こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
「NISAで株を買えば、株主優待も配当も全部非課税になるんでしょ?」——投資を始めたばかりの友人からよく聞かれます。答えは半分だけ正解です。NISAで優待株は持てるし、優待ももらえます。でも非課税になるのは売却益と配当だけで、株主優待そのものは非課税になりません。
私は投資歴5年、NISAはインデックス投資をメインに、サテライトで自分が使う店の優待株を少し持っています。この記事では、NISA(成長投資枠)で株主優待株を持つときに知っておきたいこと——何が非課税で何がそうでないか、配当を非課税にする設定、NISAならではのデメリット、向いている人——を整理します。
結論を先に言うと、NISAで優待株を持つこと自体は悪くありませんが、「優待目当てで枠を使う」のはおすすめしません。NISAの非課税メリットが最大限効くのは、値上がりと配当が期待できる株を長く持つときだからです。
NISAで株主優待はもらえる(成長投資枠のみ)

新NISAには2つの枠があります。
- つみたて投資枠(年120万円):金融庁が指定した投資信託・ETFのみ。個別株は買えない=優待は対象外
- 成長投資枠(年240万円、生涯枠1,800万円のうち1,200万円まで):上場している個別株を買える。株主優待をもらえるのはこの枠だけ
優待をもらう条件は課税口座と同じで、権利確定日に必要株数(多くは100株)を保有していること。1株単位で買えるミニ株・単元未満株は、原則として優待の対象外なので、優待狙いなら単元(100株)で買います。
いつ買えば優待・配当がもらえる?
- 権利付最終日:この日の取引終了時点で株主名簿に載る=優待・配当の権利が確定する。決算月末の2営業日前にあたる
- 権利落ち日:翌営業日。ここまで持っていれば、翌日に売っても優待・配当はもらえる(NISA枠は使ったまま戻らない点に注意)
- 権利確定月は銘柄ごとに違う。2月・8月、3月・9月などIRで確認する
なお、課税口座でおなじみの優待クロス取引(つなぎ売りで株価変動リスクを消して優待だけ取る手法)は、NISAではできません。信用取引がNISA非対応だからです。NISAで優待株を持つなら、素直に現物を長期保有する前提になります。
非課税になるもの・ならないもの
NISA口座で保有する優待株について、税金の扱いを整理します。
- 売却益:非課税。値上がりして売っても税金ゼロ
- 配当金:非課税。ただし後述の受取方式の設定が必要
- 株主優待:非課税にならない。税務上は雑所得で、課税口座で持っていても NISA で持っていても扱いは同じ
つまりNISAで優待株を持つメリットは「優待が非課税になること」ではなく、同じ株から得られる値上がり益と配当が非課税になることです。優待はあくまでおまけ、と考えるのが正確です。
どれくらい非課税メリットがある?
たとえば1銘柄を20万円で買い、配当利回り3%、5年後に株価が3割上がって売ったケースです。
- 配当:年6,000円 × 5年 = 3万円。課税口座なら約20%の税で6千円が引かれるところ、NISAなら全額手取り
- 売却益:6万円。課税口座なら約1万2千円の税、NISAならゼロ
- 非課税で浮く額:合計およそ1万8千円。これに5年ぶんの優待(生活費の圧縮)が上乗せされる
優待の非課税効果はありませんが、配当と値上がり益の非課税が積み重なると、長期ではそれなりの差になります。
優待の税金は気にしすぎなくてよい
株主優待は雑所得ですが、給与所得者は給与以外の所得(優待・副業などの合計)が年間20万円以下なら、所得税の確定申告は不要になることが多いです(住民税の申告は別途必要な場合あり)。カフェや外食の優待を数銘柄持つ程度で20万円に届くことはまずないので、神経質になる必要はありません。
配当を非課税にする「株式数比例配分方式」

見落としが多いのがここです。NISA口座の配当を非課税で受け取るには、証券口座の配当金受取方式を「株式数比例配分方式」(証券口座で受け取る方式)に設定しておく必要があります。
- 設定は配当基準日までに済ませる。基準日を過ぎてから変更しても、その回の配当は課税される
- この設定は口座全体に適用される。NISA口座だけ、特定口座だけ、という部分適用はできない
- 「配当金領収証方式」「登録配当金受領口座方式」のままだと、NISAで持っていても配当に約20%課税されてしまう
証券会社の口座設定画面で今すぐ確認できます。詳しい注意点は日本証券業協会の案内が参考になります。
多くのネット証券ではNISA口座の開設時に自動でこの方式が設定されますが、以前から課税口座を使っていて受取方式を変えていない人や、家族の口座を移した人は要注意。「銀行口座で配当を受け取っている」心当たりがあれば、次の配当基準日より前に変更しておきましょう。変更は数日かかることもあるので、権利確定月の前月までに済ませると安心です。
NISAで優待株を持つときのデメリット
非課税は魅力ですが、NISAには課税口座にない制約があります。優待株のように「個別銘柄でそこそこの金額を長く持つ」使い方では、次の点が効いてきます。
- 損益通算ができない:NISAの損失は税務上「ないもの」として扱われる。優待株が値下がりして売っても、他の株の利益と相殺できない
- 繰越控除ができない:その年の損失を翌年以降の利益と相殺することもできない
- 枠の再利用は翌年:売却した分の生涯枠は翌年に復活するが、その年の年間枠(240万円)は使い切ったら戻らない。埋め直しに時間がかかる
- 貸株サービスが使えない:NISA口座の株は貸株に出せない。課税口座なら貸株金利ももらえるが、その分の選択肢は減る
要するに、NISAは値上がり前提の口座。優待利回りに釣られて業績の弱い銘柄を入れ、塩漬け→損切りとなると、非課税メリットどころか損益通算できないぶん課税口座より不利になります。
具体例:損益通算できないとどうなる
同じ年に、優待株Aを20万円の損失で売却、別の株Bを20万円の利益で売却したとします。
- どちらも課税口座:損益通算で利益ゼロ扱い → 税金もゼロ
- Aだけ NISA、B は課税口座:Aの損失はなかったことに → Bの利益20万円に約4万円の税がかかる
値動きが荒く売買の可能性がある銘柄をNISAに入れると、この落とし穴を踏みやすくなります。
結局、NISAで優待株を持つべき?

向いているケース
- 長期で保有するつもりの、業績が安定した優待銘柄
- 配当利回りもそれなりにあり、値上がりも期待できる銘柄
- つみたて枠のインデックス投資を続けたうえで、成長投資枠に余裕がある人
課税口座のほうが無難なケース
- 株価の変動が大きく、数年で売る可能性がある銘柄
- 優待目的が9割で、値上がり・配当はほぼ期待していない銘柄
- 貸株金利も取りにいきたい場合
NISA枠の配分イメージ
成長投資枠は年240万円。優待株に全部使う必要はありません。私の場合はこんな配分です。
- つみたて投資枠:全世界株インデックスを毎月定額。ここは動かさない土台
- 成長投資枠の大半:同じインデックス投信か、S&P500などの投信・ETFで積立を補強
- 成長投資枠の一部(数十万円):長期保有を決めた優待・高配当の個別株。カフェ優待などはここ
優待株は「枠を使ってでも非課税で持ちたいか」を1銘柄ずつ判断します。迷うくらいなら、その銘柄は課税口座に回してNISA枠はインデックスに使うほうが、期待リターンは安定します。
私自身は、NISAの主役はあくまで全世界株のインデックス積立で、優待株はサテライトとして投資資産の1〜2割まで。そのうち長く持つと決めた銘柄だけを成長投資枠に入れ、値動きが読めないものは課税口座で持っています。コア・サテライトの考え方は下記にまとめています。

株主優待とふるさと納税を生活費の圧縮に使う全体像は下記です。

なお、優待株を売って利益が出た年でも、NISA口座での売却なら確定申告は不要です(課税口座の特定口座・源泉あり、も申告不要)。手間の面でもNISAは軽いので、長く持つ前提の優待銘柄なら選択肢として十分アリです。
まとめ
- NISAで株主優待をもらえるのは成長投資枠のみ。単元(100株)で買う。ミニ株は原則対象外
- 非課税になるのは売却益と配当だけ。株主優待は雑所得のままで非課税にならない
- 配当を非課税にするには株式数比例配分方式を配当基準日までに設定する(口座全体に適用)
- NISAは損益通算・繰越控除ができず、貸株も不可。値下がりリスクの高い優待株は課税口座向き
- インデックス積立を軸に、長く持つと決めた優待銘柄だけを成長投資枠に。優待株はサテライトで1〜2割まで
「NISAだから全部お得」ではなく、非課税になる部分とならない部分を分けて考える。それだけで、優待株との付き合い方がぐっと整理されます。まずは配当受取方式が「株式数比例配分方式」になっているか、証券口座の設定を確認するところから始めてみてください。

