こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
日銀の利上げで「金利のある世界」が戻ってきて、いま静かに注目されているのが個人向け国債です。我が家も、生活防衛資金の一部をこの個人向け国債に置いています。
「国債って難しそう」というイメージがあるかもしれませんが、個人向け国債は元本割れせず、2026年なら年1〜2%の利息がつく手堅い商品です。今回は、個人向け国債の仕組み、3種類の違い、中途換金のルール、そして定期預金とどっちがいいのかまで、投資初心者向けにやさしく解説します。
個人向け国債とは

個人向け国債は、国(日本政府)が個人の投資家向けに発行している債券です。私たちが国にお金を貸し、その見返りとして半年ごとに利息を受け取り、満期になると貸したお金(元本)が全額戻ってきます。
- 購入単位:最低1万円から、1万円単位で買える
- 発行頻度:毎月発行されているので、いつでも買える
- 購入時の手数料:無料(募集で買う場合、購入金額のみ支払う)
- 利子の受け取り:年2回(半年ごと)
- 発行体:日本国。国が元本と利子の支払いを約束しているため、信用度は国内で最も高い部類
3種類の違いと2026年9月の金利

個人向け国債には3つのタイプがあり、すべて毎月発行されています。
- 変動10年:満期10年。半年ごとに適用金利が見直される変動金利型。金利は「基準金利 × 0.66」で決まる。2026年9月募集の初回利率は年1.95%(税引前)
- 固定5年:満期5年。購入時の金利が満期まで変わらない固定金利型。金利は「基準金利 − 0.05%」。2026年9月募集は年2.24%(税引前)
- 固定3年:満期3年。同じく固定金利型。金利は「基準金利 − 0.03%」。2026年9月募集は年1.96%(税引前)
3種類すべてに、年率0.05%の最低保証金利があります。実勢金利がどれだけ下がっても、これを下回ることはありません。
最大の特徴:元本保証と最低金利
個人向け国債がほかの投資商品と決定的に違うのは、次の2点です。
- 元本保証:満期まで持てば、貸した金額が額面通り全額戻ってくる。株や投資信託のような値下がりリスクがない
- 最低金利0.05%の保証:どんなに金利が下がっても、普通預金がほぼゼロだった時代のような「利息がつかない」状態にはならない
この安心感が、生活防衛資金や「絶対に減らせないお金」の置き場所として個人向け国債が選ばれる理由です。銀行の預金保険(ペイオフ)は1金融機関あたり元本1,000万円までの保護ですが、個人向け国債は国そのものが発行体なので、金額の上限を気にせず持てるのも利点です。

初心者には「変動10年」がおすすめされやすい理由

3種類のうち、もっとも人気があるのが変動10年です。理由は、金利が上昇していく局面に強いからです。
- 変動10年:半年ごとに金利が見直されるため、世の中の金利が上がれば、受け取る利息も増えていく。逆に金利が下がれば減るが、最低0.05%は保証される
- 固定5年・固定3年:購入時の高い金利を満期まで確保できるが、その後さらに金利が上がっても恩恵を受けられない
今後も金利が上がりそうと考えるなら変動10年、今の金利水準で十分と考えて固定したいなら固定5年・3年、という選び方になります。日銀が利上げ方向にある2026年時点では、変動10年を選ぶ人が多い状況です。
中途換金のルール(ここが重要)
個人向け国債は満期前でも換金できますが、条件があります。
- 発行から1年間は原則換金できない:買ったお金は最低1年間は動かせないと考えておく(保有者本人の死亡、大規模災害の場合は例外)
- 1年経過後は、いつでも額面で換金できる:ただし中途換金調整額として、直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685が差し引かれる
- つまり:中途換金しても元本は割れないが、直近1年分の利子は実質的に返上するイメージ
この「1年ロック」があるため、いつ使うか分からないお金を全額入れるのには向きません。生活防衛資金なら、1年以上動かさないと確信できる「厚めの部分」だけを回すのが賢い使い方です。
いくら利息がつく?(シミュレーション)

変動10年(2026年9月募集・年1.95%)に100万円を入れた場合の、ざっくりした利息のイメージです。
- 税引前の年間利息:100万円 × 1.95% = 約19,500円
- 税金:利子には20.315%の税金がかかるので、約3,960円が差し引かれる
- 税引後の手取り:年間およそ15,500円(半年ごとに約7,750円ずつ受け取り)
普通預金(年1.00%なら税引後で約8,000円)や、ほぼゼロ金利だった数年前と比べると、同じ100万円でも受け取れる利息はかなり増えています。ただし、金利が下がれば変動10年の利息も減る点は忘れないでください。
利子にかかる税金
個人向け国債の利子は、受け取り時に20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が自動的に差し引かれます。
- 確定申告:源泉徴収で完結するため、基本的に申告は不要
- 特定口座での管理:証券会社の特定口座に入れておけば、他の債券の損益との通算もしやすい
デメリット・注意点
- 大きくは増えない:株式投資のような値上がり益は期待できない。あくまで「減らさずに、少し増やす」商品
- 最初の1年は換金できない:急にお金が必要になっても動かせない
- NISAの対象外:個人向け国債はNISA口座では買えない。利子には約20%の税金がかかる
- インフレに完全には勝てない:物価上昇が金利を上回る局面では、実質的な価値が目減りすることもある
どこで買う?
個人向け国債は、銀行・証券会社・ゆうちょ銀行など多くの金融機関で買えます。商品自体はどこで買っても中身は同じ(国が発行するもの)ですが、証券会社によっては購入額に応じた現金プレゼントのキャンペーンをやっていることがあります。
- ネット証券:SBI証券・楽天証券などはオンラインで完結。キャンペーンでキャッシュバックがあることも
- 銀行:普段使っている銀行の窓口・アプリでも購入可能。すでに口座がある安心感
- 財務省の公式サイトで、毎月の募集条件(適用利率)を確認できる

定期預金とどっちがいい?
- 個人向け国債(変動10年):金利上昇に強い/最低0.05%保証/1年間は換金不可/利率は2026年9月で年1.95%
- ネット銀行の定期預金:満期が短いものを選べる/中途解約しても元本は戻る(利息は下がる)/金利は銀行・期間により幅がある
- 高金利のネット銀行の普通預金:いつでも引き出せる/金利は変動するが2026年は条件なしで年1.00%の銀行も
すぐ使うかもしれないお金は普通預金、1年は動かさない前提のお金は個人向け国債か定期預金、と目的で分けるのが基本です。「金利が上がっていく局面で、長めに手堅く置いておきたい」なら変動10年が向いています。
2026年に復活した「国内MMF」も、普通預金と個人向け国債の中間の選択肢になります。仕組みと注意点は下記にまとめています。

為替リスクを取ってでもドル資産を持ちたい場合は、外貨建てMMFという選択肢もあります。

我が家の使い方
我が家は、生活防衛資金のうち「1年以上は絶対に使わない」と言い切れる部分(生活費の1〜2か月分程度)を、変動10年の個人向け国債に置いています。残りは、すぐ引き出せる高金利の普通預金です。
- すぐ使う可能性がある分 → 高金利のネット銀行普通預金
- 1年以上動かさない厚めの部分 → 個人向け国債(変動10年)
- 値上がりを狙うお金 → NISAでのインデックス投資(別枠)
投資の全体像(コアとサテライトの分け方)は下記にまとめています。

よくある疑問
1万円だけでも買える?
買えます。最低1万円・1万円単位なので、まずは少額で「半年後にちゃんと利子が入るか」を体験してみるのもおすすめです。
変動10年は10年間持たないといけない?
いいえ。発行から1年経過すれば、いつでも途中で換金できます。10年という数字は「満期」であって、10年間動かせないという意味ではありません。中途換金調整額(直前2回分の利子相当額×0.79685)だけ差し引かれます。
金利が下がったらどうなる?
変動10年は半年ごとに利率が下がっていきますが、年0.05%の最低保証があるのでゼロにはなりません。固定5年・固定3年は、購入時の利率が満期まで変わりません。
まとめ
- 個人向け国債は最低1万円・毎月発行・購入手数料無料。国が元本と利子を保証する手堅い商品
- 3種類あり、金利上昇局面に強い「変動10年」が人気。2026年9月募集は変動10年1.95%・固定5年2.24%・固定3年1.96%
- 全種類に年0.05%の最低保証金利がある
- 発行から1年間は換金できず、1年経過後の換金では直前2回分の利子相当額×0.79685が差し引かれる
- NISA対象外・大きくは増えない点に注意。生活防衛資金の「1年以上使わない部分」の置き場所として活用するのが現実的
個人向け国債は「増やす」商品ではなく「守りながら、少しだけ増やす」商品です。投資のメインにはなりませんが、生活防衛資金や絶対に減らせないお金の一部を置く先として、選択肢に入れておいて損はありません。まずは1万円だけ買ってみて、半年後に利子が振り込まれる感覚をつかむところから始めると、債券という商品への理解も深まります。

