こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
新NISAのつみたて投資枠で一番人気の「オルカン(全世界株式)」。ただ、証券会社のアプリで「全世界株式」と検索すると、eMAXIS Slim、楽天・プラス、はじめてのNISA、SBI・V、たわらノーロード……と似た名前のファンドがずらりと並びます。「オルカンって結局どれのこと?」「どれを買っても同じ?」と手が止まった方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、信託報酬の最安は楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドの年0.0561%ですが、上位のファンドの差は年0.002%程度しかありません。実際には「自分が使っている証券会社で買えるか」と「連動する指数」で選べば十分です。
この記事では、主要なオルカン系投資信託を信託報酬・実質コスト・純資産総額・指数で比較し、証券会社別に「これを選べばOK」という結論までまとめます。ちなみに私自身はつみたて投資枠でS&P500を積み立てている側の人間です。だからこそ、オルカンを「中の人」ではなく少し引いた目線で比べられるかなと思っています。
※本記事は2026年9月26日時点で、運用会社・証券会社・金融メディアの公開情報をもとにしています。信託報酬は税込・年率です。数値は変更されることがあるため、購入前に必ず最新の目論見書・公式ページをご確認ください。特定の銘柄の購入を推奨するものではなく、投資判断はご自身でお願いします。
そもそも「オルカン」はどのファンドのこと?

「オルカン」は、三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の愛称です。ただ、あまりに有名になったため、今では「全世界株式に投資するインデックスファンド」全般を指して「オルカン」と呼ぶことも増えました。この記事でも、全世界株式型のファンドをまとめて「オルカン系」と呼びます。
オルカン系のファンドは、連動を目指す指数によって大きく2つのグループに分かれます。
- MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)連動:先進国+新興国の大型・中型株、約2,500銘柄。eMAXIS Slim、楽天・プラス、はじめてのNISA、Tracers、たわらノーロードなど
- FTSE グローバル・オールキャップ連動:大型・中型に加えて小型株まで含む約9,000銘柄以上。SBI・全世界株式(雪だるま)、SBI・V全世界、楽天・全世界株式(楽天VT)など
どちらの指数も米国比率は約6割で、上位銘柄はエヌビディア、アップル、マイクロソフトといった米国の巨大テック企業が並びます。小型株を含むかどうかで長期のリターンに多少の差は出ますが、値動きはほぼ同じと考えてよいレベルです。「全世界に分散して、あとは放っておく」という目的なら、どちらのグループでも役割は果たせます。
S&P500との違い(米国だけか、全世界か)については、下記記事も併せてご確認ください。

オルカン系投資信託の比較表【2026年9月時点】

主要な全世界株式インデックスファンドを、信託報酬の低い順に並べました。いずれも購入時手数料は無料で、新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠の両方で買えるファンドです。
| ファンド名 | 信託報酬(税込・年) | 連動指数 | 主な購入先 |
|---|---|---|---|
| 楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド | 0.0561% | MSCI ACWI | 楽天証券 |
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0.05775% | MSCI ACWI | 主要ネット証券・銀行ほか |
| はじめてのNISA・全世界株式インデックス | 0.05775% | MSCI ACWI | 主要ネット証券ほか |
| Tracers MSCI オール・カントリー・インデックス | 0.05775% | MSCI ACWI | 主要ネット証券ほか |
| SBI・全世界株式インデックス・ファンド(雪だるま) | 0.1022% | FTSE GACI | SBI証券ほか |
| たわらノーロード 全世界株式 | 0.1099% | MSCI ACWI | 主要ネット証券ほか |
| SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド | 0.1238% | FTSE GACI | SBI証券ほか |
※MSCI ACWI=MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み・円換算ベース)、FTSE GACI=FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス。eMAXIS Slimは「業界最低水準を目指す」方針のため、今後も改定される可能性があります。
上位4本の差は「100万円で年16円」
表を見ると、1位の楽天・プラス(0.0561%)と2位グループ(0.05775%)の差は年0.00165%です。100万円を1年間持っていても、差はわずか約16円。1,000万円まで積み上がっても年165円ほどです。
これくらいの差なら、信託報酬の小数点以下の順位よりも「続けやすさ」を優先したほうが合理的です。ポイント還元、使っている証券会社、アプリの見やすさなどのほうが、実際の手取りにも投資を続けるモチベーションにも影響します。
信託報酬だけでなく「実質コスト」も見る
投資信託には、信託報酬のほかに売買委託手数料・保管費用・監査費用などの「その他費用」がかかります。これらを合計したのが実質コスト(総経費率)で、運用報告書が出てから初めて分かる数字です。
- eMAXIS Slim:純資産総額が13兆円を超える国内最大級のファンドで、規模のメリットから実質コストも低い水準に抑えられています
- はじめてのNISA:信託報酬はeMAXIS Slimと同じで、実質コストもほぼ同水準
- 楽天・プラス:信託報酬は最安ですが、比較サイトの集計では実質コストはeMAXIS Slimをやや上回る水準で、信託報酬の順位と逆転しているケースもあります
ただし、ここでも差は年0.01〜0.03%程度。「実質コストで逆転しているからダメ」というほどの話ではなく、どれを選んでも超低コストであることに変わりはありません。
純資産総額と「繰上償還リスク」
長期で持つ前提なら、ファンドの規模(純資産総額)も確認しておきたいポイントです。規模が小さすぎるファンドは、将来運用をやめて途中で償還される(繰上償還)可能性がゼロではありません。eMAXIS Slimは約13.9兆円、楽天・プラスも1兆円を超えており、この心配はほぼ不要な規模です。一方でTracersのように信託報酬が安くても規模が小さめのファンドは、今後の資金流入を見守る段階と言えます。
証券会社別|オルカン系ファンドの選び方

比較表を踏まえた、私なりの結論はこうです。「自分のメイン証券会社で、ポイントが付くMSCI ACWI連動の低コストファンド」を1本選べば十分です。証券会社別に整理します。
SBI証券・マネックス証券などを使っている人
- 第一候補:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 理由:どの証券会社でも買える定番で、純資産総額も圧倒的。迷ったらこれを選んでおけば後悔しにくい
- 補足:SBI証券なら投信マイレージ、マネックス証券ならマネックスポイントの保有残高ポイントの対象(付与率は証券会社・ファンドごとに異なり、改定もあるので最新の条件を確認)
SBI証券にはSBI・全世界株式(雪だるま)やSBI・V全世界といった自社系のファンドもありますが、信託報酬ではeMAXIS Slimのほうが安くなっています。小型株まで含めたい、というこだわりがなければeMAXIS Slimで十分です。
楽天証券を使っている人
- 第一候補:楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
- 理由:信託報酬が国内最安で、楽天証券の投信残高ポイントプログラムの対象。楽天カードのクレカ積立とも組み合わせやすい
- 注意:楽天証券以外の証券会社では基本的に扱いがないため、将来ほかの証券会社にNISA口座を移すと買い増しができなくなる
「楽天経済圏でずっといく」と決めているなら楽天・プラス、「いつか証券会社を変えるかも」と少しでも思うならeMAXIS Slim、という分け方がシンプルです。NISA口座は年単位で金融機関を変更できますが、変更前に買った分はそのまま旧口座に残るので、どこでも買えるファンドのほうが管理はラクです。
銀行・対面の証券会社で買う人
- 第一候補:取扱いがあればeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 注意:銀行や対面証券では、信託報酬が年0.5%を超える「全世界株式」系のアクティブ寄りファンドや、購入時手数料がかかるファンドをすすめられることもある
名前に「全世界」「グローバル」と付いていても、中身やコストはまったく別物のことがあります。ファンド名ではなく「連動指数」と「信託報酬」で判断するのが、オルカン選びで失敗しない一番のコツです。
オルカン系ファンドを選ぶときの注意点
同じオルカン系を何本も持っても分散にはならない
「eMAXIS Slimと楽天・プラスを半分ずつ」のように、同じ指数に連動するファンドを複数持っても、中身はほぼ同じなので分散効果はありません。管理が面倒になるだけなので、基本は1本に絞りましょう。S&P500とオルカンを両方持つケースも、米国株の重複がかなり大きくなります。
S&P500とオルカンを両方持つ意味については、下記記事も併せてご確認ください。

乗り換えは「売らずに積立先だけ変える」が基本
すでに別のオルカン系ファンドを積み立てている人が、「もっと安いファンドが出たから」と乗り換えるのはおすすめしません。特にNISA口座で売却すると、売った分の非課税枠は翌年まで復活せず、特定口座なら利益に約20%課税されます。どうしても変えたい場合は、今持っている分はそのまま保有し、翌月からの積立先だけを変えるのが基本です。
S&P500からオルカンへの乗り換えを考えている方は、下記記事も併せてご確認ください。

為替ヘッジなし=円高局面では評価額が下がる
ここで比較したファンドはいずれも為替ヘッジなしです。株価が変わらなくても、円高が進めば円ベースの評価額は下がります。オルカンは米ドル以外の通貨も含みますが、全体の約6割がドル建て資産なので、為替の影響は避けられません。長期の積立なら為替の上下もならされていくので、短期の円高で慌てないことが大切です。
「高配当株」を足す必要はあまりない
オルカン1本だと物足りなく感じて、高配当株ファンドを追加したくなる人もいます。ただ、オルカン自体がすでに全世界の配当企業を含んでいるので、足しても分散が大きく広がるわけではありません。考え方は下記記事で詳しくまとめています。

S&P500派の私が、今オルカンを1本選ぶなら
最後に、私自身の目線も書いておきます。私はSBI証券で三井住友カード ゴールド(NL)のクレカ積立を使い、つみたて投資枠でS&P500を積み立てています。もし今からオルカンを1本選ぶとしたら、迷わずeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)にします。
- どこでも買える:証券会社を変えても同じファンドを買い続けられる
- 規模が大きい:繰上償還の心配がほぼなく、実質コストも低い
- コスト差は誤差:楽天・プラスとの差は100万円で年16円程度
つまり、オルカン選びで大事なのは「どれを選ぶか」より「選んだあと何十年も持ち続けること」です。比較に時間をかけすぎて積立開始が数か月遅れるほうが、信託報酬の差よりずっと大きな機会損失になります。
夫婦でS&P500とオルカンをどう分けるかについては、下記記事で詳しく書いています。

まとめ
- 信託報酬の最安:楽天・プラス・オールカントリー(年0.0561%)。eMAXIS Slim・はじめてのNISA・Tracersが年0.05775%で続く
- 上位の差は誤差:100万円で年16円程度。実質コストでは順位が逆転することもある
- 選び方:楽天証券メインなら楽天・プラス、それ以外や迷ったらeMAXIS Slim
- 指数の違い:MSCI ACWI(約2,500銘柄)とFTSE GACI(小型株含む約9,000銘柄以上)。値動きはほぼ同じ
- 注意点:同じオルカン系を複数持たない/乗り換えは積立先の変更だけ/名前ではなく指数と信託報酬で判断
オルカンは「どれを選んでもほぼ正解」と言えるほど、低コスト競争が進んだ商品です。だからこそ、比較で悩みすぎずに1本決めて、あとはコーヒーでも飲みながらのんびり積み立てていきましょう。

