こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
2026年9月18日に刊行された中公新書は5冊。中国200年の通史、AI時代の行動経済学、近代日本の民衆宗教、日本の海の危機、そして幕末の開明派幕臣・小栗上野介と、歴史好きにも社会派にも刺さるラインナップです。中央公論新社の公式情報をもとに、1冊ずつ見ていきます。
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2026年9月の中公新書 新刊ラインナップ一覧
刊行日はいずれも2026年9月18日、価格は公式サイト記載の定価(税込)です。
- 中国近現代史:清朝末期から21世紀の強国化まで(中村元哉 著/312ページ/1,320円)
- 思い込みの経済学:AI時代のお金・仕事・社会(大竹文雄 著/288ページ/1,254円)
- 民衆宗教:帝国日本の信仰とナショナリズム(永岡崇 著/272ページ/1,100円)
- 日本の海から魚が消える:温暖化、IUUの問題から陸上養殖の挑戦まで(矢野勲 著/248ページ/1,155円)
- 小栗上野介:「逆賊」とされた開明派幕臣(塚越俊志 著/224ページ/1,078円)
テーマで分けると「近代の歴史」が3冊(中国近現代史・民衆宗教・小栗上野介)、「いまの社会と暮らし」が2冊(思い込みの経済学・日本の海から魚が消える)という構成です。
翌月・10月刊の6冊はこちらで紹介しています。

近代の歴史を読み直す3冊

『中国近現代史』中村元哉|200年をグローバルな視座で
19世紀、イギリスの進出による「西洋の衝撃」で存亡の危機に立たされた清帝国。アヘン戦争、日清戦争、辛亥革命を経て中華民国が誕生し、日中戦争・国共対立の末に中華人民共和国が成立。文化大革命、改革開放、そして21世紀の強国化へ――。
本書は、この約200年の中国の歩みを、世界史と結びつけて一冊で読みとく通史です。中国は西洋や日本にどう反応して社会主義国になり、どうやって経済発展を遂げたのか。ニュースで中国の話題を見ない日はない今だからこそ、「なぜ今の中国がこうなっているのか」を歴史から押さえておきたい人にぴったりです。
- こんな人に:米中関係・国際ニュースの背景を知りたい人、世界史を学び直したい人
- 読みどころ:アヘン戦争から現代までを一本の流れでつなげる通史の強み
『民衆宗教』永岡崇|もう一つの帝国日本
天理教、大本、如来教、黒住教、金光教、丸山教――。近代日本では、個性的な教祖による民衆宗教が数多く生まれました。本書は19世紀初めから敗戦前後までの約150年を対象に、その信仰やイデオロギー、国内外での布教、国家による弾圧、そして戦争協力までを追います。
目次を見ると、中山みきの神がかりから始まり、大本の『霊界物語』、天理教の海外布教、植民地朝鮮との関わり、総力戦下の弾圧と動員まで、扱う範囲はとても広いです。民衆宗教の複雑な軌跡から「もう一つの帝国日本の姿」を描くという視点は、教科書の近代史とは違う角度から時代を眺めさせてくれそう。翌月刊の『死後の意識』とあわせて読むと、宗教と近代の関係がより立体的に見えてきそうです。
『小栗上野介』塚越俊志|「逆賊」とされた開明派幕臣
幕末の幕府を中枢で支えた幕臣、小栗上野介忠順。日米修好通商条約の批准書交換のために渡米して最新知識を吸収し、外国奉行・勘定奉行などの要職を歴任。陸海軍の洋式化や横須賀製鉄所の創設など、のちの近代化の礎を築いた人物です。
しかし戊辰戦争では薩長への徹底抗戦を唱えて退けられ、上州の領地に隠退したのち、新政府軍に捕らえられて斬首されます。幕府の命運に殉じた42年の生涯をたどる一冊です。目次には長崎製鉄所や横浜製鉄所の話も並んでいて、長崎出身の私としては、地元の近代化の歴史とつながる部分も楽しみなポイント。「勝てば官軍」の裏側で忘れられがちな人物に光を当てる評伝です。
- こんな人に:幕末史が好きな人、「敗者の側」から歴史を見てみたい人
- 読みどころ:万延遣米使節団から横須賀製鉄所まで、近代化構想の具体像
いまの社会と暮らしを考える2冊

『思い込みの経済学』大竹文雄|AI時代の「思考のクセ」
物価高、働き方の変化、そして生成AIの登場――。時代の転換期に注意したいのが、人間の「思い込み」です。行動経済学の第一人者・大竹文雄さんが、お金・仕事・社会のルールとの向き合い方を経済学の観点から考える一冊です。
目次を見ると、「金(ゴールド)投資の罠」「ガチャガチャはなぜ愛され続けるのか」といった身近な話題から、AIは人間の仕事を代替するのか補完するのか、「貪欲な仕事」=長時間働く人ほど優秀だという思い込み、ナッジによるバイアスの解き方まで幅広く扱っています。投資歴5年目の私としては、第一章「お金とリスクの本質――バランスシートで思考する」が特に気になるところ。行動経済学の入門記事とあわせて読むと理解が深まると思います。

『日本の海から魚が消える』矢野勲|温暖化・乱獲と陸上養殖
サンマ、マグロ、クルマエビ、アサリ、ウナギ……日々の食卓に並ぶ魚介類が、日本近海で激減しています。原因は二酸化炭素の増加による水温上昇や海洋酸性化、そして違法・無規制に行われる乱獲や密漁(IUU漁業)です。
本書は、日本の海が直面する危機を整理したうえで、クジラの保護が環境改善につながる話や、ノルウェー・アイスランドなど各国の資源回復の取り組み、さらに著者自身が挑む陸上養殖まで、解決への道筋を示します。サンマが高級魚になりつつある今、「魚が獲れない理由」を知る入口として読みやすそうな一冊です。
カエデ的・9月の中公新書の選び方

目的別に選ぶなら、こんなイメージです。
- 国際ニュースの背景を知りたい:『中国近現代史』
- お金や仕事の判断力を磨きたい:『思い込みの経済学』
- 近代日本を別の角度から見たい:『民衆宗教』
- 食卓と環境問題をつなげて考えたい:『日本の海から魚が消える』
- 幕末の人物ドラマを味わいたい:『小栗上野介』
新書選びに迷ったら、新書大賞の記事も参考にどうぞ。

各書の詳細は中央公論新社の中公新書ページで確認できます。
まとめ
- 2026年9月の中公新書は9月18日刊行の5冊
- 近代の歴史:『中国近現代史』『民衆宗教』『小栗上野介』
- いまの社会と暮らし:『思い込みの経済学』『日本の海から魚が消える』
歴史の厚みと、いま目の前にある課題の両方を味わえる5冊です。秋の夜長のお供に、気になる一冊を手に取ってみてください。それでは、また風読珈琲店でお会いしましょう。
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