「躍動する明代の書」展、大阪市立美術館で10/9開幕――台北・何創時コレクション82件、日本初公開多数

美術
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こんにちは。風読珈琲店のカエデです。

普段は絵画や工芸の展覧会をよくチェックしているのですが、今回はちょっと毛色の違う分野の展覧会をご紹介します。大阪市立美術館で10月9日から始まる特別展「躍動する明代の書-台北・何創時(かそうじ)コレクションの至宝」です。

正直に言うと、「書」の展覧会に自分から足を運んだことはこれまでほとんどありませんでした。絵画のように色や構図でぱっと惹きつけられるものではないので、なんとなく敷居が高く感じていたのだと思います。ただ、調べてみると本展は台北の個人コレクションから日本初公開の作品を多数含む82件がまとめて来日する、なかなか貴重な機会のようです。せっかくの機会なので、書に詳しくない自分の目線で予習をかねてまとめてみることにしました。

会期は2026年10月9日(金)~12月20日(日)。この記事では、展覧会の概要と見どころ、そして大阪市立美術館へのアクセス情報までまとめてお伝えします。


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展覧会概要——会期・会場・観覧料

書道具と装飾品が並ぶ精巧なしつらい
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まずは基本情報を整理しておきます。

  • 会期:2026年10月9日(金)~12月20日(日)
  • 会場:大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82、天王寺公園内)
  • 開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
  • 休館日:月曜日(10月12日・11月23日は開館)、10月13日、11月24日
  • 観覧料:一般2,000円(前売1,800円)、高大生1,200円(前売1,000円)、小中生500円(前売300円)
  • 主催:大阪市立美術館、毎日新聞社、NHKエンタープライズ近畿

未就学児は無料、障がい者手帳をお持ちの方とその介護者1名も無料とのことです。前売券は当日券より200円ほどお得になるので、会期序盤に行く予定が決まっている方は事前に購入しておくのがおすすめです。最新の展示情報やチケット販売状況は、公式サイトで確認できます。

大阪市立美術館
大阪市立美術館は、特別展(大規模な美術展)や、館蔵品の展覧会などを開催している、歴史ある大阪の美術館です。

何創時コレクションとは——台北に眠る明清書画2500件

硯・筆・墨など中国の伝統的な書道具のフラットレイ
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本展の作品は、すべて台北の何創時書法芸術基金会という財団の所蔵品です。1995年に収集家の何国慶氏によって設立された財団で、明代・清代の書画を中心に、2,000人以上の書き手による2,500件を超える作品を所蔵しているのだそうです。個人のコレクションからここまで大規模なものが海を渡って公開されるのは珍しく、しかも「日本初公開の作品を多数含む」というのですから、書に詳しくない私でも興味をそそられました。

今回はそのなかから、明代中期から明末清初にかけての書82件を厳選して紹介する構成になっています。「明末清初」というのは、明王朝が滅び清王朝に取って代わられる、中国史のなかでも大きな激動の時代です。国が丸ごと入れ替わるような混乱のなかで、書き手たちがどんな筆致を残したのか——そう考えると、単なる古い書の展示というより、時代の空気そのものを覗き見るような展覧会に思えてきます。

大阪市立美術館は、開館当初から中国の書画コレクションに力を入れてきた美術館としても知られています。実は今年の夏には、同じ会場で中国の物語「水滸伝」を軸にした特別展も開催されていました(後ほど改めてご紹介します)。中国美術と縁の深いこの美術館だからこそ、個人コレクションの大規模な里帰り展を任されたのかもしれません。


見どころ——傅山、宋玨、徐枋…明末清初を生きた書家たち

筆立てに収められた中国の伝統的な書道の筆
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本展で紹介される書家は数多くいますが、なかでも代表的な名前として挙げられているのが次の3人です。書道に詳しくない方でも、まずはこのあたりの名前を覚えておくと、会場での鑑賞がぐっと楽しくなりそうです。

  • 傅山(ふざん):明末清初を代表する学者・書家。医術にも通じた人物で、明が滅んだ後も清への出仕を拒み続けた「明の遺民」の一人として知られる。奔放な草書で高く評価される
  • 宋玨(そうかく):福建出身の書家・詩人。個性的な筆致の書で名を残した人物として紹介されている
  • 徐枋(じょほう):傅山と同じく、明が滅んだ後も清に仕えることを拒み隠棲した人物。学者・文人として知られる

調べていて印象的だったのは、傅山や徐枋のように「明への忠誠を貫き、新しい清王朝には仕えなかった」人々が少なからず含まれている点です。王朝が変わるという歴史の大きな節目に、自分の生き方をどう貫くか——そうした一人ひとりの覚悟や葛藤までもが、一本一本の筆致ににじみ出ているのだとしたら、実物を前にしたときの見え方もずいぶん変わってきそうです。

会期中は、大阪市立美術館の公式Xで「今日の一文字」と題して、出品作品から選ばれた文字が毎日紹介される予定とのことです。会場に足を運ぶ前の予習にも、当日の振り返りにも便利そうなので、気になる方はフォローしておくとよさそうです。

大阪市立美術館 (@ocmfa_since1936) on X
【2025年3月1日リニューアルオープン!】1936年開館の #大阪市立美術館 公式アカウント。建物は国の登録有形文化財です。※個別のご質問などには対応していませんのでご了承ください ※画像の転載はご…

初心者なりの「書」の見方——今回調べて分かったこと

この記事を書くにあたって、あらためて「書」というジャンルの見方を少し調べてみました。絵画であれば、描かれているモチーフや構図、色使いなど、初めて見る人でも取っかかりになる要素がいくつもあります。一方、書は基本的に文字だけで構成されているぶん、何を手がかりに見ればいいのか最初は戸惑いました。

調べてみると、書の鑑賞では「書体」の違いに注目するのがとっつきやすい入り口になるようです。楷書のようにきっちりと整った字もあれば、草書のように筆の勢いのままに崩して書かれた字もあります。同じ文字でも書体によって表情がまったく変わるので、まずは1点の作品のなかで「どこが崩れていて、どこが整っているか」を目で追ってみるだけでも、印象がぐっと変わってくるそうです。傅山の作品は特に奔放な草書で知られているとのことなので、まさにその違いを実感しやすい作品なのではないかと期待しています。

もう一つ意識してみたいのが、書かれた時代背景です。先ほど触れたように、本展に登場する書家の何人かは、明という王朝が滅びていく激動の時代を生きた人たちです。穏やかな時代の書と、混乱のなかで書かれた書とでは、筆致に宿る緊張感も違ってくるのではないか——そんな想像を膨らませながら見比べてみるのも、書に詳しくない私たちなりの楽しみ方なのかもしれません。


図録・グッズも要チェック

展覧会そのものだけでなく、会場のミュージアムショップも楽しみのひとつです。公式図録はB4判256ページというかなりのボリュームで、価格は4,000円(税込)とのこと。じっくり作品を振り返りたい方には心強い一冊になりそうです。

  • 公式図録:B4判256ページ、4,000円(税込)
  • 傅山の作品をあしらったトートバッグ:1,650円
  • その他グッズ:黒猫モチーフのサコッシュ、アクリルキーホルダー、手ぬぐいなど

書の展覧会のグッズと聞くと文房具のようなお堅いものを想像していたのですが、黒猫モチーフのサコッシュなど、意外と遊び心のあるラインナップになっているようです。展示を楽しんだ後、記念に何か手元に残したいという方にもうれしいポイントだと思います。


アクセス・鑑賞のヒント

展示物が並ぶ明るい美術館の回廊
Photo by Mochammad Algi on Pexels

大阪市立美術館は、天王寺公園内にある大阪でも指折りの歴史ある美術館です。最寄り駅は複数あり、いずれからも徒歩圏内でアクセスできます。

  • Osaka Metro御堂筋線・谷町線「天王寺駅」から北西へ約400メートル
  • JR「天王寺駅」から北西へ約400メートル
  • 近鉄「大阪阿部野橋駅」から北西へ約400メートル

私は大阪市内在住なので、この距離感なら電車でふらっと立ち寄れるのがありがたいところです。書の作品は絵画に比べて文字が小さいものも多いと聞くので、単眼鏡を持って行くと細部までじっくり楽しめるかもしれません。会期終盤の週末は混雑が予想されるので、平日や開館直後の時間帯を狙うと落ち着いて鑑賞できそうです。

美術館のある天王寺公園一帯は、あべのハルカスや天王寺動物園、新世界といった観光スポットにも近く、展覧会とあわせて一日楽しめるエリアです。園内には日本庭園「慶沢園」も隣接しているので、書の展示でじっくり集中したあとは、庭園を散策して頭を休める、という過ごし方もよさそうです。


同じ会場で——今年は「水滸伝」展も話題に

実は大阪市立美術館では、この夏に開館90周年記念特別展「水滸伝」が開催され、こちらも中国美術と日本美術を横断する見応えのある内容でした。今回の明代の書の展覧会とあわせて振り返ってみると、この一館が中国美術の紹介にどれだけ力を入れてきたかがよく分かります。以前このブログでもご紹介したので、気になる方はあわせてどうぞ。

大阪市立美術館開館90周年記念特別展「水滸伝」9月6日まで——北宋から江戸・現代まで中国美術×日本美術の競演
今日は、会期終了が近づいている展覧会を一つご紹介させてください。大阪市立美術館で開催中の開館90周年記念特別展「水滸伝」です。会期は2026年9月6日(日)まで。中国の四大奇書のひとつ「水滸伝」を軸に、北宋から現代までの中国美術と、江戸から現代までの日本美術を横断的に紹介する、スケールの大きな展覧会でした。

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まとめ

大阪市立美術館の特別展「躍動する明代の書-台北・何創時コレクションの至宝」についてまとめました。

  • 会期は2026年10月9日(金)~12月20日(日)、大阪市立美術館で開催
  • 台北・何創時書法芸術基金会所蔵の明代中期~明末清初の書82件、日本初公開作品多数
  • 傅山・宋玨・徐枋ら、明末清初を生きた書家たちの筆致に注目
  • 観覧料は一般2,000円(前売1,800円)、公式図録やグッズも充実

正直なところ、この記事を書くまでは「書」の展覧会にここまで心を動かされるとは思っていませんでした。絵画とはまた違う、一文字一文字に込められた書き手の呼吸や生き様を想像しながら眺めるという鑑賞の仕方は、私のような初心者にとってもかえって新鮮に感じられます。会期は12月20日までと少し長めなので、天王寺周辺に出かける用事があるときにでも、ふらっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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