「カール・ヴァルザー」展を振り返る——大阪中之島美術館、日本初公開の回顧展

美術
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こんにちは。風読珈琲店のカエデです。

2026年7月4日(土)から9月27日(日)まで、大阪中之島美術館で「スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー」展が開かれました。本国スイスで高く評価されながら、日本ではまとまった紹介がほとんどなかった画家の、すべて日本初公開となる回顧展です。

本展は9月27日に閉幕しています。この記事では、展覧会の概要と見どころを記録として振り返りつつ、カール・ヴァルザーという画家と、1908年の日本滞在で描かれた作品の魅力をまとめます。


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展覧会概要——会期・会場・観覧料

美術館のギャラリーを鑑賞する来場者
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「スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー」展は、大阪中之島美術館の4階展示室で開かれました。会期中は夜間開館日も設けられていました。

  • 会期:2026年7月4日(土)~9月27日(日)※閉幕
  • 会場:大阪中之島美術館 4階展示室(大阪市北区中之島4-3-1)
  • 開館時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)。8月28日・9月4日・9月11日・9月18日~27日は20:00まで夜間延長開館(入場は19:30まで)
  • 休館日:月曜日、7月21日(火)。ただし7月20日・8月10日・8月24日・8月31日・9月7日・9月14日・9月21日の月曜日は開館
  • 観覧料:一般1,800円(団体1,600円)、高大生1,300円(団体1,100円)、小中生500円(団体300円)
スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー | 大阪中之島美術館

カール・ヴァルザーとは何者か

スイスの山岳風景
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カール・ヴァルザー(Karl Walser)は、1877年にスイスで生まれた画家です。作家ローベルト・ヴァルザーの兄としても知られていて、絵画だけでなく舞台美術や挿絵の分野でも才能を発揮した、いわば”マルチな表現者”でした。ヨーロッパの美術史の主流からは少し外れた位置にいる作家ですが、その分、他の誰とも似ていない独自の作風を持っています。

初期の絵画では、何気ない日常の題材が流麗な線と穏やかな色彩で描かれていて、ただ優美なだけではない、どこか謎めいた雰囲気が立ち上がってくるのが特徴だそうです。加えて、生涯で28件にわたる舞台美術関連の制作に携わったという記録も残っていて、画家としてだけでなく舞台の裏方としても厚い信頼を得ていたことがうかがえます。

  • 肖像画:優美でありながらどこか謎めいた表情をたたえた人物像が特徴
  • 舞台美術:生涯28件の舞台装置・衣裳デザインを手がけた記録が残る
  • 挿絵:兄ローベルトの著作をはじめ、書籍の挿絵画家としても活躍
  • 日本との接点:1908年に小説家ベルンハルト・ケラーマンとともに日本を旅し、当時の風俗や風景を数多くスケッチに残した

本展のタイトルにある「異才」という言葉がしっくりくるのは、この振れ幅の大きさゆえだと思います。一つのジャンルに収まらない作家だからこそ、会場を歩いていると次々に違う顔を見せてくれるはずです。


見どころ①「見ればみるほど意味深い、優美な謎めき」

展覧会の紹介文にある「見ればみるほど意味深い優美な謎めき」というフレーズ、初めて読んだときにとても印象に残りました。ヴァルザーの肖像画は、一見すると華やかで装飾的なのですが、モデルの視線や手の仕草、背景に置かれた小物などをよく見ていくと、単純には言葉にできない緊張感や違和感が潜んでいることに気づきます。

この「すぐには読み解けない感じ」こそが、ヴァルザー作品の中毒性なのだと思います。美術史の教科書に載るような分かりやすい物語性ではなく、観る側の解釈に委ねられた余白がある。一枚の絵の前で立ち止まる時間が、自然と長くなる展覧会です。

活動した時代を考えると、ヴァルザーの装飾的な線や平面的な色面の使い方には、当時ヨーロッパで流行していたユーゲントシュティール(アール・ヌーヴォー)の影響も感じ取れます。ただし彼の作品は、単に流行を追った装飾美術にとどまらず、モデル一人ひとりの内面をのぞき込むような緊張感を持っているところが独特です。会場では、同時代の潮流と彼個人の資質がどう重なり合っているのかを想像しながら見ていくのも面白いと思います。

  • 肖像画のシリーズ:装飾的な衣裳や小道具とともに描かれた人物像が並ぶ
  • 舞台美術のデザイン画:実際に上演された舞台のための衣裳・装置スケッチも展示
  • 挿絵原画:書籍のために描かれた繊細な線画も見応えがある

見どころ②1908年、日本滞在で描いた”よみがえる明治期の日本”

緑に囲まれた日本の参道と鳥居
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本展で特に注目されたのが、1908年の日本滞在中に描かれた作品群です。ヴァルザーは小説家ベルンハルト・ケラーマンとともに日本を旅し、当時の風俗や風景を色鮮やかに描き残しました。

なかでも興味深いのが、京都・宮津への旅です。ヴァルザーはこの町にとりわけ心ひかれたようで、茶屋町が栄えていた約120年前の宮津の空気を、伸びやかな筆づかいと明るい色彩で描き出しています。関西に暮らしている身としては、今の宮津の風景と比べながら鑑賞できるという点でも、特別な親近感を持てる作品群だと思います。

大阪中之島美術館では以前、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」を含む展覧会も開催されていました。同じ美術館に何度も足を運んで、その都度まったく違う時代・地域の作品と出会えるのも、こうした企画展巡りの醍醐味だと思います。

「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展」大阪中之島美術館で8月21日開幕——17世紀オランダ絵画、奇跡の再来日
今日は、この夏いちばん楽しみにしている美術ニュースをご紹介させてください。ヨハネス・フェルメールの傑作「真珠の耳飾りの少女」が、2026年8月21日(金)から大阪中之島美術館にやってきます。 オランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館が所蔵するこの一枚が、単独の目玉として関西で公開されるのは非常に貴重な機会です。
  • 日本滞在期のスケッチ:1908年に日本各地を訪れて描いた作品を多数展示
  • 色鮮やかな水彩:当時の風俗や色彩感覚が今によみがえる貴重な資料
  • 日本初公開:今回の展示作品の多くが、日本での公開は初めて

約150点という規模での日本初公開は、なかなか実現しない貴重な機会です。会期が9月27日までと限られているので、興味のある方は早めにスケジュールを確保しておくのがおすすめです。


中之島の美術館めぐり

大阪中之島美術館は、京阪中之島線「渡辺橋駅」やJR「大阪駅」、地下鉄「肥後橋駅」から歩ける距離にあります。周辺には国立国際美術館や大阪市立東洋陶磁美術館、中之島香雪美術館も集まっていて、一日で複数の美術館を巡れるエリアです。

大阪中之島美術館の今後の展覧会情報は、公式サイトや公式X(旧Twitter)で発信されています。

大阪中之島美術館 (@nakkaart2022) on X
2022年2月2日、大阪・中之島に開館した大阪中之島美術館の公式アカウントです。展覧会やイベントなどの最新情報を中心にお届けします。個別のご質問、リプライには対応しておりません。ご了承ください。 Na…

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まとめ

「スイス絵画の異才 カール・ヴァルザー」展は、日本ではほとんど知られていなかった画家の全貌を一度に紹介した展覧会でした。

  • 会期:2026年7月4日(土)〜9月27日(日)※閉幕
  • 会場:大阪中之島美術館 4階展示室
  • 内容:肖像画・舞台美術・挿絵まで、ジャンルを横断する作品群
  • 注目:1908年の日本滞在中に京都・宮津などで描かれた作品

知らなかった画家との出会いは、美術館めぐりの一番の醍醐味です。公式図録も刊行されているので、展覧会に行けなかった方は、まず図録で作品世界に触れてみてください。それではまた次の記事で。

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