中高生の56%が年金に不信感|“わからない”不安と、20代がいまできること

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こんにちは。風読珈琲店のカエデです。

「中高生56%、年金に不信感」というニュースが話題になっています。明治大学の研究チームとNPO法人が中高生を対象に行った意識調査で、2026年8月末に結果が公表されました。

SNSでは「払い損」「ポンジスキームだ」といった声も目立ちます。投資を5年ほど続けてきた一社会人として、この数字をどう読むか、そして20代の私たちに何ができるかを書いてみます。


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調査の概要と主な数字

授業を受ける学生たち
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まず、報道されている調査の中身を整理します。

  • 実施:明治大学専門職大学院ガバナンス研究科と、NPO法人「Social Change Agency」
  • 対象:全国の中学生・高校生 504人(中高生を対象にした全国規模の社会保障意識調査としては初)
  • 調査時期:2024年12月〜2025年1月(結果の公表・報道は2026年8月末)

主な回答は次のとおりです。

質問(要約)「そう思う/ややそう思う」等の割合
将来もらえないかもしれないので年金を負担したくない56.5%
社会保障で若い人と高齢者の間に不公平がある62.9%
20歳になったら公的年金に加入することに納得できる66.1%

調査の規模は504人と大きくはなく、これだけで中高生全体の意識を断定はできません。それでも、これまで数字で語られてこなかった若い世代の受け止めを可視化した点に意味があります。

見出しになった「56%の不信感」の一方で、「20歳での年金加入に納得できる」は66%。不信と納得が同居しているのが、実際のところのようです。

“不信”の中身は「わからない」不安ではないか

将来について考える
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「もらえないかもしれないから払いたくない」——気持ちはよくわかります。ただ、この不安の多くは、制度の中身がよく知られていないことから来ているようにも感じます。

  • 賦課方式:公的年金は「今の現役世代の保険料で、今の高齢者の年金をまかなう」仕組み。積み立てた自分のお金が消えるわけではない
  • マクロ経済スライド:少子高齢化に合わせて給付水準を自動で調整する仕組みがすでに入っている。「ある日突然ゼロになる」設計ではない
  • 保険としての機能:年金は老後だけのものではなく、障害を負ったときの障害年金、亡くなったときの遺族年金も含む。若い世代にも関係する
  • 繰下げ受給:受け取りを遅らせれば年金額は増える。受け取り方にも選択肢がある

「ポンジスキーム」という言葉が独り歩きしていますが、賦課方式は詐欺の仕組みとは別物です。もちろん給付水準の低下という課題は現実にありますが、「わからないまま漠然と怖い」と「仕組みを知ったうえで課題を理解している」は、まったく違う状態です。

「学んだ人ほど納得している」が示すこと

資料を読んで制度を調べる
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この調査でいちばん示唆的なのは、学校の授業で社会保障を学んだ経験の有無で、受け止め方に差が出ている点です。

授業で学んだ経験あり学んだ経験なし
公的年金への加入に納得できる73.6%57.5%
「自分は制度を使っている」という認識52.0%22.6%

研究チームの大山典宏専任教授は、年金や生活保護をめぐる「恥」や「引け目」といった心理的なハードルを初めて可視化したものだと指摘し、社会保障教育は「守りの教育」として、投資などの金融教育と同じくらい重要だと述べています。

知識があると当事者意識が生まれ、当事者意識があると納得感につながる。逆に言えば、不信の一部は「教わっていないこと」の裏返しでもある、ということです。

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年金は「投資の代わり」ではなく「土台」

世代をつなぐ手
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投資をしていると、つい「年金なんて当てにせず自分で運用したほうがいい」と考えがちです。でも、この2つは競合するものではありません。

  • 公的年金(1〜2階):長生き・障害・死亡のリスクに対する、国の社会保険。終身で受け取れるのが最大の強み
  • iDeCo・企業型DC(3階):税制優遇を受けながら、自分で年金を上乗せする制度
  • 新NISA・特定口座:いつでも引き出せる自由度の高い資産形成

年金は「土台」、iDeCoや新NISAは「その上に自分で積む部分」。年金への不信から「払わない」に向かうのではなく、「制度を理解したうえで、自分の上乗せを作る」のが現実的な選択です。

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20代の私たちが実際にやれること

調査結果を「他人事」で終わらせないために、具体的にできることを挙げます。

  • 公的年金の仕組みをざっくり知る:3階建ての構造、賦課方式、保険としての機能。ここを押さえるだけで漠然とした不安はかなり減る
  • 「ねんきんネット」で自分の記録を見る:これまでの加入状況や見込み額を確認できる。自分ごとになる第一歩
  • iDeCo・企業型DC・新NISAで上乗せを作る:少額でよいので早く始める。時間を味方につけられるのは若い世代の特権
  • 学生の間は「学生納付特例」を使う:収入が少ない時期は保険料の納付を猶予できる。未納で放置せず、手続きをしておく(あとから追納も可能)
  • 免除・猶予の制度を知っておく:収入が下がったときに使える。制度を知らずに未納にすると、障害年金の対象から外れることもある

年金制度そのものの仕組みや、iDeCo・企業型DCの使い方は、こちらの記事で20代向けにまとめています。

「ねんきんネット」は、マイナポータルと連携すればスマホからでも確認できます。加入記録に抜けがないか、将来の見込み額はいくらか——一度見ておくだけで、年金が急に「自分の話」になります。就職時に受け取る基礎年金番号の通知も、なくさないよう保管しておきましょう。

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「恥」や「引け目」を可視化した意義

今回の調査で個人的にいちばん重要だと思ったのは、「制度を使うこと=引け目」という感覚を数字で示した点です。

  • 社会保障は「困っている人が受けるもの」というイメージが強く、「自分が使う側になるのは恥ずかしい」と感じる人が少なくない
  • でも、年金も医療保険も雇用保険も、加入者みんなで支え合う仕組みで、受け取るのは当然の権利
  • 行動経済学の観点でも、人は「よくわからないもの」「損得が読めないもの」を避けがち。制度が複雑なほど、この回避が起きやすい

だからこそ、金融教育と社会保障教育はセットで必要なのだと思います。「増やす力」だけでなく「守りを知る力」も、20代のうちに身につけておきたいところです。

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「世代間の不公平」の数字をどう見るか

調査では62.9%が「若い人と高齢者の間に不公平がある」と答えました。これは感覚として自然なものだと思います。ただ、いくつか補助線を引いておきたいところです。

  • 負担が重いのは事実:少子高齢化で、現役世代が支える人数の比率は上がっている。将来世代ほど「払った額に対する受取額」の見え方は厳しくなる
  • 高齢者も現役時代に負担してきた:賦課方式は「上の世代を支え、下の世代に支えられる」設計。世代をまたいだ助け合いという前提がある
  • 調整の仕組みは動いている:マクロ経済スライドや、5年に一度の財政検証で給付水準の見通しは公表されている。ブラックボックスではない
  • 制度改正の論点:被用者保険の適用拡大、在職老齢年金の見直し、支給開始の柔軟化など、不公平を和らげる方向の議論は続いている

不公平感そのものを否定はできません。ただ、「不公平だから払わない」は、自分の障害年金・遺族年金の権利まで手放すことになりかねない。感情と制度設計は分けて考えたいところです。

投資クラスタの「年金不要論」との距離感

SNSでは「年金をあてにせず新NISAで自分年金を作ればいい」という声が強いです。私も投資は続けていますが、置き換えとは考えていません。

  • 終身でもらえる:公的年金は何歳まで生きても支給が続く。個人の資産運用で「一生尽きない」設計を作るのは難しい
  • インフレにある程度連動する:物価や賃金の動きに合わせて改定される。現金や固定額の私的年金にはない特徴
  • 運用は公的にも行われている:年金積立金はGPIFが長期分散で運用しており、長期では収益を積み上げてきた
  • 個人運用は「上乗せ」に向く:自由に引き出せる強みを活かし、公的年金でカバーしきれない部分を補う位置づけが現実的

「年金 vs 投資」ではなく「年金 + 投資」。どちらも役割が違う、というのが5年やってみての実感です。

よくある質問

Q. 学生で保険料を払えないときはどうすればいいですか?

「学生納付特例」を申請すれば、在学中の国民年金保険料の納付が猶予されます。猶予期間も年金の受給資格期間には算入され、万一のときの障害年金の対象にもなります。あとから10年以内なら追納もできます。未納のまま放置するのがいちばん損です。

Q. iDeCoに入れば公的年金は減らせますか?

いいえ。iDeCoは公的年金の代わりではなく、任意で上乗せする私的年金です。公的年金の保険料は別に納める必要があります。iDeCoは掛金が所得控除になるなど税制メリットが大きい制度です。

Q. これから制度が大きく変わる可能性はありますか?

給付水準の調整や、加入・受給の条件変更など、制度の見直しは今後も続く見込みです。だからこそ「一度理解して終わり」ではなく、5年に一度の財政検証や改正のニュースを、そのつど自分ごととして確認する姿勢が大切です。

まとめ

  • 中高生の56.5%が「もらえないかもしれないので年金を負担したくない」と回答。一方で「20歳での加入に納得」は66.1%
  • 授業で社会保障を学んだ層は、加入への納得度(73.6%)も「制度を使っている」認識(52.0%)も高い
  • 不信の一部は「わからない」不安。賦課方式・マクロ経済スライド・保険機能を知るだけで印象は変わる
  • 年金は「土台」、iDeCo・新NISAは「上乗せ」。払わない選択ではなく、理解して備える選択を
  • まずは「ねんきんネット」で自分の記録を見ることから

「年金は不安」で止まらず、「じゃあ自分は何をするか」まで一歩進める。それが、この調査から受け取りたいメッセージです。

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