こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
今年パートナーと結婚して、大阪市内で二人暮らしを始めました。生活が落ち着いてきたころ、家計の話し合いの中で出てきたのが「NISAって夫婦でどうする?」という話題です。
私は新NISAのつみたて投資枠でS&P500を積み立てています。そこでよく聞かれるのが、「夫婦で同じものを買うより、片方がS&P500、もう片方がオルカンにしたほうが分散になるんじゃない?」という疑問です。一見もっともらしいのですが、実際に数字で確かめてみると、少し違う景色が見えてきました。
この記事では、夫婦でS&P500とオルカンを分けるべきかどうかを、世帯全体の数字で考えます。あわせて、夫婦のNISAで意外と見落としがちな「家族カード」や「贈与税」の注意点、我が家の家計ルールもご紹介します。
この記事でわかること
- 夫婦でS&P500とオルカンを分けたときの世帯の米国比率
- 「分ければ分散」が半分誤解である理由
- 夫婦のNISAで知っておきたい家族カード・贈与税の注意点
- 共通口座と個人口座で家計を分ける我が家のルール
結論:分けても分散効果は小さい。大事なのは「世帯の合計」を知っておくこと

先に結論です。
夫婦でS&P500とオルカンに分けても、世帯全体の米国比率は約81%。分散の効果はそれほど大きくありません
理由は、オルカンの中身の6割強がすでに米国株だからです。夫婦で違う商品を選んでも、世帯で見ると「米国多めの株式」を持っていることに変わりはありません。
だからといって、分けるのが悪いわけではありません。大切なのは次の2つです。
- それぞれが自分で納得した1本を選ぶこと:相手に合わせて選んだ商品は、下がったときに持ち続けにくい
- 世帯の合計を一度だけ計算しておくこと:「分散しているつもり」を防げる
S&P500とオルカンの違いそのものは、下記記事で詳しく解説しています。

まず前提:夫婦のNISAは「1人1口座」で完全に別々
夫婦の話をする前に、NISAの基本ルールを確認しておきましょう。
- NISA口座は1人1口座:夫婦で1つの口座を共有することはできません。それぞれが自分の名義で口座を開きます
- 非課税枠も1人ずつ:年間投資枠は1人360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯の非課税保有限度額は1人1,800万円。夫婦2人なら世帯で最大3,600万円まで非課税で持てます
- 何を買うかも1人ずつ:夫がS&P500、妻がオルカンといった選び方は自由です
つまり、夫婦のNISAは「世帯で1つ」ではなく「個人の口座が2つ並んでいる」状態です。ここを押さえておくと、このあとの注意点が理解しやすくなります。
注意点① 家族カードではクレカ積立ができない
我が家では、生活費の支払いに私の三井住友カード ゴールド(NL)と、パートナーに発行した家族カードを使っています。「じゃあパートナーのNISAも家族カードでクレカ積立すれば、ポイントがまとめて貯まるのでは?」と考えたのですが、これはできません。
SBI証券のクレカ積立は、証券口座と同じ名義の本会員カードが必要で、家族カードは使えません。投資する人とカードの名義が違うと、お金の出どころが別人になってしまうためです。パートナーもクレカ積立をしたい場合は、本人名義のクレジットカードを作る必要があります。
証券会社ごとのクレカ積立のポイント還元率は、下記記事で比較しています。

注意点② 相手のNISAの資金を出すと、贈与税の対象になりうる
もうひとつ見落としがちなのが贈与税です。夫婦間でも、一方が相手のNISAの投資資金を出してあげると「贈与」とみなされる可能性があります。
国税庁は、生活費や教育費として通常必要な範囲の支出は贈与税がかからないとする一方で、「生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかる」と明記しています。
贈与税には年110万円の基礎控除がありますが、「生活費として渡したお金が、実は相手のNISAの積立に回っていた」という状態は避けたほうが安心です。それぞれのNISAは、それぞれの収入からというのが一番シンプルなルールです。
夫婦の組み合わせは3パターン|世帯の米国比率で比べる

では、夫婦でS&P500とオルカンをどう組み合わせるか。2人が同じ金額を積み立てると仮定して、世帯全体の米国比率を比べてみます。オルカンの米国比率は62.8%(2026年4月末時点)で計算しています。
| パターン | 夫 | 妻 | 世帯の米国比率 |
|---|---|---|---|
| A:2人ともS&P500 | S&P500 | S&P500 | 100% |
| B:片方ずつ | S&P500 | オルカン | 約81% |
| C:2人ともオルカン | オルカン | オルカン | 約63% |
パターンBの計算は、(100%+62.8%)÷2=81.4%です。「片方ずつにすれば世界に分散できる」と思いがちですが、実際には米国が8割を超えるポートフォリオになります。
パターンA:2人ともS&P500
- メリット:管理がシンプル。「何を買っているか」を夫婦で共有しやすい
- デメリット:世帯の資産が米国1か国・米ドル1通貨に集中する。米国株が大きく下がると、夫婦そろって評価額が大きく減る
パターンB:片方ずつ
- メリット:それぞれが自分の考えで選べる。パターンAより少しだけ米国集中がやわらぐ
- デメリット:分散しているつもりでも実態は米国8割超。「分けたから大丈夫」という安心感だけが先に立ちやすい
パターンC:2人ともオルカン
- メリット:世帯で最も分散が効く。夫婦どちらも迷わずに済む
- デメリット:米国株が強い局面では、S&P500に比べてリターンが見劣りすることがある

どのパターンが正解というより、「世帯の米国比率が何%か」を2人とも知っている状態がゴールだと思っています。
「分ければ分散」が半分誤解である理由
夫婦で違う商品を選ぶと分散になる――この考え方が半分しか正しくないのは、S&P500とオルカンの中身の重なりが大きいからです。
2026年8月末時点で、オルカンの組入上位10銘柄のうち9銘柄(エヌビディア、アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、ブロードコム、メタ、マイクロン)はS&P500の構成銘柄でもあります。上位10銘柄の中で米国以外は台湾のTSMCだけです。
つまり、夫がS&P500、妻がオルカンを持っていても、2人とも同じ巨大テック企業を大量に持っている状態です。米国の大型株が下がる局面では、夫婦の評価額は同じ方向に動きます。
本当の意味で分散したいなら、商品を分けるより「債券や現金も含めた世帯全体の配分」を考えるほうが効果的です。株式の比率を下げたい場合は、夫婦のどちらかがS&P500をオルカンに変えるより、生活防衛資金をしっかり確保したり、債券を組み合わせたりするほうが、値下がりへの備えとしてはずっと強力です。
二人暮らしの生活防衛資金の目安は、下記記事で解説しています。

S&P500とオルカンの重なりをもっと詳しく
S&P500とオルカンを両方持つとどれくらい重なるのか、図で見たい方は下記記事もどうぞ。1人で両方持つ場合の考え方も解説しています。

世帯の合計を計算するコツ|金額の比率で足し算するだけ
夫婦で積立額が違う場合も、計算は簡単です。それぞれの金額×米国比率を足して、合計金額で割るだけです。
たとえば、夫がS&P500を月3万円、妻がオルカンを月2万円積み立てる場合はこうなります。
- 夫のS&P500:3万円×100%=3万円分が米国
- 妻のオルカン:2万円×62.8%=約1.26万円分が米国
- 世帯の米国比率:(3万円+1.26万円)÷5万円=約85%
積立額だけでなく、すでに持っている残高で計算しても同じ考え方が使えます。年に1回、たとえば年末に2人の評価額を並べて計算するだけで、「世帯としてどのくらい米国に偏っているか」がはっきりします。
企業型DCや個別株も忘れずに
NISA以外の資産も世帯の配分に入ります。私の場合、勤務先の企業型DCでもS&P500インデックスを積み立てていて、さらに国内の高配当株を個別で持っています。NISAだけ見ると「米国100%」ですが、個別株まで含めると日本株の比率もそれなりにあります。
夫婦で話すときは、NISA・iDeCoや企業型DC・個別株・預金までざっくり書き出してみると、思っていたより偏っていた、あるいは思っていたより分散できていた、という発見があるはずです。
我が家のルール|共通口座と個人口座で分けて、投資は各自

最後に、我が家の実際のルールをご紹介します。結婚を機に家計のお金の流れを整理し、次のように分けました。
| お金の種類 | 口座 | 使うカード・方法 |
|---|---|---|
| 共通の支出(家賃・食費・日用品など) | 共通口座(三井住友銀行) | 三井住友カード ゴールド(NL)+家族カード |
| 個人の支出(趣味など) | 各自の口座 | 各自のカード |
| 個人の投資(NISAなど) | 各自の口座 | 各自の証券口座・各自名義のカード |
投資は「判断も原資も各自」
我が家では、NISAで何を買うか、いくら積み立てるかは各自が決めることにしています。私がS&P500を選んでいるからといって、パートナーに同じものをすすめることはしません。それぞれが自分で納得して選んだほうが、相場が荒れたときにも慌てずに済むと考えているからです。
ひとつ工夫しているのが、私のクレカ積立の扱いです。クレカ積立に使っているゴールド(NL)は生活費用のカードでもあるため、引き落としは共通口座からになります。そこで、毎月の共通口座への入金に、自分の積立額を上乗せして入れるようにしています。こうしておけば、共通のお金で私の投資をしていることにはならず、家計の公平さも保てます。
夫婦で話し合ったのは3つだけ
投資の中身は各自に任せていますが、次の3つだけは2人で確認しました。
- 生活防衛資金は共通で確保する:投資に回すのは、生活防衛資金を共通口座に確保したあとの余剰資金だけ
- 近いうちに使うお金はNISAに入れない:引っ越しや家具の買い替えなど、数年以内に使う予定のお金は預金で持つ
- 年に1回、世帯の合計を見る:お互いの評価額と配分を年末に並べて、偏りすぎていないかだけ確認する
家計の管理役をどちらが担当するかについては、下記記事も併せてご確認ください。

まとめ
- 夫婦のNISAは1人1口座。夫婦2人なら世帯で最大3,600万円まで非課税で持てる
- 夫婦でS&P500とオルカンに分けても、世帯の米国比率は約81%。分散効果は限定的
- オルカンの上位10銘柄のうち9銘柄はS&P500と共通。夫婦の評価額は同じ方向に動きやすい
- 家族カードではクレカ積立ができないので、それぞれ本人名義のカードが必要
- 相手のNISAの資金を出すと贈与税の対象になりうる。NISAはそれぞれの収入からが安心
- 我が家は「共通の支出は共通口座、投資は判断も原資も各自」。年に1回、世帯の合計だけ一緒に確認している
夫婦で同じものを買っても、違うものを買っても、それぞれが納得して選んでいれば大きな問題はありません。大事なのは、「分けたから分散できている」と思い込まずに、世帯全体の数字を一度見ておくこと。結婚や同棲をきっかけに、ぜひ2人でNISAの話をしてみてください。
※本記事の数値・制度は2026年9月26日時点で確認できた情報(金融庁、国税庁、三菱UFJアセットマネジメント、日本経済新聞、SBI証券)をもとにしています。贈与税の判断は個別の事情によって異なるため、心配な場合は税務署や税理士にご確認ください。特定の商品の購入・売却を推奨するものではありません。

