こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
今年に入ってから、将棋をニュースやネットのニュースでちらちら見かけるようになり、気づけばタイトル戦の中継をつい開いてしまう「観る専」になりました。自分では駒に触ったこともなく、正直ルールもまだあやふやなところが多いのですが、それでも中継を見ているだけで十分に面白いことに気づいたのが今年の収穫です。
この記事は「指さないけど観てみたい」という同じ観戦初心者目線でまとめます。タイトル戦とは何か、8つのタイトルのざっくりした整理、そして今まさに行われている王座戦の見どころとABEMAでの観戦方法まで。指し手の善し悪しを語れるほどの棋力はないので、そこは踏み込まず、観戦の楽しみ方に絞ってお届けします。
コーヒー片手にじっと盤面を眺める時間は、サッカーの実況とはまた違った静かな没入感があります。声を出して応援するわけではないのに、秒読みが入った終盤だけは自然と画面に前のめりになってしまう。そんな新しい観戦のたのしみ方を、少しずつ言葉にしていきたいと思っています。
※日程・結果・保持者情報は2026年9月12日時点で確認できたものです。対局の進行によって状況は変わるため、最新情報は日本将棋連盟や中継サイトの公式発表をご確認ください。
将棋の「タイトル戦」って、そもそも何?
プロ棋士の公式戦はたくさんありますが、その中でも別格の格式を持つのが「タイトル戦」と呼ばれる8つの棋戦です。タイトルを持っている棋士(タイトル保持者)に対して、予選やトーナメントを勝ち上がった「挑戦者」が挑み、複数局を戦って先に規定の勝ち数に達した方がタイトルを獲得(または防衛)する、という仕組みになっています。
ふだんの公式戦は基本的に1日で決着しますが、タイトル戦は同じ相手と何度も番勝負を戦う点が大きな違いです。1局目で負けても、まだ後がある。そのシリーズ全体の流れを追いかけられるのが、単発の対局にはないタイトル戦ならではの面白さだと感じています。

8大タイトルをざっくり整理
複数局を戦う形式には、先に4勝した方が勝ちの「七番勝負」と、先に3勝した方が勝ちの「五番勝負」があります。8つのタイトルは、この形式でだいたい2グループに分かれます。
- 竜王(七番勝負):賞金額が最も高いとされるタイトル。序列でも最高格に位置づけられる
- 名人(七番勝負):8タイトルの中で最も歴史が古く、伝統を象徴する存在
- 王位(七番勝負):夏場に行われることが多いタイトル戦
- 王将(七番勝負):例年1月〜3月にかけて行われる
- 王座(五番勝負):例年9月〜10月に行われる。今まさに進行中のタイトル戦(後述)
- 棋王(五番勝負):春先に行われることが多いタイトル戦
- 叡王(五番勝負):8タイトルの中では最も新しく生まれたタイトル
- 棋聖(五番勝負):年間を通じて最初に決着することが多いタイトル
2026年9月現在、藤井聡太六冠が竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将の6つ、伊藤匠二冠が叡王・王座の2つを保持している、というのが今のタイトルの勢力図です。将棋のニュースでよく聞く「六冠」「二冠」という言葉は、こうした保持タイトル数のことを指しています。
藤井聡太六冠は、以前は8タイトルすべてを保持する「八冠」を達成していた時期もあり、そこから叡王・王座の2つを伊藤匠二冠に明け渡す形で、現在の六冠と二冠という勢力図になっています。タイトルが一人にすべて集まっていた状態から、少しずつ勢力図が動いていく様子も、観る専として追いかけていると素直に面白く感じるところです。

中継でよく見る用語を、先におさえておく
ルールを覚えていなくても、中継の実況や解説で繰り返し出てくる言葉さえ分かっていれば、置いてけぼりにはなりません。わたしが最初につまずいた用語をまとめておきます。
- 一手(いって):駒を一回動かすこと。「〇〇の一手」のように、印象的な指し手を指して使われることが多い
- 王手:相手の王将(玉将)を直接取れる状態にする指し手。将棋でいちばん分かりやすい山場のサイン
- 詰み:王手からどう逃げても王将が取られてしまう状態。詰みが生じた時点で対局終了(投了)となる
- 持ち時間・秒読み:タイトル戦にはあらかじめ決められた持ち時間があり、使い切ると1手ごとに数十秒で指す「秒読み」に入る。終盤に秒読みの声が響くと一気に緊張感が増す
- 封じ手:七番勝負など2日制の対局で、1日目の終わりに次の一手を紙に書いて封筒に入れ、2日目の再開時に開封する制度。1日目の「勝負の分かれ目」を翌朝まで持ち越すドラマがある
- 投了:形勢が絶望的になったと自分で判断し、負けを認めて対局を終えること。深々と一礼して投了を告げる場面は、観る専にとっても一番心が動く瞬間
七番勝負のタイトル戦(竜王・名人・王位・王将)は2日制で行われることが多く、封じ手をはさんで対局が進みます。一方、王座戦のような五番勝負は1日で決着することが一般的です。同じ「タイトル戦」でも、進み方の時間感覚がだいぶ違うので、中継を見るときは「これは1日制か、2日制か」を先に確認しておくと予定が立てやすくなります。
今まさに注目|伊藤匠王座 vs 広瀬章人九段の王座戦

私が将棋の中継を見るきっかけになったのが、まさに今行われている第74期王座戦です。王座のタイトルを持つ伊藤匠王座に、広瀬章人九段が挑戦する五番勝負で、先に3勝した方がタイトルを獲得します。
9月2日に神奈川県秦野市の「元湯陣屋」で行われた第1局は、広瀬章人九段が99手で伊藤匠王座を破り、五番勝負の先勝を飾りました。挑戦者が幸先のいいスタートを切った形です。
そして第2局は、9月15日(火)に愛知県名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で行われ、ABEMAが朝8時30分頃から解説付きで完全生中継する予定です。伊藤匠王座がここで踏みとどまるのか、広瀬章人九段が連勝で王座奪取に大きく前進するのか、観る専としても目が離せないところです。

観る専として地味に楽しみにしているのが対局場です。タイトル戦は旅館やホテルの和室で行われることが多く、第1局の「元湯陣屋」、第2局の「名古屋マリオットアソシアホテル」のように、対局のたびに舞台が変わります。中継では対局開始前に会場の様子や、その土地にちなんだ「勝負めし」が紹介されることも多く、対局そのものだけでなく、その回ごとの雰囲気を楽しめるのも観戦の醍醐味だと感じています。
ちなみに王座戦が一段落したあとには、藤井聡太六冠が持つ竜王への挑戦者決定戦を勝ち上がった服部慎一郎七段が挑む竜王戦七番勝負が、10月9日に開幕する予定です。こちらも今から楽しみにしています。
ABEMAでの観戦方法と、観る専なりの楽しみ方

将棋のタイトル戦は、ABEMAの将棋チャンネルで無料生中継されることが多く、これが観る専デビューのハードルをぐっと下げてくれています。スマホアプリでもブラウザでも視聴でき、対局開始から終局・感想戦まで、プロ棋士による解説がついた状態で追いかけられるのがありがたいところです。
ABEMAは無料の会員登録だけで視聴でき、追加課金がなくても対局を最後まで見られます。番組表やタイトル戦の特設ページから対局日をあらかじめ確認しておき、通知をオンにしておくと「気づいたら終盤だった」という見逃しを防げます。長時間の中継なので、最初から最後まで張り付く必要はなく、通勤前や昼休みに形勢だけチェックする、という細切れの見方でも十分に楽しめます。

観る専だからこその楽しみ方
指し手の意味を全部理解しようとすると挫折しやすいので、わたしは次のようなポイントだけゆるく追いかけています。
- 形勢AIの評価値をチラ見する:中継画面に表示される数字がどちらかに傾くだけで、局面の緊張感が伝わってくる
- 解説者の言葉に頼る:「ここが分かれ目」「これは驚きの一手」といった実況・解説のコメントを聞くだけで十分についていける
- 感想戦まで見る:対局後に棋士同士が振り返る感想戦は、素人にも対局の見どころが後追いで分かりやすい
- 結果を急いで追わない:長い対局は数時間〜2日がかりになることもあるので、区切りのいいところだけつまみ見るくらいで十分楽しめる
指し手の善し悪しを断定したり、勝敗を予想したりするのは棋力がないとできませんし、対局中の棋士のプライベートに踏み込むようなことも書きません。あくまで観戦を楽しむ立場として、盤上のドラマを追いかけていくつもりです。それでも、秒読みに追われながら指される終盤の一手や、投了後に交わされる一礼には、ルールが分からなくても伝わってくる緊張感があります。スポーツ観戦とはまた違う種類の「静かな熱量」に触れられるのが、将棋観戦のいちばんの魅力かもしれません。
まとめ
- 「タイトル戦」は8つあり、保持者に挑戦者が挑む七番勝負・五番勝負の番勝負形式で争われる
- 2026年9月現在、藤井聡太六冠が6タイトル、伊藤匠二冠が叡王・王座の2タイトルを保持
- 王手・詰み・封じ手・秒読みなど、頻出用語だけ知っておけば中継の実況についていける
- 第74期王座戦は伊藤匠王座に広瀬章人九段が挑戦。第1局は広瀬九段が先勝し、第2局は9月15日に名古屋で行われABEMAで生中継
- ABEMAの将棋チャンネルなら無料・解説付きでタイトル戦を観戦できる
- 指し手を全部理解しなくても、AI評価値・解説・感想戦を頼りにすれば観る専として十分楽しめる
今週は9月15日の第2局を、仕事の合間にABEMAでちらちら覗いてみるつもりです。指せなくても、観るだけで十分楽しい趣味が一つ増えました。将棋盤を挟んで向き合う二人の緊張感を、これからも観る専なりのペースで追いかけていこうと思います。

