こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
北欧ブランドの雑貨店の前を通ると、つい足を止めてしまうくらい、大胆な花柄やストライプの布地に惹かれてしまいます。派手なはずなのに、なぜか部屋にも服にもしっくり馴染む。あの独特のバランス感覚は、いったいどこから来ているんだろうと、ずっと気になっていました。マグカップやポーチなど、身近な雑貨として親しんでいる人も多いブランドだと思いますが、その源流をたどる機会は意外と少ないものです。
そんな疑問への手がかりになりそうな展覧会が、今まさに京都で開催中です。10年ぶりの大規模巡回となる「マリメッコ展 模様のちから」が、京都文化博物館で9月6日(日)まで開催されています。会期はいよいよ残り3週間ほど。ブランドの創業からデザインの変遷までをたどれる貴重な機会なので、詳しくご紹介します。
会期が残りわずかということもあり、この記事では開催概要から見どころ、あわせて訪れたい京都市内の他の展覧会まで、一度の週末でまとめて満喫できるようにまとめてみました。
「マリメッコ展 模様のちから」とは

マリメッコは1951年、フィンランドでアルミ・ラティアによって創業されたテキスタイル・ファッションブランドです。「服を着るためのアートを作る」という創業者の思想のもと、大胆な色使いと大柄のプリントで、それまでの控えめな衣服の常識を塗り替えてきました。日本では雑貨や食器のイメージが強いかもしれませんが、本来は「布」そのものの表現にこだわり続けてきたブランドなのです。
今回の展覧会は約70点のドレスやファブリックでプリントの変遷をたどる、10年ぶりの大規模な巡回展です。単なる名品の展示にとどまらず、プリント制作工程の舞台裏を紹介するコーナーや、アーティスト・plaplaxによる映像インスタレーション、デザイナー皆川明による書き下ろしの新作インスタレーションまで用意されているとのことで、ファッション史としてもアート体験としても楽しめる構成になっています。
10年ぶりというスパンの長さも印象的です。前回の大規模展から時間が空いた分、これまであまり紹介されてこなかった初期のプリントデザインや、近年のコレクションまで、より幅広い時代のマリメッコを俯瞰できる内容になっているようです。ブランドの「今」だけでなく、70年以上にわたる歩みそのものを味わえる貴重な機会だと言えそうです。
- 創業:1951年、フィンランド
- 創業者:アルミ・ラティア
- 展示内容:約70点のドレス・ファブリックによるプリントの変遷、制作工程の紹介、映像・新作インスタレーション
創業当初のフィンランドは戦後の復興期にあり、実用性が最優先される時代でした。アルミ・ラティアは、当時のフィンランドで主流だった実用一辺倒の織物産業に対して、「アートとしての布」を打ち出した人物として知られています。彼女が集めたデザイナーたちが生み出した大胆な柄は、1960年代のアメリカでジャクリーン・ケネディが着用したことで一躍世界的な注目を集め、その後も色褪せることなく愛され続けてきました。日本でもファッション誌やインテリア雑誌で頻繁に特集が組まれるほど、独自のファン層を築いています。
マリメッコの魅力は、柄そのものの大胆さだけでなく、「量産品でありながらアートの質を保つ」という姿勢にもあります。工業製品としてのテキスタイルと、一点物のアートとの間にあえて境界線を引かない発想は、当時としては非常に革新的なものでした。今回の展覧会では、そうしたブランドの根幹にある思想を、実際の作品を通して体感できる構成になっています。
開催概要 ― 会期・会場・観覧料
京都会場の会期は2026年7月4日(土)から9月6日(日)まで、会場は京都文化博物館4・3階展示室です。開館時間は10:00~18:00(金曜のみ19:30まで、入場は閉室30分前まで)、月曜休館(7月20日は開館、代わりに7月21日が休館)となっています。訪れる曜日によって開館時間が異なるので、事前の確認をおすすめします。

観覧料は一般2,000円(前売1,800円)、大学生・高校生1,600円(前売1,400円)、中学生・小学生700円(前売500円)です。未就学児と障がい者手帳をお持ちの方は無料で入場できます。会期末に向けて混雑が予想されるため、前売券での来場が安心です。
- 会期:2026年7月4日(土)~9月6日(日)
- 会場:京都文化博物館 4・3階展示室
- 開館時間:10:00~18:00(金曜は19:30まで)
- 休館日:月曜(7月20日を除く)、7月21日
- 観覧料:一般2,000円、大高生1,600円、中小生700円(各前売あり)
会場の京都文化博物館は、地下鉄烏丸線「烏丸御池」駅から徒歩3分ほどの立地です。重要文化財に指定されている旧日本銀行京都支店の建物を活用した別館も隣接しており、展覧会の前後にレトロな建築を眺めながら散策するのもおすすめです。三条通沿いには老舗の喫茶店やギャラリーも点在しているので、鑑賞後にゆっくりお茶を楽しむ時間まで含めて計画を立てるとよさそうです。
会場で味わうスカンジナビア・デザインの世界観

展覧会の見どころのひとつが、単に完成した服やファブリックを並べるだけでなく、「模様がどう生まれるか」という制作工程そのものにスポットを当てている点です。デザイナーが試行錯誤を重ねる過程を知ると、普段何気なく目にしている柄の見え方が変わってきます。
また、映像アーティスト・plaplaxによるインスタレーションでは、平面のプリントが動きと光の中でどのように立ち上がってくるのかを体感できるようです。静止画としての「模様」と、空間として体験する「模様」の違いを味わえるのは、実際に会場に足を運んでこそだと思います。
日本のデザイナー・皆川明による書き下ろしの新作インスタレーションが見られるのも、この巡回展ならではのポイントです。フィンランド発のブランドと、日本人デザイナーの感性がどう響き合うのか、比較しながら鑑賞するのも楽しそうです。
皆川明といえば、日本のファッションブランド「ミナ ペルホネン」の創業者としても知られ、長く着られる服づくりや、手仕事のぬくもりを感じさせる柄づくりで多くのファンを持つデザイナーです。工業的な大量生産の中でアートの質を追求したマリメッコと、一つひとつの生地に手仕事の温度を宿らせるミナ ペルホネン。アプローチは対照的でありながら、「布を通して人の暮らしを豊かにする」という根っこの部分では共鳴し合っているようにも感じられます。会場でその接点をじっくり探してみるのも一興です。
会場内にはミュージアムショップも併設されており、展覧会限定グッズや、マリメッコ本国の生地を使ったアイテムも販売されています。鑑賞後の余韻に浸りながら、お気に入りの一枚を探す時間まで含めて楽しみたいところです。展覧会限定デザインは会場でしか手に入らないものも多く、記念に一点選んでおくと、後から振り返ったときにも良い思い出になりそうです。
この夏・秋、京都で見られるもうひとつの展覧会

京都文化博物館から少し足を延ばせば、京都国立近代美術館や京セラ美術館でも見応えのある展覧会が開催中です。同じ京都市内で、西洋の絵画史から日本の浮世絵、そして北欧のテキスタイルまで、一日でジャンルを横断した鑑賞ができるのも、美術館が集まる京都ならではの贅沢だと思います。
京都国立近代美術館では、19世紀イタリアの光と心の風景を描いた展覧会が10月4日まで開催中。京セラ美術館では、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師・歌川国芳の展覧会が9月23日まで開催されています。時代もジャンルもまったく異なる展覧会を同じ日に巡ることで、視点の切り替えそのものを楽しむような一日になりそうです。


また、大阪中之島美術館では「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展」が同時期に開催されています。関西で複数の名品展を巡ることができるこの夏から秋にかけては、美術好きにとってまたとない季節と言えそうです。

「マリメッコ展」はこの後、10月3日から東京都庭園美術館へ、2027年には広島でも開催が予定されている全国巡回展です。京都会場を逃すと次は東京や広島まで足を運ぶ必要があるため、関西在住なら会期中の京都での鑑賞が一番手軽だと言えます。
会場ごとに展示構成が微妙に異なる可能性もあるため、東京や広島の会場と見比べてみるのも美術好きならではの楽しみ方かもしれません。とはいえ、まずは身近な京都で本物の質感やスケール感をじっくり味わっておくのが一番だと思います。写真や画面越しでは伝わりきらない生地の発色や厚み、プリントの精度は、実際に会場で間近に見てこそ実感できるものです。
まとめ
- 「マリメッコ展 模様のちから」は京都文化博物館で2026年9月6日(日)まで開催中、10年ぶりの大規模巡回展
- 約70点のドレス・ファブリックでプリントの変遷をたどり、制作工程の紹介や映像・新作インスタレーションも楽しめる
- 観覧料は一般2,000円(前売1,800円)など。前売券の利用がおすすめ
- 会期後は東京都庭園美術館、2027年には広島へ巡回予定なので、関西在住なら京都会場が一番のチャンス
普段何気なく目にしている北欧デザインの背景を知ると、雑貨店での見え方もきっと変わってくるはずです。会期終了まで残りわずかなので、気になっている方はぜひ早めに予定を立ててみてください。私自身も、次の休日には烏丸御池まで足を運んで、実物のスケール感を確かめてこようと思っています。

