沖縄SVとは|高原直泰が挑む、選手兼経営者発のクラブ

南国のスタジアムのイメージ サッカー
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こんにちは。風読珈琲店のカエデです。ヴェルスパ大分、ジェイリースFC、ヴィアティン三重、VONDS市原とJFLクラブを紹介してきましたが、今回はこれまでとは毛色の違うクラブです。沖縄県の「沖縄SV」、元日本代表FW・高原直泰さんが自ら立ち上げたクラブを紹介します。

VONDS市原とは|3年越しで悲願のJFL初昇格を果たしたクラブ
古河電気工業千葉事業所サッカー部を前身に持つVONDS市原。関東リーグ4度優勝も入れ替え戦で3年連続敗退という苦難を経て、2025年11月にアトレチコ鈴鹿を延長で破り悲願のJFL初昇格を達成した歩みと、地域一体のスタジアム構想を紹介します。

Jリーグで得点王・MVPを獲得し、ドイツの舞台でも活躍した元日本代表選手が、引退後ではなく現役のまま、しかも一からクラブを立ち上げて沖縄に渡った——調べれば調べるほど、これまで紹介してきたクラブとは違う「有名選手発」のストーリーに引き込まれました。

この記事では、沖縄SVがどんなクラブなのか、高原直泰さんのキャリアから、県リーグ3部からJFLまで駆け上がった歩み、そして「一時首位から後半失速」というドラマがあった2025年シーズンまでを、JFLを追いかけ始めたばかりの一ファンの目線でまとめます。


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沖縄SVってどんなクラブ?

元プロサッカー選手のイメージ
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沖縄SVは、2015年12月25日に「沖縄SV株式会社」として設立されたクラブです。設立当初、高原直泰さんは選手・監督・クラブ代表という一人三役をこなしながらチームを率いていました。2016年にうるま市の東海岸へ本拠地を移し、地域とともに歩むクラブづくりをスタートさせています。

  • 設立:2015年12月25日
  • 運営:沖縄SV株式会社(本社:豊見城市、本店:うるま市)
  • クラブスローガン:「With The Community」
  • オーナー兼代表:高原直泰氏(元サッカー日本代表)

元日本代表選手が、引退してから指導者としてクラブに関わるケースは珍しくありませんが、沖縄SVは現役選手のまま経営者としてクラブをゼロから立ち上げたという点で異色の存在です。しかも拠点に選んだのは、Jリーグクラブが一つもなかった沖縄県。日本代表として世界を舞台に戦ってきた選手が、あえて競技人口の少ない土地から挑戦を始めたことになります。


元日本代表FW・高原直泰という原点

高原直泰さんは1979年6月4日、静岡県三島市出身。1998年にジュビロ磐田でプロキャリアをスタートさせ、ボカ・ジュニオルス(アルゼンチン)への期限付き移籍も経験しています。

  • 2002年:Jリーグでリーグ戦26得点を挙げてMVP・得点王を獲得。ジュビロ磐田の完全優勝に貢献
  • 2003年:ドイツ・ハンブルガーSVへ完全移籍。約3年半で公式戦119試合16得点7アシスト
  • 2006年:フランクフルトへ移籍し、2006-07シーズンのブンデスリーガで30試合11得点
  • 日本代表:2000年に初出場。シドニー五輪(2000年)、ドイツW杯(2006年)などに出場
  • 2023年8月:沖縄SVの代表・監督を続投する形で、現役選手を引退

欧州でも結果を残したトップレベルの経歴を持ちながら、現役中からクラブ経営に乗り出したというのは、日本サッカー界でも珍しいキャリアです。引退後も代表・監督としてクラブに残り続けている点からも、本気度の高さがうかがえます。

ジュビロ磐田時代の2002年、26得点でMVPと得点王を同時に獲得したシーズンは、いまも日本サッカー史に残る記録のひとつとして語られています。そこからハンブルガーSV、フランクフルトと渡り歩いた欧州でのキャリアを含め、間違いなく「日本を代表するストライカーの一人」だった選手が、引退後ではなく現役中に経営へ踏み出したという選択の重みは、他のJFLクラブにはない背景です。


県リーグ3部から、7年でJFLへ

サッカーの試合後半戦のイメージ
Photo by Sinan KRIYA on Pexels
  • 2016年:沖縄県リーグ3部からスタート
  • 2017年:県1部へ飛び級昇格し、同年のうちに九州サッカーリーグへ昇格
  • 2019年・2021年・2022年:九州サッカーリーグで3度の優勝
  • 2022年:天皇杯でJ3クラブのFC今治を4-1で破り、「対Jリーグクラブ初勝利」を達成
  • 2022年:JFLへの入会を果たす

県リーグ3部から、わずか7年でJFLの舞台までたどり着きました。九州リーグ時代に格上のJ3クラブを天皇杯で撃破した実績は、JFL入会前から実力を証明する象徴的な白星だったと言えそうです。全国的な知名度を誇る元代表選手が率いるクラブとあって、九州リーグ時代から常に注目度の高い存在だったこともうかがえます。

2023年のJFL初年度は苦戦を強いられ、入れ替え戦にまで回りながらも何とか残留。翌2024年は9位でシーズンを終えています。地域リーグでは圧倒的な力を見せていたクラブでも、全国レベルのJFLに入ると簡単には勝てない。ここまで紹介してきた他のクラブと同じく、沖縄SVもまた「昇格してからが本当の勝負」という壁にぶつかった形です。


2025年、一時首位からの失速と「CEO監督」の誕生

2025年シーズンは、小野木玲監督のもとでスタートしました。前半戦15試合を終えた時点で9勝4分2敗・勝ち点31を記録し、一時は首位に立つ好調ぶりを見せます。

ところが後半戦は一転して3勝3分9敗と失速。9月21日以降の4試合では下位クラブ相手に勝ち点を思うように積み上げられず、クラブは10月24日、小野木監督との契約解除を決断します。翌10月25日の第26節以降、残り5試合の指揮を執ったのは、代表取締役CEOである高原直泰さん自身でした。

  • 前半戦(15試合):9勝4分2敗・勝ち点31で一時首位
  • 後半戦:3勝3分9敗と失速し、10月24日に監督交代
  • 最終成績:16クラブ中8位、12勝11敗7分・勝ち点43(前年の9位からは順位アップ)

「経営トップが指揮官を兼ねる」という決断は、それだけクラブにとって切迫した状況だったことを物語っています。一時は首位に立ちながらJFL昇格の可能性が消滅していく展開は、選手・スタッフにとっても悔しいシーズンだったはずです。

2015年の設立当初、高原さんは選手・監督・代表の一人三役でクラブをスタートさせました。10年近くが経ち、選手としては引退したものの、シーズン終盤には再び現場に立って指揮を執ることになったわけです。原点に立ち返りながらクラブの立て直しを図る姿は、経営者としての覚悟の表れとも言えそうです。


複数のスタジアムと、J3ライセンスという壁

南国の農園のイメージ
Photo by Paula Rebolledo on Pexels

沖縄SVは、ホームゲームを1つのスタジアムに固定せず、沖縄県内の複数会場で開催しているのも特徴です。

  • 沖縄県総合運動公園陸上競技場(収容10,189人)
  • 沖縄市陸上競技場(収容13,400人)
  • 南風原町黄金森公園陸上競技場(収容5,300人)

2022年2月にJリーグ百年構想クラブとして認定を受けましたが、2023年7月に脱退。これは2022年12月の規約改定でJリーグ入会要件から百年構想クラブであることが外れたためで、ヴィアティン三重など他クラブも同時期に同様の対応を取っています。

J3クラブライセンスの取得そのものについては、観客動員数などの基準がハードルになっているとの指摘もあります。スタジアムが複数に分散していることもあり、J3ライセンスに必要な平均入場者数の基準をクリアできるかどうかは、今後の大きな課題として注目されています。

複数のスタジアムを使い分けるスタイルは、県内各地のファンに試合を届けやすいという利点がある一方で、ホームスタジアムとしての一体感を築きにくいという面もあります。J3ライセンス取得に向けては、拠点となる本拠地の整備が今後の焦点になりそうです。

J3昇格の条件とは?JFLからJリーグに上がる仕組み
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サッカーだけじゃない。地域と歩む「沖縄SVアグリ」

沖縄SVのユニークな点は、サッカークラブの枠を超えた事業展開にもあります。「沖縄SVアグリ株式会社」という関連会社を通じて、高原直泰さん自らが代表となり、コーヒー栽培をはじめとする農業事業にも取り組んでいます。

クラブスローガンの「With The Community」が示すとおり、試合の勝敗だけでなく、地域の産業とも結びつきながらクラブの土台を広げようとする姿勢がうかがえます。サッカークラブが農業事業まで手がけるのは全国的にも珍しく、沖縄SVらしい独自路線と言えそうです。

スタジアム運営に力を入れるヴィアティン三重や、医療・介護施設併設型スタジアムを構想するVONDS市原など、JFLには「本業+α」で地域とつながろうとするクラブが少なくありません。沖縄SVの場合はそれが農業だった、という違いはありますが、根底にある発想は共通しているように感じます。


JFLを観てみたい人へ

元日本代表選手が経営者として挑み続けるクラブ、沖縄SV。「JFLの試合ってどこで観られるの?」という方には、こちらの記事で無料配信・中継の視聴方法をまとめています。JFLそのものの仕組みを詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。

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沖縄SVの最新情報は、公式サイトで発信されています。

沖縄SV(OSV) | 公式ホームページ
沖縄SV(おきなわ・エス・ファウ)公式ホームページ。沖縄県の豊見城市、うるま市、沖縄市を中心に全県を本拠地とするスポーツクラブ!!

まとめ

  • 沖縄SVは、元日本代表FW・高原直泰さんが2015年に立ち上げたクラブ
  • 高原さんは2002年Jリーグ得点王・MVP、ハンブルガーSVなど欧州でも活躍した経歴を持つ
  • 県リーグ3部からわずか7年でJFL入りを果たし、2022年には天皇杯でJ3クラブを撃破
  • 2025年は前半戦首位ターンも後半失速し、10月に監督交代。高原CEO自らが指揮を執り最終8位
  • 「沖縄SVアグリ」など、サッカー以外の事業でも地域とのつながりを広げている

現役トップ選手が経営者に転身してゼロからクラブを立ち上げるという道は、簡単に真似できるものではありません。それでも骨を埋める覚悟で歩み続ける高原さんの姿を知ると、沖縄SVの今後の戦いぶりを見守りたくなります。ヴェルスパ大分、ジェイリースFC、ヴィアティン三重、VONDS市原、そして沖縄SV。同じJFLでも、これほど成り立ちの異なるクラブが並び立っていることに、あらためて驚かされます。

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