こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
「フラット35、金利3.46%で過去最高」というニュースが流れました。長期固定の代表的な住宅ローンの金利が、現在の制度になってから最も高い水準まで上がった、という話です。
まだ賃貸暮らしの一社会人ではありますが、投資を続けるなかで金利の動きは毎日見ています。この数字が何を意味するのか、これから家を買う人・すでに借りている人・私のように迷っている人が、それぞれ何を考えるべきかを整理してみます。
何が起きたのか

まず事実関係です。
- 2026年9月のフラット35の最低金利は3.460%(借入期間21年以上・融資率9割以下の場合)。前月8月の3.290%からさらに上昇した
- 現在の制度になった2017年10月以降で過去最高を更新
- 背景は長期金利の急上昇。指標となる新発10年物国債の利回りが、2026年9月初めに一時3.0%をつけた。これは1996年9月以来、約30年ぶりの水準
フラット35の金利は、ここ数年で一気に上がっています。おおよその推移は次のとおりです。
| 時期 | フラット35 最低金利(目安) |
|---|---|
| 2024年 | 1%台後半 |
| 2026年1月 | 2.08%(現行制度で初の2%超) |
| 2026年6月 | 3.21% |
| 2026年8月 | 3.29% |
| 2026年9月 | 3.46%(過去最高) |
2年足らずで、実質的に金利がおよそ2倍になった計算です。3,000万円を35年で借りると、金利が2%上がるだけで総返済額は1,000万円以上変わってきます。
フラット35の仕組みをおさらい
そもそもフラット35がどういうローンなのか、簡単に確認しておきます。
- 全期間固定金利:借りたときの金利が完済まで変わらない。返済額が最後まで読めるのが最大の特徴
- 提供のかたち:住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供する。だから同じフラット35でも、取扱金融機関によって事務手数料などに差がある
- 金利は融資率で変わる:物件価格に対する借入額の割合が9割以下か、9割超かで金利が異なる(9割超のほうが高い)
- 【フラット35】S など:省エネ性能や耐震性などの基準を満たす住宅は、一定期間、金利が引き下げられる制度がある
- 団信:団体信用生命保険は原則として金利に含まれる(加入しない選択も可能で、その場合は金利が下がる)
民間銀行の変動金利と違い、フラット35は「金利上昇リスクを金融機関側が引き受ける」商品です。その安心の対価として、金利は変動型より高めに設定されています。
「逆ザヤ」という異常事態が起きていた
今回の金利上昇には、単なる長期金利高だけでなく、構造的な事情もあります。
- フラット35の原価は「機構債」の利率:住宅金融支援機構は、投資家向けに債券(機構債)を発行して資金を集め、それを住宅ローンとして貸し出している
- 2025年に逆転が起きた:集めるコストである機構債の利率が、貸し出す金利であるフラット35の金利を上回る「逆ザヤ」の状態になった時期があった
- だから金利を上げざるを得ない:原価割れで貸し続けることはできないため、貸出金利の引き上げが続いている
つまり、フラット35の金利は「日銀の政策」だけでなく「資金の調達コスト」で動いている。長期金利が高止まりする限り、当面は下がりにくい構造だということです。
「金利は上がらない」時代の終わり

日本はおよそ四半世紀にわたって超低金利が続いてきました。変動金利0.3%台、フラット35でも1%台という時代が「当たり前」だったわけです。
ところが、2024年に日銀がマイナス金利政策を解除して以降、状況は変わりました。政策金利は段階的に引き上げられ、長期金利もそれに合わせて上昇。いま20代・30代の私たちは、「金利のある世界」で家計や住宅を考える最初の世代になります。
「親世代がローンを組んだときの感覚」や「数年前のネット記事」は、もう参考になりません。前提が変わったことを、まず受け止める必要があります。

変動金利ならまだ低い。でも油断は禁物
フラット35が3.46%になっても、変動金利型の住宅ローンは、ネット銀行を中心にまだ1%を大きく下回る水準が中心です。だからこそ「変動一択」という声も強くなっています。ただ、注意点があります。
- 変動も上がりうる:変動金利は短期金利に連動する。日銀がさらに利上げすれば、変動も上がる。「今低いから」は将来の保証にならない
- 5年ルール・125%ルール:多くの変動型は、金利が上がっても返済額の見直しは5年ごと、上げ幅も1.25倍まで、という緩和措置がある。ただしこれは「返済を先送りしているだけ」で、増えた利息は未払い利息として残る
- 固定との差が広がる局面ほど慎重に:固定と変動の金利差が大きいときほど「変動のほうが得」に見えるが、それは将来の金利上昇リスクを自分で引き受けている対価でもある
「変動でギリギリの借入額」がいちばん危険、というのが基本的な考え方です。
これから家を買う人が考えること

金利が上がったからといって、家を買う判断そのものが間違いになるわけではありません。ただ、詰めるべき点は増えました。
- 借入額を金利で目一杯にしない:「今の金利なら借りられる額」ではなく、「金利が2%上がっても払い続けられる額」で考える
- 固定の“安心料”をどう評価するか:フラット35のような全期間固定は、返済額が読める代わりに金利が高い。複数の金利で総返済額を試算して比較する
- 総コストで見る:頭金・諸費用・団信・火災保険・固定資産税・修繕費まで含めて、毎月いくら出ていくのかを把握する
- 煽りに乗らない:「今買わないともっと上がる」という営業トークは常にある。物件価格自体も高止まりしている。金利と価格の両方を冷静に見る
「金利が怖いから今すぐ」も「金利が高いから絶対やめる」も、どちらも思考停止。自分の返済能力を軸に判断することが大切です。
住宅ローン控除(減税)も忘れずに計算に入れます。ローン残高に応じて所得税・住民税が一定期間軽くなる制度で、金利負担の一部を実質的に取り戻せます。ただし対象になる住宅の性能要件や借入限度額は年々変わっているため、購入前に最新の条件を確認しておきましょう。
すでに変動で借りている人ができること
金利上昇局面では、すでにローンを抱えている人の打ち手も変わります。
- 繰上げ返済の効果が増す:金利が高いほど、繰上げ返済による利息削減効果は大きくなる。余裕資金の一部を返済に回す価値が上がっている
- 借り換えは金利差を冷静に:変動から固定への借り換えは「安心」を買う行為。ただし固定金利も上がっているので、手数料まで含めて損得を試算する
- 家計の余力を確認:金利が1〜2%上がったときの返済額を、銀行アプリのシミュレーションで一度出しておく
- 貯蓄を厚くする:金利上昇で返済額が増えても耐えられるよう、生活防衛資金を積み増しておく
金利上昇の「良い面」も見ておく

住宅ローンを組む側にとって金利上昇は逆風ですが、家計全体で見ると、良い面もあります。
- 預金金利が上がった:メガバンクの普通預金は0.4%、条件なしで1%を出すネット銀行も登場した。「貯めるだけ」でも利息がつく環境になった
- 債券の利回りが改善した:個人向け国債や定期預金の利率も上がり、待機資金の置き場所の選択肢が増えた
- “金利で稼ぐ”余地:これまで日本では難しかった、預金・債券からの利息収入がある程度期待できるようになった
同じ金利上昇でも、借り手には重く、貯め手には追い風。バランスシートの両側で影響を考えたいところです。
私自身は、いまは家を買わずに、頭金と生活防衛資金を高金利の預金でコツコツ増やしながら、物件価格と金利の落ち着きどころを見ています。金利が上がった局面では、「まだ動かない」という選択にも、以前よりずっと合理性があります。



「賃貸か持ち家か」の議論も変わる
金利上昇は、「買うか借りるか」の損得計算にも影響します。
- ローンのハードルが上がった:同じ物件を買うのに必要な総返済額が増えた分、賃貸の相対的な魅力は上がった
- ただし家賃も上がり気味:建築コストや金利の上昇は、新築賃貸の家賃にも波及する。「賃貸なら安泰」でもない
- 結局は数字だけでは決まらない:転勤の可能性、家族構成、住みたい場所、資産として持ちたいか。ライフプランの問題でもある
「今は賃貸で、頭金と生活防衛資金を貯めながら様子を見る」も、立派な戦略。急いで結論を出す必要はありません。

よくある質問
Q. すでにフラット35で借りている場合、金利は上がりますか?
上がりません。フラット35は全期間固定なので、借入時の金利が完済まで続きます。金利が上がって困るのは、これから借りる人です。
Q. 変動金利とフラット35、どちらを選べばいいですか?
一概には言えません。返済額の変動に耐えられる家計の余力があり、繰上げ返済も見込めるなら変動、返済額を固定して生活設計を安定させたいならフラット35、という整理が基本です。借入額が大きいほど、固定の安心が効いてきます。
Q. これから金利は下がりますか?
断定はできませんが、長期金利が高止まりし、調達コストとの逆ザヤ構造も残るなかでは、当面は大きく下がりにくいとみられます。「下がるまで待つ」という前提での購入計画は、慎重に考えたほうがよいでしょう。
フラット35の金利が上がった大もとには、長期金利の急上昇があります。その全体像はこちらで整理しています。

まとめ
- フラット35の2026年9月の最低金利は3.46%で、現行制度になって以降の過去最高。10年国債利回りが約30年ぶりに3%をつけた影響
- 「金利は上がらない」という前提はすでに崩れている。前の世代の感覚や古い記事はあてにならない
- 変動金利はまだ低いが、上がるリスクは自分で負っている。借入額を金利で目一杯にしない
- これから買う人は「2%上がっても返せる額」で、すでに借りている人は繰上げ返済と家計の余力確認を
- 金利上昇は借り手に逆風・貯め手に追い風。預金や債券の環境は改善している
大きな買い物ほど、ニュースの見出しではなく自分の数字で判断する。金利のある世界では、その姿勢がこれまで以上に大事になります。

