こんにちは。風読珈琲店のカエデです。展覧会情報をチェックしていて、思わず二度見してしまうタイトルに出会いました。今回はそんな、ジブリファンと美術館好きの両方が気になりそうな展覧会をご紹介します。
「禅とジブリ」京都展が、2026年10月3日(土)から12月6日(日)まで、京都市京セラ美術館 新館 東山キューブで開催されます。スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫さんの著書を原点にした、ジブリ作品を通して禅の思想に触れるという、これまでにないタイプの展覧会です。会期・見どころ・料金をまとめました。
「ジブリ作品の展覧会」と聞くと、原画や制作資料を展示するタイプを想像する方も多いかもしれませんが、本展はそれとは一線を画す企画です。京都という土地柄もあってか、禅寺の多いエリアならではの切り口とも言えそうです。制作の裏側を知る展示ではなく、作品そのものの見方を問い直す展示、という点が、他のアニメーション関連展とは大きく違うところだと思います。
展覧会概要——会期・会場・料金

本展は、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫さんが3人の禅僧と対談した著書『禅とジブリ』(淡交社)を原点とした企画展です。ジブリ作品を鑑賞しながら、「分けない」「決めつけない」「ありのまま観る」といった禅の考え方に触れられる、体感型の展示になっているとのことです。
- 会期:2026年10月3日(土)〜12月6日(日)
- 会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
- 開館時間:10:00〜18:00(最終入場17:30)
- 休館日:月曜日(祝日は開館)
- 料金:一般・大学生1,900円(前売1,700円)、中高生1,500円(前売1,300円)、小学生1,100円(前売900円)、未就学児無料
前売券は2026年8月1日から発売されており、前売ペアチケット(一般2枚、3,200円)を使うと通常の前売料金より1枚あたり300円お得になります。友人や家族と一緒に訪れる予定がある方は、まとめて購入しておくのがおすすめです。
チケットはコンビニ発券やオンラインチケットサービスなど複数の販売経路が用意されているようなので、自分が使い慣れているサービスで購入するとスムーズです。当日券も用意されていますが、話題の展覧会だけに、確実に鑑賞したい方は前売券を確保しておくと安心です。

「禅とジブリ」という発想——3人の禅僧との対談から
本展の原点となった書籍『禅とジブリ』は、鈴木敏夫さんが玄侑宗久さん(作家・福聚寺住職)、横田南嶺さん(臨済宗円覚寺派管長)、細川晋輔さん(龍雲寺住職)という3人の禅僧と対談した内容をまとめたものです。『もののけ姫』や『火垂るの墓』といったジブリ作品の名場面を、禅的な視点から読み解いていく内容になっています。それぞれ異なる宗派・立場の禅僧が参加しているのも、本の厚みを増している理由のひとつだと思います。
- 対談相手:玄侑宗久(福聚寺住職)、横田南嶺(円覚寺派管長)、細川晋輔(龍雲寺住職)
- テーマ:ジブリ作品に描かれた死生観・人生哲学を禅の視点から読み解く
- 原点:鈴木敏夫『禅とジブリ』(淡交社)
アニメーションと禅、一見結びつかなそうな二つのテーマですが、宮﨑駿監督や高畑勲監督との長年の制作経験を持つ鈴木さんが語ることで、単なるこじつけではない説得力が生まれているのだと思います。物語の中の何気ない一場面が、実は禅的な視点で語れる、という発見は、ジブリ作品を見返すきっかけにもなりそうです。
本の中で語られる「分けない」「決めつけない」「ありのまま観る」という考え方は、禅の世界では基本的な姿勢とされているものです。良い・悪い、好き・嫌いといった二元論で物事を判断する前に、まずそのまま受け止めてみる。ジブリ作品に登場するキャラクターたちの行動や選択も、そうした視点で見返すと、これまでとは違った印象を受けることがあるかもしれません。
特に、答えを急いで出そうとしないという姿勢は、宮﨑駿監督の作品にしばしば見られる「はっきりとした説明を与えない」演出とも重なる部分があります。観客それぞれが自分なりの解釈を持ち帰ることを許容する作風と、禅の「ありのまま観る」という考え方には、確かに通じるものがあるように感じます。
見どころ——『君たちはどう生きるか』の世界を中心に

展示の中心となるのは、第96回アカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞した『君たちはどう生きるか』の世界です。アオサギに導かれて主人公が迷い込む「あっちの世界」を、立体造形や空間演出で表現しているとのことです。
- 中心となる作品:『君たちはどう生きるか』(第96回アカデミー賞長編アニメーション映画賞受賞)
- 展示要素:立体造形・空間演出、名セリフや場面写真、鈴木敏夫さんの書
- そのほかの見どころ:『千と千尋の神隠し』『崖の上のポニョ』『ハウルの動く城』など、作品にたびたび登場する「あっちの世界」の表現
千尋が迷い込んだ油屋の世界や、ポニョの海の中、ハウルの不思議な城——ジブリ作品には「日常とは違うもう一つの世界」がたびたび描かれてきました。本展ではそうした「あっちの世界」を横断的に見せることで、ジブリ作品に通底する世界観そのものを浮かび上がらせようとしているようです。実際の映像だけでなく、立体造形として空間の中に再現される展示は、映画館やスクリーンとはまた違った没入感を味わえそうです。
鈴木敏夫さんの書が展示されるという点も見逃せないポイントです。プロデューサーとして数々の名作を世に送り出してきた鈴木さんが、文字という形でどんな言葉を残しているのか。映像作品からは見えてこない、また違った角度からの「ジブリ」を感じられる展示になりそうです。名セリフのパネルや場面写真とあわせて見ることで、物語の記憶がより鮮明によみがえってくるのではないでしょうか。

京都市京セラ美術館の他の展覧会もあわせてチェック
会場の京都市京セラ美術館は、これまでも話題の展覧会を数多く開催してきた美術館です。以前ご紹介した歌川国芳の浮世絵展も、同じ京セラ美術館での開催でした。ジャンルの異なる展覧会をあわせてチェックしてみるのもおすすめです。
京都市京セラ美術館は、日本の公立美術館としては最古級の歴史を持つ施設で、近年の改修を経て新館「東山キューブ」が新設されました。今回の「禅とジブリ」展のような、体験型・企画型の大型展示は、この新館ならではの柔軟な空間デザインを活かした企画になることが多いようです。歴史ある本館と現代的な新館が同居している点も、この美術館ならではの見どころのひとつだと思います。

また、体験型の展示という点では、大阪南港ATCギャラリーで開催中の「ジブリパーク展」も似た魅力があります。世界観に浸れる体感型の展示を探している方は、あわせて検討してみてください。会場によって切り口が異なるので、両方を見比べてみるとジブリ作品の楽しみ方の幅がさらに広がりそうです。

アクセスと来場のポイント

会場の京都市京セラ美術館は、平安神宮のすぐそば、岡崎公園エリアに位置しています。周辺には京都国立近代美術館やロームシアター京都なども集まっており、美術館めぐりの拠点として訪れやすいエリアです。
岡崎エリアは琵琶湖疏水沿いの散策路も整備されており、美術館めぐりの合間に少し歩くだけでも気持ちの良い時間が過ごせます。秋が深まってくる会期後半には、疏水沿いの紅葉も楽しめそうです。
- 住所:京都市左京区岡崎円勝寺町124
- 開館時間:10:00〜18:00(最終入場17:30)
- 休館日:月曜日(祝日は開館)
- 電話:075-771-4334
会期は約2カ月とやや長めですが、人気シリーズの展覧会だけに、会期後半は混雑が予想されるので、興味のある方は早めの来場を検討しておくのがおすすめです。10月に入ると京都も少しずつ秋めいてくるので、平安神宮の参拝や岡崎公園の散策とあわせて訪れるのも良さそうです。会期中は平日と休日で混み具合が大きく変わることも多いので、スケジュールに余裕がある方は平日を狙うと落ち着いて鑑賞できるはずです。最新情報や混雑状況は公式Xでも発信されているので、訪問前にチェックしておくと安心です。

まとめ
- 「禅とジブリ」京都展は京都市京セラ美術館で2026年10月3日〜12月6日開催
- 鈴木敏夫さんと3人の禅僧との対談本『禅とジブリ』が原点
- 『君たちはどう生きるか』の世界を中心に、立体造形・空間演出で「あっちの世界」を体感できる
- 料金は一般1,900円(前売1,700円)、ペアチケットならさらにお得
- 会期後半は混雑が予想されるため早めの来場がおすすめ
ジブリ作品をただ懐かしむだけでなく、「なぜあの場面は心に残るのか」を禅というフィルターを通して考え直せる、これまでにないタイプの展覧会です。アニメーションと禅、それぞれに興味がある方はもちろん、そうでない方にも新しい発見がありそうな展覧会だと思います。休日にゆっくり時間を取って、日常のペースを少し離れた気持ちで訪れてみるのも良さそうです。

