こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
JFLの記事を書いていると、必ずと言っていいほど出てくるのが「全社(ぜんしゃ)」という言葉です。正式名称は「全国社会人サッカー選手権大会」。JFL昇格を目指す地域リーグのクラブにとっては、地域CL(全国地域サッカーチャンピオンズリーグ)への“もう一つの入口”になっている、とても大事な大会です。
この記事では、全社とはどんな大会なのか、出場の仕組み、地域CLやJFL昇格とどうつながっているのかを整理したうえで、2026年10月に宮崎県で開催された第62回大会の結果も紹介します。
全国社会人サッカー選手権大会(全社)とは

全国社会人サッカー選手権大会は、日本サッカー協会(JFA)と全国社会人サッカー連盟が主催する、社会人チームの全国大会です。Jリーグ(J1〜J3)やJFLに所属するチーム、大学・高専などの学生チームは出場できず、その下にある地域リーグ・都道府県リーグのチームが「社会人日本一」を争います。
- 略称:全社(ぜんしゃ)
- 主催:日本サッカー協会・全国社会人サッカー連盟
- 出場対象:J1〜J3・JFL・大学等の連盟に加盟するチームを除く、第1種(一般)の社会人チーム
- 開催時期:毎年10月ごろ。開催地は毎年変わる(2024年の第60回は滋賀県、2026年の第62回は宮崎県)
- 方式:32チームによるノックアウト方式のトーナメント
回数を見てわかるとおり、歴史の長い大会です。2020年と2021年は新型コロナウイルスの影響で中止になりましたが、それ以外は毎年開催されています。

全社が「過酷な大会」と言われる理由
全社の大きな特徴が、日程の詰まり方です。2026年大会は10月24日(土)〜28日(水)の5日間で、1回戦から決勝まで最大5試合を戦いました。決勝まで勝ち上がると5日連続で試合をこなすことになります。
- 試合時間:40分ハーフ(Jリーグなどの45分ハーフより短い)
- 引き分けの場合:延長戦なしで、すぐにPK戦
- 交代:控えは最大10人まで登録でき、交代は7人まで
試合時間を短くし、交代枠を広げているのは、連戦を前提にした大会だからです。登録メンバーの層の厚さやコンディション管理がそのまま結果に出やすく、「実力があっても勝ち切るのが難しい大会」とよく言われます。
社会人チームの選手には、平日に仕事を持っている人も少なくありません。平日をまたぐ5日間の大会に、チームとして選手をそろえて臨むこと自体が、クラブの本気度の表れでもあります。
出場の仕組み:地域ごとの枠と予選

全社の本大会に出られるのは32チームです。全国9つの地域ごとに出場枠が割り振られていて、各地域の予選を勝ち抜いたチームが本大会に進みます。2026年大会の枠は次のとおりでした。
| 地域 | 出場枠 |
|---|---|
| 北海道 | 2 |
| 東北 | 2 |
| 関東 | 7 |
| 北信越 | 2 |
| 東海 | 4 |
| 関西 | 5 |
| 中国 | 3 |
| 四国 | 2 |
| 九州 | 4 |
| 開催地(宮崎県) | 1 |
チーム数の多い関東・関西は枠も多めです。予選には地域リーグ(関東サッカーリーグ・関西サッカーリーグなど)の上位クラブだけでなく、都道府県リーグのチームも参加します。そのため本大会では、JFLを目指すクラブと、企業チームや自衛隊のチーム、大学OB中心のチームなどが同じトーナメントで当たることがあります。カテゴリーをまたいだ対戦がある点も、全社の面白さです。
地域CL・JFL昇格とのつながり
全社がJFL昇格を目指すクラブにとって大事なのは、成績次第で地域CL(全国地域サッカーチャンピオンズリーグ)の出場権が手に入るからです。地域CLは、JFLへの昇格チームを決める大会です。

地域CLの出場枠は全部で12
地域CL2026の出場チームは12で、次の順に決まります。
- ① 地域リーグ枠(9チーム):9地域の最上位リーグから各1チーム。原則は優勝チームで、出場できない場合は2位のチーム
- ② 全社枠(最大3チーム):全社でベスト4以上に入った上位3チームのうち、JFL入会を希望するチーム
- ③ 補充枠:①②で12チームに満たないときは、各地域リーグ2位のうちJFL入会を希望するチームから、地域の輪番で決める(2026年は東北・四国・関東の順)
全社枠と補充枠で出場するチームは、翌年度にJFLへ入会する意思があることが条件です。ここがポイントで、全社で上位に入っても、JFLを目指していない企業チームなどは地域CLに進みません。その場合は順位が下のチームや補充枠に権利が回ります。

全社は「リーグ戦で取りこぼしたクラブ」の敗者復活戦
地域リーグは1地域から原則1チームしか地域CLに出られません。関東のように強いクラブが集まる地域では、JFLを目指せる力があっても、リーグ戦で2位以下に終われば地域CLに届かないことがよくあります。
そこで重要になるのが全社です。リーグ戦で優勝を逃しても、全社で上位に入れば地域CLに出られるため、事実上の敗者復活戦の役割を果たしています。毎年秋になると、地域リーグ2位以下のクラブが全社に全力を注ぐのはこのためです。
JFLに上がるまでの道のり
全社から始まるルートをまとめると、JFLまではこういう流れになります。
- 10月:全社でベスト4以上に入り、上位3チームに入る(JFL入会希望が前提)
- 11月中旬:地域CLの1次ラウンド(2026年は11月13日〜15日)を勝ち抜く
- 11月下旬:地域CLの決勝ラウンド(2026年は11月25日〜29日)で上位に入る
- その後:JFLへの入会が承認されれば、翌シーズンからJFLへ
10月の全社から11月末の地域CL決勝ラウンドまで、約1か月半で短期決戦が続くことになります。そこを勝ち抜いてようやくJFLです。JFLからJ3に上がるにも、さらにライセンスや入会承認などの条件があります。

2026年 第62回大会の結果

2026年の第62回大会は、10月24日〜28日に宮崎県で開催されました。会場は西都市(清水台総合公園多目的グラウンド)・綾町・新富町に分かれ、決勝と3位決定戦は新富町の「いちご宮崎新富サッカー場」で行われています。
| 順位 | チーム | 所属 |
|---|---|---|
| 優勝 | エリース豊島FC | 関東サッカーリーグ1部 |
| 準優勝 | 南葛SC | 関東サッカーリーグ1部 |
| 3位 | FC BASARA HYOGO | 関西 |
| 4位 | 岳南Fモスペリオ | 東海 |
準決勝・決勝
- 準決勝:エリース豊島FC 1-0 岳南Fモスペリオ/南葛SC 3-2 FC BASARA HYOGO
- 3位決定戦:FC BASARA HYOGO 1-0 岳南Fモスペリオ
- 決勝:エリース豊島FC 2-1 南葛SC
決勝は関東サッカーリーグ1部どうしの「関東対決」になりました。どちらが勝っても初優勝という一戦を制したのはエリース豊島FCで、クラブとして初めて全社のタイトルを手にしています。南葛SCは準決勝で大前元紀選手の2ゴールなどで逆転勝ちしていて、決勝でも注目を集めていました。

全社枠で地域CLへ進んだのは2チーム
今大会の結果、優勝のエリース豊島FCと準優勝の南葛SCが「全社枠」で地域CL2026に出場することになりました。どちらも関東1部のクラブです。関東は地域リーグ枠が1つしかないため、2チームにとっては全社で掴んだ大きなチャンスです。地域CLの1次ラウンドは11月13日から始まります。
個人的には、地域リーグの試合は配信が限られていて普段なかなか見られないので、全社や地域CLは「次にJFLに来るかもしれないクラブ」をまとめてチェックできる貴重な機会だと思っています。
全社を観戦・チェックするときのポイント
- 情報源はJFAの大会ページ:組み合わせ・結果・会場アクセスがまとまっている。地域予選は各地域の社会人連盟サイトで確認できる
- 平日開催がある:5日間の日程で平日をまたぐので、現地観戦は休みの調整が必要
- 会場が分散している:序盤は複数のグラウンドで同時に試合をするので、見たいチームの会場を事前に確認しておく
- JFL入会希望の有無に注目:上位に入ったチームが地域CLに進むかどうかで、全社枠の行き先が変わる
JFLそのものの仕組みや、関西で見られるアマチュアサッカーについては、こちらの記事でまとめています。


まとめ
- 全社(全国社会人サッカー選手権大会)は、J・JFL・学生チームを除く社会人チームが日本一を争う全国大会
- 32チームのトーナメントを5日間で戦う、40分ハーフ・延長なしの過酷な短期決戦
- ベスト4以上の上位3チームのうちJFL入会希望チームは、地域CLへの「全社枠」を得られる
- 地域リーグで優勝を逃したクラブにとっては、JFL昇格への敗者復活戦になっている
- 2026年の第62回大会(宮崎県)はエリース豊島FCが初優勝。南葛SCとともに全社枠で地域CL2026へ
全社から地域CL、そしてJFLへ。秋のアマチュアサッカーは、次のシーズンの顔ぶれが決まっていく一番熱い時期です。地域CLの結果も追いかけていきます。

