こんにちは。風読珈琲店のカエデです。今日はキャッシュレス決済の「今」がわかる、興味深い調査結果を見つけたのでシェアします。
「コンビニでの支払い、コード決済とタッチ決済どっちにしよう」——そんな一瞬の迷いに、実はちょっとした時代の転換点が隠れているようです。決済サービスを手がけるインフキュリオンが2026年7月に発表した「決済動向2026年調査」によると、コード決済の利用率が2019年の調査開始以来、初めて減少に転じた一方で、クレジットカードのタッチ決済が利用方法のトップに躍り出たことが分かりました。以前このブログで紹介した「タッチ決済が広がる本当の理由」の続報として、今日はこの転換点をじっくり掘り下げてみます。
「決済動向2026年調査」とはどんな調査か

まず調査の概要から確認しておきましょう。インフキュリオンが実施したこの調査は、16〜69歳の男女2万人を対象にしたインターネット調査で、うち824人には詳細な追加調査も行われています。実施時期は2026年4月3日〜6日。日本のキャッシュレス決済の実態を継続的に追いかけている、業界でも注目度の高い調査のひとつです。
コード決済、初めての利用率減少
今回の調査でもっとも注目を集めたのが、PayPayやd払いなどに代表されるコード決済(QRコード決済)の利用率です。今回の調査では71%となり、前年から1ポイントの減少。2019年にこの調査へ加わって以来、初めて前年を下回る結果となりました。長らく「伸び続けるのが当たり前」だったコード決済にとって、これは象徴的な出来事だと言えます。
とはいえ「使われなくなった」わけではない
ただし誤解してはいけないのが、コード決済そのものの人気が落ちているわけではないという点です。調査では、既存のコード決済ユーザーに限れば、1年前と比べて利用が「増えた」と答えた人の割合が今回もっとも大きかったのはコード決済アプリだったと報告されています。つまり、新規に使い始める人のペースは鈍っているものの、すでに使っている人はむしろ利用を広げているという状況です。市場全体が「新規ユーザーの奪い合い」から「既存ユーザーにどう使い込んでもらうか」というフェーズに移りつつあることがうかがえます。
存在感を増す「タッチ決済」

入れ替わるように存在感を強めているのが、クレジットカードのタッチ決済です。クレジットカード利用者のうち、決済方法としてタッチ決済を選ぶ割合は39%となり、カードを端末に差し込む方式(33%)を上回って、もっとも多く使われる決済方法になりました。
さらに、クレジットカードとコード決済のどちらも使っている人に「ひとつだけ選ぶなら」と尋ねた質問では、「スマホのタッチ決済」が34%でもっとも多い回答となっています。財布からカードを取り出す手間すらなく、スマホをかざすだけで完結する手軽さが支持されている様子がうかがえます。
三井住友カードとVisaがタッチ決済の普及を強力に後押ししてきたことは、以前このブログでも取り上げた通りです。改札やコンビニで「ピッ」と一瞬で終わるあの体験を一度知ってしまうと、暗証番号の入力やサインが必要な支払い方法には戻りにくくなる、という声もよく耳にします。こうした「一度知ったら手放せない体験」の積み重ねが、じわじわと今回のような数字の変化につながっているのだと思います。
若年層で伸びる「ブランドデビット」
もうひとつ見逃せないのが、ブランドデビットカード(Visaデビットなど、クレジットカードと同じ決済網を使えるデビットカード)の広がりです。20〜29歳の利用率は42%にのぼり、全世代でもっとも高い数値となりました。「使いすぎが怖いから、後払いのクレジットカードよりも銀行口座残高の範囲で使えるデビットの方が安心」という20代らしい堅実な金銭感覚が、この数字に表れているのかもしれません。
なぜ、この「逆転」が起きているのか
調査では今回の変化について、日本のキャッシュレス市場が「どれだけ多くの人に使われるか」を競う量的な段階から、消費者が場面に応じて決済手段を選び分ける「質的な段階」へ移りつつあると分析しています。
以前このブログで紹介した「タッチ決済が広がる本当の理由」でも触れましたが、クレジットカード会社やブランドが力を入れてタッチ決済対応端末の普及を進めてきたことも、この流れを後押ししている要因のひとつでしょう。コンビニやスーパーのレジで、店員さんに「PayPayですか、Suicaですか、それともタッチ決済ですか」と聞かれる場面も、この数年でずいぶん増えたように感じます。
コード決済は「終わる」のか
ここまで読んで「コード決済はもうオワコンなの?」と思った方もいるかもしれません。ですが、それは早計です。今回の調査結果が示しているのは、あくまで「新規に使い始める人の伸びが一服した」ということであり、すでに定着したコード決済が消費者の生活から消えていくという話ではありません。むしろ、既存ユーザーの利用がさらに伸びている点を踏まえると、コード決済は「新規開拓型の成長」から「深耕型の成長」へとフェーズを変えたと捉えるのが実態に近いでしょう。
実際、コード決済各社もこの変化を意識してか、店舗独自の高還元キャンペーンや、後払い機能、家計簿連携などコード決済アプリならではの付加価値を強化する動きを続けています。単純な「使える店を増やす」競争から、「アプリの中でどれだけ便利に過ごせるか」という体験の競争に軸足が移っている印象です。
お店側の対応も後押ししている
タッチ決済の躍進は、消費者側の好みだけでなく、お店側の設備投資の進み具合にも支えられています。以前に比べて、コンビニやスーパー、飲食店のレジ端末がタッチ決済に標準対応するケースが大幅に増えました。導入する店舗側にとっても、コード決済のように専用の読み取りアプリやQRコードの掲示を用意する手間が少なく、既存のクレジットカード決済網の上でそのまま対応できる点は運用上のメリットが大きいと言われています。決済手段の選択は、消費者だけでなく「お店側がどれだけ対応しやすいか」という供給側の事情にも左右される、という視点も持っておくと理解が深まります。
20代の私たちは、どう使い分ければいいか

「結局どれを使えばいいの」と思う方も多いはずです。個人的には、以下のような使い分けを意識しています。
- とにかく手早く済ませたい少額決済:スマホのタッチ決済(Google Pay/Apple Payに登録したクレジットカードやブランドデビット)
- 特定の店舗やチェーンでポイント還元が厚いとき:その店舗が力を入れているコード決済アプリ(このブログで紹介してきたau PAYやdポイントのキャンペーンなど)
- 使いすぎを防ぎたい月:後払いのクレジットカードではなく、口座残高の範囲で使えるブランドデビット
「ひとつの決済手段に絞る」よりも、「場面ごとに複数の手段を賢く使い分ける」ことこそが、まさに今回の調査が指し示す「質的な段階」の消費者の姿だと言えそうです。賢く使い分けて、日々の買い物をもっとお得に楽しみましょう。
よくある疑問Q&A
Q. タッチ決済とコード決済、ポイント還元率はどちらが高い?
A. 一概には言えません。基本還元率で見ればクレジットカードのタッチ決済の方が分かりやすく高いカードも多い一方、特定の店舗・期間限定であれば、コード決済アプリのキャンペーンの方が還元率が跳ね上がることも珍しくありません。このブログで紹介してきたau PAYやdポイントの期間限定キャンペーンのように、コード決済は「ここぞ」というタイミングでの還元の強さが持ち味です。
Q. スマホが使えなくなったときのリスクは?
A. スマホのタッチ決済は、スマホの電池切れや故障時に決済ができなくなるリスクがあります。この点では、物理的なクレジットカードそのものでのタッチ決済や、現金という選択肢もあわせて持っておくと安心です。ひとつの手段に依存しすぎない備えは、決済に限らずお金全般の管理においても大切な考え方です。
Q. 今後、この傾向はさらに進むと考えられる?
A. 断定はできませんが、決済端末のタッチ決済対応がさらに広がれば、この流れが加速する可能性は十分にあります。一方で、コード決済ならではの高還元キャンペーンや家計簿連携機能が消費者の心をつかみ続ければ、両者が住み分けながら共存していく展開も十分に考えられます。来年以降の調査結果も引き続き注目したいところです。
まとめ
- コード決済の利用率は71%で、2019年の調査開始以来初めて前年を下回った
- クレジットカードのタッチ決済が利用方法のトップ(39%)に浮上
- 単一の手段を選ぶなら「スマホのタッチ決済」が34%で最多
- 20〜29歳のブランドデビット利用率は42%で全世代最高
- 市場は「量的な普及競争」から「場面ごとの使い分け」の段階へ移行中
決済手段の選択肢が増えるほど、「なんとなく」で選ぶよりも、それぞれの得意な場面を知っておいた方がお得です。次に財布やスマホを取り出すとき、少しだけ「今日はどれを使うのが一番賢いか」を考えてみてください。小さな選択の積み重ねが、1年後のポイント残高や家計に意外と大きな差を生むかもしれません。

