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百済寺の秘仏、MIHO MUSEUMで寺外初公開|9/26開幕、十一面観音と近江の仏教美術

美術
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こんにちは。風読珈琲店のカエデです。

滋賀の山あいにたたずむMIHO MUSEUMで、この秋、とても貴重な仏さまに出会える機会があります。天台宗の古刹・百済寺(ひゃくさいじ)の本尊「十一面観音立像」が、寺外では史上初めて公開される特別展「百済寺と近江の仏教美術―百済寺秘仏公開によせて―」が、2026年9月26日(土)から開催されます。

普段は秘仏として扉の奥に安置され、寺でも2006年と2014年の2回しか御開帳されたことのない仏像です。それが山を越えてMIHO MUSEUMまでやってくるというのは、なかなか起こらない出来事だと思います。この記事では、展覧会の概要とあわせて、百済寺というお寺そのものの魅力、そしてMIHO MUSEUMという美術館の独特な建築についてもご紹介します。

正直に言うと、私自身も「近江の仏教美術」と聞いてすぐにピンとくるほど詳しいわけではありません。それでも、聖徳太子ゆかりの秘仏が初めて寺の外に出るというニュースを知って、これは見逃せないと思い今回記事にすることにしました。歴史や仏像に詳しくない方にとっても、十分に楽しめる内容だと思います。


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百済寺と近江の仏教美術展とは

緑豊かな庭園にたたずむアジア様式の寺院建築
Photo by Enric Cruz López on Pexels

百済寺は、聖徳太子の創建と伝わる近江最古の仏教寺院のひとつで、金剛輪寺・西明寺とともに「湖東三山」の一つに数えられています。紅葉の名所としても知られ、参道から望む庭園越しの眺望「天下遠望の名園」でも有名です。本展では、その百済寺に伝わる秘仏本尊「十一面観音立像」(高さ約2.6m)をはじめ、近江地域に伝わる金銅仏・木彫仏、天台宗ゆかりの絵画などがまとめて紹介されます。

  • 会期:2026年9月26日(土)〜12月6日(日)
  • 会場:MIHO MUSEUM 北館(滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300)
  • 開館時間:10:00〜17:00(入館は16:00まで)
  • 休館日:月曜日(10月12日・11月23日は開館、10月13日・11月24日は休館)
  • 観覧料:大人1,300円/大学生・高校生1,000円/中学生以下無料(20名以上の団体は各200円引き)

出品作には、重要文化財の「絹本著色日吉山王神像」(鎌倉時代)や、織田信長が発した朱印状なども含まれます。信長といえば比叡山焼き討ちのイメージが強いですが、百済寺も天正元年(1573年)に信長軍によって焼失した歴史を持つお寺。歴史の教科書で読んだ出来事が、こうして一枚の古文書として目の前に現れるのは、博物館・美術館めぐりならではの面白さだと思います。

本尊の植木観音は、焼き討ちの直前に約8km離れた奥の院不動堂へ避難させられていたため難を逃れ、寺そのものは慶安3年(1650年)に本堂などが再建されるまで、長い時間をかけて復興していきました。数百年にわたる焼失と再興の歴史をくぐり抜けてきたからこそ、この秋の寺外初公開が持つ意味は一層重く感じられます。

会期・料金などの最新情報は、必ず公式サイトでご確認ください。

百済寺と近江の仏教美術ー百済寺秘仏公開によせてー – MIHO MUSEUM

展覧会の最新情報や混雑状況は、MIHO MUSEUM公式Xでも発信されています。

MIHO MUSEUM (@mihomuseum) on X
ミホミュージアム #MIHOMUSEUM開館日・入館料等の詳細は公式サイト でご確認ください。夏季特別展「虹色みぃつけた!」 #虹色みぃつけた2026年7月4日(土)~8月30日(日)

百済寺という古刹について

百済寺は606年(推古14年)、聖徳太子の創建と伝わる近江随一の古刹です。本尊の「十一面観音立像」は、別名「植木観音」とも呼ばれ、聖徳太子が自ら彫ったご神木がそのまま本尊になったという言い伝えを持つ、秘仏中の秘仏です。鎌倉時代には僧坊1,300を数える一大寺院にまで発展しましたが、天正元年(1573年)、織田信長による焼き討ちで壮大な伽藍のほとんどを焼失した過去も持ちます。

普段この秘仏は、お寺でもめったに公開されません。2006年、2014年の御開帳でようやく寺外に伝わったほどの貴重さで、寺の外に出て公開されるのは今回が初めてとのこと。滋賀県内の仏教美術に関心がある方はもちろん、そうでない方にとっても「一生に一度あるかないかの機会」と言えそうです。

百済寺は、境内の高台から東方に広がる湖東平野を一望できる庭園「天下遠望の名園」でも知られています。特に紅葉のシーズンは、真っ赤に染まった参道の先に琵琶湖まで見渡せる景色が広がり、県内でも屈指の紅葉スポットとして親しまれています。焼失と再建を繰り返しながらも守り継がれてきた伽藍と庭園は、それ自体が近江の仏教文化の厚みを物語る存在だと感じます。

お寺自体を訪れたことがある方も、そうでない方も、まずは公式サイトで百済寺の歴史や境内の様子を眺めてみると、展覧会の見どころがより深く理解できると思います。

天台宗湖東三山釈迦山百済寺公式サイト

建築そのものが見どころ、MIHO MUSEUMという美術館

内側から見上げたガラス張りの幾何学的な天井
Photo by Chrys Stam on Pexels

MIHO MUSEUMは、パリのルーヴル美術館のガラスのピラミッドを手がけたことでも知られる建築家I.M.ペイが設計した美術館です。中国の古典「桃花源記」(武陵の漁師が洞窟の先で理想郷にたどり着く物語)をモチーフに、桜並木の小道からトンネルと吊り橋を抜けてようやく美術館本館にたどり着くという、建物にたどり着くまでの「体験」そのものが設計されているのが最大の特徴です。

銀色に光るトンネルの壁面には季節の景色が淡く映り込み、春は桜、秋は紅葉と、訪れる時期によってまったく違う表情を見せてくれます。今回の会期は9月26日から12月6日までなので、ちょうど紅葉が色づき始める時期と重なります。仏教美術としての見応えはもちろんですが、美術館にたどり着くまでの散策自体も、この展覧会の大きな楽しみのひとつだと思います。

  • アクセス:JR「石山駅」南口3番のりばから帝産バスで約50分(大人820円)
  • 建築:I.M.ペイ設計。トンネルと吊り橋を渡って本館へ向かうアプローチが名物
  • ロケーション:滋賀県甲賀市信楽町の山中、”現代の桃源郷”とも称される

山道を進んだ先に忽然と現れる美術館という立地上、公共交通機関を使う場合は時間に余裕を持ったスケジュールを組んでおくのがおすすめです。車で向かう場合は、新名神高速道路の信楽インターチェンジから約15分ほど。大阪・京都からでも日帰りで十分に楽しめる距離感です。

館内にはレストラン「Peach Valley」やカフェ「パインビュウ」、ベーカリー「MIHO BAKERY」も併設されており、秀明自然農法で育てた地元食材を使ったメニューを味わいながらゆっくり過ごせるのも魅力のひとつ。仏像鑑賞の合間に、山の景色を眺めながらひと息つく時間も、ぜひスケジュールに組み込んでみてください。


仏教美術としての見どころ

並んで安置された黄金の仏像
Photo by Nicolas Postiglioni on Pexels

本展の中心となる「十一面観音立像」は、頭上に11の顔を持ち、あらゆる方向の人々の苦しみを見つめて救うとされる観音菩薩です。正面の菩薩面のほか、慈悲の顔、憤怒の顔、笑いの顔など、頭上の面ひとつひとつに異なる表情が刻まれており、あらゆる方角・あらゆる感情の人々を漏れなく救おうとする意図が込められていると言われています。高さ約2.6mという迫力のある一木造りの像は、間近で見ると、木そのものが持つ質感や、長い年月を経て刻まれた表情の重みを強く感じられるはずです。

「植木観音」という異名も印象的です。聖徳太子が高句麗僧・恵慈の導きで見つけた巨木の根元部分に、根がついたままの状態で十一面観音を彫り上げたという伝承に由来し、木の上半分は海を渡って百済の龍雲寺の本尊になったとも伝えられています。奈良時代にまでさかのぼる一木造りで、滋賀県内最古の木彫仏ともいわれる由緒ある一体です。普段は絶対に足を運べない秘仏の懐に、山あいの美術館という開かれた場所でそっと触れられる。そんな貴重な巡り合わせが、今回の展覧会の一番の見どころだと思います。

あわせて展示される近江地域の金銅仏や木彫仏は、湖東三山をはじめとする近江の寺院が、古くから畿内と東国を結ぶ交通の要衝として仏教文化の集積地であったことを物語る貴重な資料群です。単体の名品として鑑賞するだけでなく、「なぜ近江にこれだけの仏教美術が集まったのか」という背景まで含めて見ていくと、展示の理解がぐっと深まると思います。

普段は仏像や古美術にそこまで詳しくない私でも、こうして一体一体の背景を調べていくと、単なる「古いもの」ではなく、当時の人々の祈りや職人の技術、時代ごとの権力争いまでが刻み込まれた、生きた記録のように感じられてきます。展覧会場では、キャプションや解説をあわせて読みながら、それぞれの像がどんな時代を生き延びてきたのかを想像しながら鑑賞するのがおすすめです。

関西エリアで同時期に開催中のほかの展覧会は、こちらの記事でまとめて紹介しています。秋の展覧会めぐりの参考にしてみてください。

関西の美術展まとめ|2026年8月に観られる展覧会
大阪・京都・神戸・奈良で今見られる美術展を一覧化。フェルメール展や歌川国芳展など会期終了が近い展覧会から、良寛展や正倉院展など9月以降に開幕する展覧会まで、風読珈琲店が取材した情報をまとめました。

まとめ

「百済寺と近江の仏教美術―百済寺秘仏公開によせて―」は、寺外初公開となる秘仏「十一面観音立像」に会える貴重な機会です。会期は2026年9月26日(土)から12月6日(日)まで、会場はI.M.ペイ設計のMIHO MUSEUM北館です。

  • 会期は2026年9月26日(土)〜12月6日(日)、月曜休館(一部例外あり)
  • 百済寺の秘仏本尊「十一面観音立像」(高さ約2.6m)が寺外で史上初公開
  • 近江地域の金銅仏・木彫仏、重要文化財の古文書もあわせて展示
  • 会場のMIHO MUSEUMは建築そのものが見どころ、トンネルと吊り橋のアプローチが名物
  • JR石山駅からバスで約50分、紅葉が色づき始める時期と会期が重なる

普段は扉の奥にひっそりと安置されている仏さまに、山あいの美術館で静かに向き合う。そんな特別な時間を過ごしに、この秋は少し足を延ばしてみてはいかがでしょうか。会期後半は紅葉シーズンとも重なり混雑も予想されるので、行きたい時期が決まっている方は早めにスケジュールを組んでおくことをおすすめします。

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