松方幸次郎×山村德太郎「蒐集のパッション」兵庫県立美術館で10/10開幕

現代的な美術館の建築 美術
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こんにちは。風読珈琲店のカエデです。

神戸・兵庫県立美術館で、2026年10月10日から特別展「国立美術館コレクション・ダイアローグ 松方幸次郎 × 山村德太郎 蒐集のパッション ―ロダンを日本へ、具体を世界へ」が始まります。

ひとことで言うと、日本の近代美術コレクションをつくった2人の“蒐集家”を、時代を越えて対話させる展覧会です。かたや国立西洋美術館の礎となった「松方コレクション」、かたや戦後関西の前衛「具体」を集めた「山村コレクション」。神戸ゆかりの2人の情熱を、同じ空間で見比べられる貴重な機会です。会期・見どころ・楽しみ方をまとめました。


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展覧会の基本情報

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項目内容
会期2026年10月10日(土)〜12月27日(日)
会場兵庫県立美術館 1階展示室(神戸市中央区脇浜海岸通)
休館日月曜日(10月12日・11月23日は開館、10月13日・11月24日は休館)
開館時間10:00〜18:00(入場は閉館30分前まで)
観覧料一般1,800円/大学生1,200円/高校生以下無料/70歳以上900円(当日)
主催兵庫県立美術館、国立西洋美術館、国立アートリサーチセンター、神戸新聞社

「国立美術館コレクション・ダイアローグ」は、国立美術館の所蔵品を各地の館と組み合わせて新しい見方を提示する連携事業です。今回はその一環として、国立西洋美術館の松方コレクションと、兵庫県立美術館が所蔵する山村コレクションが初めて共演します。

兵庫県立美術館 || 松方幸次郎 × 山村德太郎 蒐集のパッション
国立美術館 コレクション・ダイアローグ 松方幸次郎 × 山村德太郎 蒐集のパッション ―ロダンを日本へ、具体を世界へ。National Museum of Art, Collection Dialog…

松方幸次郎と「松方コレクション」

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松方幸次郎(1866〜1950)は、川崎造船所(現・川崎重工業)の初代社長。神戸を拠点にした実業家です。

  • 収集の時期:第一次世界大戦の好況を背景に、1910〜1920年代にロンドン・パリで西洋美術を大量に購入した
  • 目的:日本に本物の西洋美術を見せる美術館「共楽美術館」をつくること。若い画家が海外へ行かずとも学べる場を、と考えていた
  • ロダンとの関係:彫刻家オーギュスト・ロダンの作品をまとめて入手。《考える人》《カレーの市民》など、いまの国立西洋美術館前庭の彫刻群は松方の収集による
  • その後:昭和恐慌と造船不況でコレクションは散逸。ロンドンの倉庫火災で焼失した作品もあり、フランスにあった分は第二次大戦で敵国財産として接収された

戦後、フランスから約370点が「寄贈返還」され、それを収蔵・公開するために1959年、国立西洋美術館が上野に開館しました。松方の美術館構想は、形を変えて実現したことになります。

松方コレクション|国立西洋美術館

山村德太郎と「山村コレクション」

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山村德太郎(1926〜1986)は、兵庫県西宮市を拠点にしたガラスメーカーの経営者。1950年代半ばから約30年かけて、戦後日本の前衛美術を体系的に集めました。

  • 集めたもの:吉原治良を中心に1954年に芦屋で結成された「具体美術協会(具体)」を軸に、戦後日本のアヴァンギャルド
  • 具体とは:白髪一雄(足で描くアクション・ペインティング)、田中敦子(電球と配線をまとった《電気服》)、嶋本昭三、元永定正ら。関西発でありながら、同時代の欧米の動きと並走した国際的な前衛運動
  • コレクションの行方:山村の没後、その主要部分が兵庫県立近代美術館(現・兵庫県立美術館)の所蔵となった。同館の戦後美術部門の核をなしている

いま「具体」は世界的に再評価され、欧米の美術館でも大きな展覧会が開かれています。その土台を早くから支えたのが、関西の一実業家のまなざしでした。

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「具体」をもっと知る

山村コレクションの中心にある「具体美術協会」は、1954年に吉原治良のもと兵庫県芦屋市で結成され、1972年の吉原の死とともに解散した美術家グループです。「人の真似をするな」を合言葉に、それまでの絵画の枠を大きく超える表現を次々に生み出しました。

  • 吉原治良(よしはら じろう):大阪の製油会社経営者にして画家。私財と人脈でグループを支えた指導者。晩年は「円」を主題にした作品で知られる
  • 白髪一雄(しらが かずお):天井から吊るしたロープにつかまり、足で絵具を蹴り描く。身体の運動がそのまま画面になる激しい抽象
  • 田中敦子(たなか あつこ):電球と配線をまとって光る《電気服》、色と線が回路のように広がる絵画。テクノロジーと身体をつないだ先駆
  • 元永定正(もとなが さだまさ):絵具を水で流し、垂らし、にじませる。のちに絵本作家としても親しまれた
  • 嶋本昭三(しまもと しょうぞう):絵具を詰めた瓶をキャンバスに投げつける「ビン投げ」など、行為そのものを作品にした

1955〜57年の野外展や舞台発表で世界を驚かせ、機関誌『具体』は海外の批評家にも届きました。近年はニューヨークのグッゲンハイム美術館(2013年)をはじめ海外の大型回顧展が相次ぎ、戦後美術史の中で確固たる位置を占めています。その国際的評価の“物証”が、関西に残る山村コレクションです。

松方コレクションの「いま」

松方コレクションは、いまも動きのある物語です。

  • 国立西洋美術館の常設:ロダンの彫刻群やモネ、クールベ、ゴーガンなど、返還された松方コレクションが同館の柱になっている
  • 《睡蓮、柳の反映》の里帰り:フランスに残ったモネの大作が2016年にルーヴル美術館で発見され、上半分を失った状態で2019年に日本へ。修復・デジタル復元をへて公開され、大きな話題になった
  • 「共楽美術館」の夢:松方が構想した美術館は神戸・大倉山周辺に計画されたが実現しなかった。その理念は上野の国立西洋美術館に受け継がれている

今回の展覧会でどの作品が出品されるかは会期に近づくと公式サイトで発表されます。ロダンを軸に、松方の“見せたかった西洋美術”の一端が神戸に里帰りする形になります。

会場の兵庫県立美術館について

兵庫県立美術館は、阪神・淡路大震災からの文化復興のシンボルとして2002年に開館しました。設計は建築家・安藤忠雄。打ちっぱなしのコンクリートと海に向かう大階段が特徴で、屋外にはさまざまな現代彫刻が置かれています。

  • アクセス:阪神電車「岩屋」駅から徒歩約8分、JR「灘」駅から徒歩約10分、六甲ライナー「アイランド北口」から徒歩約12分
  • 周辺:すぐ隣にHAT神戸・なぎさ公園、少し歩くと神戸市立王子動物園や原田の森ギャラリー。海沿いを散歩しながら回れる
  • 建物目当ての来館も多い:安藤建築のツアーや、円形テラスの写真スポットも人気

2つのコレクションを“対話”させる意味

松方は「西洋の名品を日本へ」、山村は「日本の前衛を世界へ通じる水準で」。方向は逆ですが、

  • 個人が私財を投じて、まだ評価の定まらない作品にかけた
  • 作品を独り占めするのではなく、公共の財産にすることを見すえていた
  • どちらも神戸・阪神間という土地から生まれた

という点で深く重なります。美術館のコレクションは、誰かの「これを残したい」という情熱から始まっている——その当たり前をあらためて感じさせてくれる企画です。ロダンの重厚な彫刻と、具体の奔放な絵画が同じフロアに並ぶ光景そのものが見どころになります。

時代も国も違う作品を並べる「ダイアローグ(対話)」という見せ方は、正解が一つに決まらないぶん、来場者それぞれの読み解きを誘います。「松方が今の関西の美術を見たら何を買っただろう」「山村がロダンをどう評しただろう」——そんな想像をしながら歩くと、1枚のチケットで二度おいしい展覧会になります。

あわせて楽しみたい関西の美術館めぐり

兵庫県立美術館は安藤忠雄の設計で、建物自体が見応えのある場所です。神戸・大阪はこの秋、美術展が充実しています。

  • 大阪中之島美術館:「NHK日曜美術館50年展」(10月10日〜12月20日)。テレビ美術番組50年の歩みを名品でたどる
  • 神戸ゆかりの美術館:収蔵品展「暮らしを描く」など、地元ゆかりの作家を紹介する展示
  • 阪神電車・JRで移動しやすい:中之島〜神戸は30〜40分。1日で2館は十分回れる
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鑑賞のヒント

  • 音声ガイドや解説会を活用:コレクションの背景を知ると作品の見え方が変わる。会期中は学芸員解説会や記念講演も予定されている
  • 混雑を避けるなら平日午前:土日と会期末(12月中旬以降)は混みやすい
  • 常設展もセットで:兵庫県立美術館の常設展示室には山村コレクション由来の作品も並ぶ。特別展とあわせて見ると理解が深まる
  • 高校生以下は無料:家族連れでも入りやすい。大学生1,200円

チケットは日時指定制になる場合があるので、遠方から行く人は事前に公式サイトで最新の情報を確認してください。

所要時間とチケットの目安

特別展だけなら60〜90分、常設展までじっくり見るなら2〜3時間みておくと安心です。会期中は日時指定制やオンライン事前購入が案内されることが多いので、土日祝や12月に行くなら前売り・時間指定の枠を早めに押さえておきましょう。半券で当日の常設展も観られる構成が一般的です。

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まとめ

  • 特別展「松方幸次郎 × 山村德太郎 蒐集のパッション」は兵庫県立美術館で2026年10月10日〜12月27日
  • 国立西洋美術館の礎となった松方コレクション(ロダンほか)と、戦後関西の前衛「具体」を集めた山村コレクションが初共演
  • 松方生誕160年・山村生誕100年の記念で、「国立美術館コレクション・ダイアローグ」事業の一環
  • 一般1,800円、高校生以下無料。月曜休館(一部例外あり)
  • 中之島美術館や神戸ゆかりの美術館とあわせて、阪神間の美術館めぐりにおすすめ

「なぜこの美術館にこの作品があるのか」を考えながら見ると、展覧会はぐっと面白くなります。秋の神戸で、2人の蒐集家の情熱に触れてみてください。

※会期・料金・開館情報は2026年9月時点で兵庫県立美術館の公表内容を確認したものです。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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