスタワー5階 プリンスホール
- 主催:一般社団法人 日本サステイナブルコーヒー協会
- 評価項目:豆の配合、抽出方法、カップへの注ぎ方、チームワークなど
- 参加費:1,000円(公式サイトのGoogleフォームより申込)

会場となる品川プリンスホテルは、JR「品川駅」から徒歩圏内とアクセスも良好です。観覧を希望する方は、事前に公式サイトで最新の参加要項や観覧可否を確認しておくとよいでしょう。
コーヒーの競技会にはいろいろな種類がある
コーヒーの競技会と聞くと、プロのバリスタがエスプレッソやラテアートの技術を競う「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ(JBC)」のような大会をイメージする方が多いかもしれません。JBCは世界大会にもつながる権威ある競技会で、抽出の正確さやプレゼンテーション力まで含めて総合的に審査されます。
一方で「チャレンジコーヒーバリスタ」は、プロを目指すための登竜門というよりも、日頃の努力を発表し、互いを称え合う場としての色合いが強い大会です。同じ「バリスタの技術を競う」という形式でありながら、大会ごとに込められた目的や意義が異なるのも、コーヒー競技会の面白いところだと思います。どちらの大会も、コーヒーという一杯に真剣に向き合う人たちの姿勢が競技の中に表れているという点では、共通しているように感じます。
コーヒーが育む「インクルーシブな社会」

近年、障がいのある方の就労支援の一環として、コーヒーの焙煎や抽出技術を学べる福祉事業所や、障がいのある方が働くコーヒースタンドが全国各地で増えています。丁寧なハンドドリップや繊細なラテアートは、集中力や手先の器用さが求められる作業であり、それぞれの個性や強みを活かしやすい仕事のひとつとして注目されています。マニュアル通りの単純作業ではなく、豆の状態やその日の湿度に合わせて抽出を微調整するような、専門性の高い仕事だからこそ、やりがいにもつながりやすいのかもしれません。
「チャレンジコーヒーバリスタ」は、そうした現場で腕を磨いてきた方たちが、日頃の成果を発表し、互いに技術を高め合う場として機能しています。競技会という形式を取ることで、単なる「福祉的な取り組み」ではなく、純粋に技術を評価される「ひとつの職業」としてバリスタの仕事が認められていくという点が、この大会の大きな意義だと感じます。
実際に、この大会をきっかけに複数の大会に連続出場するチームや、企業のサステナビリティ活動の一環として選手を送り出す事例も生まれています。コーヒー業界の裾野が、こうした形でも着実に広がっているのだと実感させられます。
- インクルーシブな社会:障がいの有無にかかわらず、誰もがその人らしく参加・活躍できる社会のあり方
- 就労支援:障がいのある方が働く力を身につけ、社会参加していくための支援の総称
- バリスタ:エスプレッソやハンドドリップなど、コーヒーの抽出を専門に担う職業・技術者
他の地域からも「出場プロジェクト」が広がる
この大会が興味深いのは、単発のイベントで終わらず、地域ぐるみで出場者を後押しする動きへとつながっている点です。たとえば三重県では「障がい者×コーヒーの力で全国へ」というプロジェクトが立ち上がり、クラウドファンディングで資金を募りながら、地元の福祉事業所が初めてこの大会に挑戦した事例もあります。長野県軽井沢町でも、地域のバリスタチームが実行委員長から激励を受けながら4大会連続で出場するなど、各地で応援の輪が広がっています。
企業側の取り組みとしても、CSR・サステナビリティ活動の一環としてこの大会への出場を後押しする事例が出てきています。コーヒー一杯を淹れる技術を磨くことが、地域の福祉事業所の認知向上や、新たな雇用機会の創出につながっていく——そうした好循環が、少しずつ全国に広がりつつあるようです。大学のゼミ活動として、コーヒー販売を通じた社会貢献に取り組む事例も報告されており、若い世代の間にもこうした関心が広がっている様子がうかがえます。
コーヒー好きとしてできる関わり方

「大会に出場するわけではないけれど、何か関わってみたい」という方は、まず観覧という形で会場に足を運んでみるのもひとつの方法です。競技会そのものを見学することで、抽出技術の丁寧さやチームワークの大切さを肌で感じられますし、何より出場者を応援する空気そのものが、大会の意義を支える力になります。平日開催のため観覧の可否は都度確認が必要ですが、可能であればぜひ一度、現場の熱気を体感してみてほしいと思います。
また、日常的にできることとして、障がいのある方が働くコーヒースタンドやカフェを意識的に訪れてみるのもおすすめです。関西圏でもこうした取り組みを行うお店は少しずつ増えており、普段のコーヒー選びの延長線上で、自然とこうした活動を応援することができます。自分で丁寧にコーヒーを淹れる楽しさを知っている人ほど、抽出という行為に込められた技術と手間の価値を実感しやすいのではないでしょうか。
ハンドドリップの基本を押さえておくと、こうした大会やお店でのコーヒーの味わい方もより深まります。以前まとめた初心者向けの記事もあわせてどうぞ。

コーヒー業界全体の大きな見本市であるSCAJのような大規模イベントと並んで、こうした草の根の取り組みにも目を向けてみると、コーヒーという飲み物の奥深さがより一層見えてくるはずです。
SNSでの応援も立派な参加のかたち
遠方で会場に足を運べないという方でも、大会当日の様子がSNSで発信されることも多いので、ハッシュタグを追いかけながら応援するというのも立派な関わり方のひとつです。実際に、三重県や軽井沢町の事例のように、地域の取り組みがクラウドファンディングやSNSでの発信をきっかけに広がっていったケースもあります。小さな応援の積み重ねが、次の出場チームの後押しにつながっていくのだと思うと、コーヒー好きとしてできることはまだまだありそうです。
大会結果や出場チームのその後の活動は、主催団体や各地の福祉事業所の公式サイト・SNSで報告されることが多いので、気になった方はぜひフォローしてみてください。一杯のコーヒーを通じて、遠く離れた場所の誰かを応援できるというのは、なんだか温かい気持ちになる仕組みだと感じます。関西からでも、SNSを通じてなら全国の出場チームを気軽に応援できるのがうれしいところです。

まとめ
「チャレンジコーヒーバリスタ」は、コーヒーの技術を競うだけでなく、障がいのある方の雇用創出とインクルーシブな社会の実現を目指す、意義深い大会です。コーヒーが好きな一人として、こうした取り組みがもっと広く知られてほしいと感じています。
今回の記事をきっかけに、一人でも多くの方がこの大会や、障がいのある方が活躍するコーヒーの現場に関心を持ってもらえたら嬉しいです。
- 2026年9月15日(火)、品川プリンスホテルで開催
- 障がいのある方によるバリスタ競技会。技術向上と雇用創出が目的
- 豆の配合・抽出方法・注ぎ方・チームワークを総合的に評価
- 観覧希望者は公式サイトで最新情報を確認するのがおすすめ
普段何気なく飲んでいる一杯のコーヒーの向こう側には、こうしてひたむきに技術を磨く人たちの姿があります。次にカフェでコーヒーを注文するとき、その一杯に込められた手間や技術に、少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。私自身も、これを機に近所で障がいのある方が働くコーヒースタンドを探して、実際に足を運んでみようと思っています。

