こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
「休日に10時間寝たのに、なぜかだるい」「夜になってもなかなか眠くならない」。社会人になってから、こんな経験が増えました。睡眠は毎日のことなのに、その仕組みをきちんと知る機会は意外とありません。
そんなときに見て面白かったのが、科学系YouTubeチャンネル「VAIENCE バイエンス」の、睡眠学者・柳沢正史先生(筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構〔WPI-IIIS〕機構長)の回です。柳沢先生は、目覚めを保つ脳内物質「オレキシン」を発見した、世界的な睡眠研究者です。
この記事では、動画で語られていた内容を中心に、眠気はどこから来るのか、レム睡眠・ノンレム睡眠で何が起きているのか、寝不足が脳と体に何をもたらすのか、そしてよく眠るために本当に大事なことを、やさしく整理しました。柳沢先生の考えをまとめた著書も出ています。
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そもそも、なぜ生き物は眠るのか?
眠っている間は、周りへの反応が鈍り、外敵に襲われる危険も高まります。それでも、調べられる限りすべての動物が眠ることが分かっています。柳沢先生によると、「人はなぜ眠るのか」は睡眠学の立場からは「永遠の謎」とも言える、とても難しい問いなのだそうです。
脳を持たないクラゲも眠る
2000年前後から、魚だけでなく、昆虫やイカ・タコのように体のつくりがまったく違う無脊椎動物も眠ることが報告されてきました。さらに2017年には、クラゲも眠るという論文が発表されます。クラゲは神経細胞は持っていますが、脳(中枢神経系)は持っていません。
つまり、睡眠は脳よりも先に「発明」されたと言えるのです。脳を持つ生き物のために睡眠があるのではなく、神経を持つ生き物にとって、もっと根源的な何かのために睡眠がある。そう考えるとワクワクしますね。
動物たちのいろいろな眠り方
- ペンギンの一種:1回4〜5秒ほどの短い眠りを1日に何千回も繰り返し、合計すると何時間も眠っている
- イルカ・クジラの仲間:脳の右半球と左半球が交互に眠れるので、外からは24時間泳ぎ続けているように見える
- タコ:「静かな眠り」と「活発な眠り」の2種類があり、活発な眠りの間に皮膚の色が次々と変わる。夢のようなものを見ているのでは、という解釈もある
どう眠るかは種によってさまざまですが、「なぜ眠らなければならないのか」はやはり謎のまま。もう一つの大きな謎が「眠気とは、脳の中で具体的にどういう状態なのか」です。次はその眠気の話です。
眠気を決める2つの仕組み(2プロセスモデル)

眠気を説明する考え方としてよく使われるのが、スイスの研究者ボルベイが1982年に提唱した「2プロセスモデル」です。眠気は次の2つの仕組みの組み合わせで決まる、という考え方です。
プロセスS:起きている時間に比例してたまる「睡眠圧」
1つめは、起きている時間が長くなるほどたまっていく「睡眠圧(睡眠欲求)」です。長く起きているほど眠くなり、眠ることでしか解消されません。関わる物質の候補としてよく挙げられるのがアデノシンで、脳が活動すると蓄積して眠気を強めると考えられています。
ただし柳沢先生は、この「眠気の実態」が脳の中でどういう状態なのかは、まだほとんど分かっていないと話しています。当たり前に感じる眠気も、実は最先端の研究テーマなのです。
プロセスC:約24時間周期の「体内時計」
2つめは、概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれる体内時計です。脳の視床下部にある視交叉上核(しこうさじょうかく)が司令塔となって、体温やホルモン分泌を約24時間の周期で調整しています。
人の体内時計の周期は24時間より少し長い(約24.2時間とする研究が有名です)ため、放っておくと少しずつ後ろにずれていきます。それを毎日リセットしているのが朝の光です。
2つが重なって「眠くなる時間」が決まる
- 日中:睡眠圧はたまっているが、体内時計が「覚醒」を後押しするので起きていられる
- 夜:体内時計の覚醒シグナルが弱まり、たまった睡眠圧が勝って眠くなる
- 昼過ぎの眠気:体内時計のリズムにより、午後の早い時間帯にも眠気の小さな山がある
休日に昼まで寝ると夜眠れなくなるのは、睡眠圧が十分にたまらないうえに、体内時計が後ろにずれてしまうから。2つのプロセスで考えると、よくある悩みの理由が見えてきます。
目覚めを保つ「オレキシン」の発見
眠気の反対側、つまり「起きている状態を保つ仕組み」の解明に大きく貢献したのが、柳沢先生たちによるオレキシンの発見です。
1990年代後半、柳沢先生のチームは脳内の新しい物質としてオレキシンを見つけました。オレキシンを作る神経細胞が食欲に関わる部位(視床下部)にあり、ネズミに注射するとよく食べるようになったことから、1998年の最初の論文では「食欲を制御する物質」として報告しています。
ところが、オレキシンを作れないマウスを調べても、食事量も体重もほとんど変わりません。困った末に、夜行性のマウスを夜間に赤外線カメラで撮影したところ、活発に動いていたマウスが突然パタッと倒れ、しばらくするとまた動き出す様子が映っていました。脳波を測ると、倒れた瞬間に覚醒からいきなり睡眠へ移っていたのです。
これは、日中に突然眠り込んでしまう病気「ナルコレプシー」とまったく同じ症状でした。ほぼ同じ時期に、スタンフォード大学のエマニュエル・ミニョー教授らも、ナルコレプシーの犬の原因遺伝子がオレキシンの受容体だったことを突き止めています。こうして、オレキシンは脳を覚醒状態に保つための「覚醒系の親玉」であることが分かりました。
この発見から、オレキシンの働きを抑えて自然な眠りを促す新しいタイプの睡眠薬(オレキシン受容体拮抗薬)が生まれ、日本でも約10年前から使われています。逆にオレキシンの働きを補う薬は、ナルコレプシーの治療薬として期待されています。柳沢先生とミニョー教授は、2023年のブレイクスルー賞などを共同受賞しています。
コーヒーで眠気が消えるのはなぜ?
風読珈琲店としては外せない話題です。コーヒーに含まれるカフェインは、アデノシンが結合する受容体に代わりにくっつき、「眠気のシグナル」をブロックすると考えられています。だから飲むと目が覚めたように感じるのです。
ただし、カフェインは睡眠圧そのものを消しているわけではありません。眠気を一時的に感じにくくしているだけなので、効果が切れると、たまっていた眠気がまとめて押し寄せることがあります。
カフェインが体内で半分になるまでの時間(半減期)は数時間とされ、個人差もかなりあります。夕方以降のコーヒーが夜の寝つきに響く人がいるのはこのためです。わたしも平日のコーヒーは午後早めまでにして、夜はデカフェにすることが多くなりました。
眠りの中身:レム睡眠とノンレム睡眠

哺乳類の眠りは、大きくノンレム睡眠とレム睡眠の2種類に分かれます。「レム(REM)」は Rapid Eye Movement の略で、まぶたの下で眼球が素早く動くことから名づけられました。
| ノンレム睡眠 | レム睡眠 | |
|---|---|---|
| イメージ | いわゆる「すやすや」眠っている状態 | 体は眠り、脳は活発な「ちぐはぐ」な状態 |
| 体の状態 | 呼吸や心拍が規則的になる | 呼吸と目以外の全身の筋肉が脱力。呼吸や心拍は不規則に |
| 夢 | 見てもぼんやりした夢 | 鮮明でストーリーや感情を伴う夢 |
| 深さ | 浅い段階(N1・N2)から深い段階(N3)まである | 大きな音でないと起きにくく、ある意味では深い眠り |
「夢を見ているレム睡眠は浅い眠り」と思われがちですが、柳沢先生によると、強い刺激を与えないと起きないという意味で、レム睡眠はそれはそれで深い睡眠なのだそうです。また、ノンレム睡眠中も脳の活動が止まっているわけではなく、外から見るとすやすや眠っている間に「オフラインのメンテナンス作業」をしているイメージです。
ノンレム睡眠の3段階
- N1(入眠期):うとうとした状態。物音ですぐ目が覚める
- N2(軽睡眠期):本格的に眠った状態。一晩の睡眠の中で最も長い時間を占める
- N3(深睡眠・徐波睡眠):ゆっくりした大きな脳波が出る、いちばん深いノンレム睡眠
夢は記憶の「リプレイ」
では、なぜ夢を見るのでしょうか。睡眠中には、起きている間の出来事や覚えたこと、印象に残った光景などがリプレイ(再生)されていて、その一部が意識にのぼったものが夢だと考えられています。このリプレイは記憶の整理や定着に必要だと分かっています。
さらに、レム睡眠中の感情を伴う鮮明な夢には、現実に起こりうるストレスフルな場面を「予行演習」して、ストレスへの耐性をつける役割がある、という説を唱える心理学者も多いそうです。嫌な夢にも意味があるのかもしれません。
一晩の流れ:約90分の睡眠サイクル
眠りにつくと、まずノンレム睡眠で深い段階へ下りていき、その後レム睡眠が現れます。この「ノンレム→レム」のひと区切りが約90分(個人差があり、おおむね90〜120分)で、一晩に4〜5回ほど繰り返されます。
- 前半:いちばん深いノンレム睡眠(N3)が、寝始めの3時間ほどの間に集中して現れる
- 後半:深い睡眠は減り、レム睡眠や浅めのノンレム睡眠が増える。明け方に夢を見やすいのはこのため
「睡眠のゴールデンタイム」はほぼ嘘
「夜10時〜午前2時はゴールデンタイム」「寝始めの3時間が大事」という話をよく聞きます。寝始めにいちばん深い睡眠が来て、その間に記憶の整理や成長ホルモン(大人でも骨・筋肉・肌のメンテナンスに重要)の分泌が起こるのは事実です。
しかし柳沢先生は、これを「ほぼ嘘」とばっさり。ここ10〜20年の研究で、夜の後半に増えるレム睡眠や浅いノンレム睡眠も、すべて大事だと分かってきたからです。ゴールデンタイムなどはなく、一晩の睡眠全部が大事というのが結論です。「90分の倍数で起きるとすっきりする」という話も、サイクルの長さには個人差があるので、目安程度に考えておくのがよさそうです。
眠っている間に脳と体がしていること
記憶の整理・定着
レム睡眠・ノンレム睡眠のどちらでも記憶の整理が行われていると考えられています。ノンレム睡眠では直近の記憶を長期記憶へ移す働き、レム睡眠ではスポーツや楽器のような言葉にしにくい技能の定着に関わるとされますが、詳しい仕組みはまだ研究中です。
確かなのは、しっかり眠ると覚えたことが定着するということ。柳沢先生は、一夜漬けは睡眠学的にはまったくおすすめできない、勉強したあとに夜しっかり眠ることが大事で、受験生こそよく眠ってほしい、と話しています。
記憶の仕組みそのものについては、脳の教科書を解説したこちらの記事でも触れています。

脳のメンテナンス
2013年には、マウスの研究で、眠っている間に脳内の老廃物の排出が活発になることが報告され、「グリンパティック系」として注目されました。人での詳しい仕組みはまだ研究が続いていますが、睡眠が脳のメンテナンスの時間でもある可能性が示されています。
脳の全体像や神経の働きについては、こちらの記事も参考になります。

寝不足は「酔っ払い」と同じ?睡眠不足と睡眠負債
眠る理由はまだ謎でも、眠らないと何が起きるかはよく分かってきています。動画で紹介されていた数字は、かなり衝撃的でした。
- 徹夜1回:脳のパフォーマンスは、純アルコール20gを1単位として3〜4単位(ワインならボトル1本ほど)飲んだ後と同じくらいまで落ちる
- 1日6時間睡眠を2週間:徹夜1回と同じくらいまで下がる
- 1日4時間睡眠を2週間:3晩眠っていないのと同じくらいまで下がる
怖いのは、4時間睡眠を2週間続けても、本人が感じる眠気は「一晩徹夜した程度」にしかならないこと。慢性的な寝不足には、自覚が追いつかないのです。仕事のスピードや正確さだけでなく、イライラしやすくなるなど感情のコントロールや、自分を客観的に見る力(メタ認知)、創造性も落ちてしまいます。
体への影響も大きく、慢性的な寝不足はうつなどのメンタル不調、肥満・高血圧・糖尿病といった生活習慣病、免疫力の低下、将来の認知症などのリスクを高めるとされています。しかも病気になると睡眠も悪くなる、という悪循環に陥りがちです。
寝だめは「貯金」ではなく「借金の返済」
たまった睡眠不足は睡眠負債と呼ばれます。平日の寝不足を週末に長く寝て取り戻す人は多いと思いますが、これは睡眠を貯金しているのではなく、たまった借金を返している状態です。睡眠が足りている状態ではそれ以上眠れないので、厳密には睡眠の貯金はできません。
さらに、しっかり返済するには最低でも3〜4日はかかるとされ、土日の2日間ではおそらく足りないのだそうです。なお、眠れないときに「横になって目をつぶっているだけでも休まる」とよく言いますが、柳沢先生によると、眠らない限り睡眠負債は解消されません。
睡眠の質で一番大事なのは「量」
必要な睡眠時間には個人差があり、ばらつきはおよそプラスマイナス1時間。年齢でも大きく変わり、平均すると20歳前後で8時間半近く、70歳では6時間半以下になるそうです。この個人差は遺伝の影響が大きく、身長以上に遺伝しやすいとのこと。
いわゆるショートスリーパーは、生まれつき必要な睡眠時間がとても短い、ごくまれな体質の人たちです。訓練してショートスリーパーになることはできないと、柳沢先生ははっきり言っています。
自分に必要な睡眠時間を知る方法
柳沢先生がすすめるのは、連休などを使って4晩続けて、眠れるだけ眠ってみる方法です。睡眠負債がある人は1晩目にとても長く眠り、2晩目、3晩目と短くなって、4晩目あたりで落ち着きます。その3晩目・4晩目以降の睡眠時間が、あなたにとって必要十分な睡眠時間の目安です。
「質を上げれば短くていい」は通用しない
「睡眠の質を高めれば短時間でも大丈夫」と考えたくなりますが、柳沢先生いわく、睡眠の質で一番大事なのは量。日本の若い世代は全体的に睡眠不足ですが、短い睡眠の中で脳ができるだけ深く眠ろうとするため、深い睡眠はむしろ多く取れていることも分かっています。まず十分な睡眠時間を確保して、その上で質を上げていく、という順番が大切です。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、成人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。
仕組みから考える、よく眠るためのコツ

睡眠時間を確保したうえで、質を高めるためのポイントです。動画で柳沢先生が話していた内容を中心にまとめました。
寝室は「暗くて静かで朝まで適温」
- 暗く:眠っている間は原則真っ暗に
- 静かに:物音をできるだけ減らす
- 朝まで適温:夏も冬もエアコンは切らない
体内時計を整える
- 毎日同じ時刻に寝て起きる:休日も含めて、規則的な睡眠を
- 朝はカーテンを開けて光を浴び、朝食を食べる:体内時計(プロセスC)のリセット
- 夜8〜9時以降は明るい光を避ける:理想は「薄暗い」と感じるくらい。日本の住宅は夜の照明が世界的に見ても明るすぎるそう
- カフェインは午後早めまで:アデノシンのブロックが夜まで残らないように
寝る前の過ごし方
- 入眠儀式(ベッドタイムルーティン)を持つ:毎晩似た行動をとると、体が「眠る時間だ」と覚えて眠くなる。何がいいかは人それぞれなので、自分がリラックスできることを
- スマホは「光」より「中身」に注意:今のスマホは夜になると自動で暗く・黄色っぽくなるので、ブルーライトが悪いという説には実はあまり根拠がないそう。問題はゲームやSNS、ショート動画のような次々と操作したくなるコンテンツで、気づけば1〜2時間たって睡眠が削られてしまう
- 寝酒はNG:アルコールで寝つけても、深い睡眠が減り、途中で目覚めやすくなって睡眠の質は最悪。毎晩飲まないと眠れない人は、医師に相談して処方薬を使う方が頭にも体にもいい
眠れない夜・朝の起き方
- 眠れないままベッドで悶々としない:毎晩繰り返すと「ベッド=眠れない場所」と体が覚えてしまい(心理学でいう条件づけ)、本格的な不眠症の入り口になる
- 15秒呼吸:柳沢先生が実践しているのは、7秒ほどかけて鼻からゆっくり大きく吸い、8秒ほどかけて吐く深呼吸。4回で1分。心拍を数えながらやると、いつの間にか寝落ちできるそう
- スヌーズは1回まで:何度もスヌーズを繰り返す間の眠りはとても浅く、時間の無駄。アラームは本当に起きる時刻の10分前と起きる時刻の2回までに
どれも地味ですが、「十分な時間を確保して、体内時計をそろえる」という仕組みにかなった方法です。わたしも休日の寝だめをやめて、朝はカーテンを開けて日を浴びながらコーヒーを淹れるようにしたら、日曜の夜に寝つけないことがだいぶ減りました。寝る前のショート動画は……耳が痛いので、これから気をつけます。
見逃されがちな睡眠の病気
代表的な睡眠の病気が不眠症と睡眠時無呼吸症候群です。一方は「眠れない」と強く自覚する病気、もう一方は本人が気づきにくい病気です。
不眠症:最も効果があるのは「認知行動療法」
不眠の訴えはとても多く、国民の4〜5人に1人、高齢者では3人に1人ほどにのぼるそうです。世界的に最も効果があるとされる治療は、睡眠薬ではなく認知行動療法という心理学的な治療法です。
たとえば「早く寝なきゃ」と夜10時からベッドに入り、眠れずに不安がつのる悪循環に対して、あえてベッドにいる時間を短くする(遅寝・早起き)ようにします。しばらくは昼間眠くなりますが、やがてベッドではぐっすり眠れるようになり、眠りへの不安が取れていく、という考え方です。
睡眠時無呼吸症候群:「たかがいびき」と思わない
柳沢先生によると、日本国内で睡眠時無呼吸のある人は約2,200万人、治療が必要な中等症以上だけでも潜在的に約940万人と言われています。重症のまま治療しないと、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが大きく上がるという調査もあり、放っておいてはいけない病気です。
- 大きないびき:大きないびきをかく人は、多かれ少なかれ無呼吸があると考えた方がいい
- 夜中に何度もトイレに起きる:夜間に2〜3回以上起きる人は無呼吸を疑ってみる
- やせていてもなる:特にアジア人は、あごの骨格が小さいと舌が喉に落ち込んで気道がふさがりやすい
十分寝ているはずなのに日中の強い眠気が続く、いびきや呼吸の停止を指摘された、といった場合は、自己判断せず医療機関に相談してください。
日本人は「世界一の睡眠不足」
いろいろな国際比較で、日本人の平均睡眠時間はヨーロッパよりおよそ1時間短く、アジアの中でも際立って短いことが繰り返し示されています。柳沢先生は、日本人は生活の中で睡眠の優先順位が低いことが原因だと指摘しています。
特に深刻なのが子どもの睡眠不足で、医学的に十分な睡眠が取れている中高生はおそらく1割以下だそう。睡眠不足の子どもほど記憶に重要な脳の部位「海馬」が小さい傾向があった、という東北大学の研究も紹介されていました。
柳沢先生は最後に、人間は多くの哺乳類の中でも、まとめて深く眠れる特別な能力を持っていて、それは「神様からのギフト」だと話していました。安全に深く眠れるようになったことで、人類の頭脳がさらに発達したという説もあるそうです。
まとめ
- 睡眠は脳より先に生まれた仕組みで、神経を持つすべての生き物が眠るが、なぜ眠るのか・眠気の正体は今も謎
- 眠気は睡眠圧(プロセスS)と体内時計(プロセスC)で決まり、目覚めはオレキシンが支えている
- レム睡眠・ノンレム睡眠のどちらも記憶の整理に関わる。ゴールデンタイムはなく、一晩の睡眠全部が大事
- 徹夜は酔っ払いと同じくらい脳の働きを落とし、慢性的な寝不足は自覚がないまま進む。寝だめは貯金ではなく借金返済
- 睡眠の質で一番大事なのは量。4晩眠れるだけ眠って、自分に必要な睡眠時間を知ろう
- 暗く静かで朝まで適温の寝室、規則的な生活、入眠儀式。寝酒・寝る前のショート動画・何度ものスヌーズは避ける
「眠い」「眠れない」にはちゃんと理由があります。柳沢先生のいう「神様からのギフト」を、今夜から少し大切にしてみませんか。もっと詳しく知りたい人は、柳沢先生の著書もどうぞ。
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