こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
この記事は、2025年8月に金融庁が「子どもも使えるNISA」を税制改正要望に入れた時点で書いたものでした。その後、2025年12月26日に閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」で、こどもNISAの創設が正式に決まりました。2026年10月1日からは各証券会社で口座開設の申込受付も始まっています。
一方で、要望の段階で一緒に話題になっていた「高齢者向けの毎月分配型投信」や「売ったその年に枠が戻るスイッチング」は見送られました。この記事では、何が決まって何が見送られたのかを整理し、親が子どもの口座に入金するときに気をつけたい贈与税の考え方までまとめます(2026年10月4日時点の情報で更新しました)。
結論:こどもNISAは2027年1月スタート、年60万円・総額600万円

税制改正大綱で決まったこどもNISAの骨格は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 2027年1月(口座開設の申込受付は2026年10月1日から) |
| 対象年齢 | 0〜17歳 |
| 使える枠 | つみたて投資枠に相当する枠のみ(長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託) |
| 年間投資枠 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 払出し | 原則18歳になる年(3月31日時点で18歳の年)の前年末まで不可。12歳以降は、子ども本人のための使途であることと本人の同意を示す書類を親権者が提出すれば払出し可能 |
| 18歳以降 | 成人向けのNISA(総枠1,800万円)へ自動的に引き継がれる |
ジュニアNISAで不評だった「18歳まで引き出せない」縛りが緩和され、18歳以降は大人のNISAにそのままつながるのが最大の特徴です。ただし個別株を自由に売買できる制度ではなく、投資できるのは積立向けの投資信託に限られます。
払出しについて補足すると、12歳になれば自由に引き出せるわけではなく、「子ども本人のためのお金であること」と「子ども本人の同意」を書面で示す手続きが必要です。親の生活費や親自身の用途に回すことはできません。中学・高校の入学費用など、子どもに使う目的が明確な場合の出口と考えておくとよいでしょう。
必要書類の様式など細かい運用は、各証券会社の案内で確認できます。口座を作る前に、利用する証券会社の最新の説明を確認してください。
金融庁が要望した「3大改革」はどうなった?

2025年8月の要望時点では、NISAの改正案は大きく3つが注目されていました。結果は「1勝2敗」です。
| 要望の内容 | 結果(令和8年度税制改正大綱) |
|---|---|
| 未成年へのNISA解禁(0歳から) | 実現。こどもNISAとして2027年1月開始 |
| 高齢者向けに毎月分配型投信を対象に追加 | 見送り。いわゆる「プラチナNISA」も制度化されず |
| スイッチング(売却した年に枠を復活) | 見送り。枠の復活は従来どおり売却の翌年 |
このほか、つみたて投資枠の対象商品を広げる見直しも大綱に盛り込まれています。
毎月分配型が見送られた理由
毎月分配型の投資信託は、定期的にお金を受け取れる安心感がある一方で、運用益を超えて元本を取り崩す「タコ足配当」になりやすく、手数料が高い商品も多いという問題がありました。長期の資産形成を目的とするNISAの趣旨と合うのか、という慎重論が強く、今回は見送りになったとみられます。
スイッチングが見送られて困ること
新NISAでは、売却した商品の分の枠が戻るのは翌年です。たとえば年の途中で「この投信からあの投信に乗り換えたい」と思っても、その年の枠を使い切っていると買い直せません。乗り換えを考えるときは、売却は年末近くより、年初の枠に余裕があるうちに検討するのが現実的です。
ジュニアNISAとの違い

「子ども向けNISA」と聞いて、2023年末で終わったジュニアNISAを思い出す人も多いと思います。両者を並べると、使い勝手はかなり変わりました。
| 項目 | ジュニアNISA(2016〜2023年) | こどもNISA(2027年〜) |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 80万円 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 400万円(5年×80万円) | 600万円 |
| 投資対象 | 株式・投資信託など | 積立・分散向けの一定の投資信託 |
| 払出し | 18歳まで原則不可(払い出すと過去の利益に課税) | 12歳以降、一定の要件で可能 |
| 18歳以降 | 別途手続きが必要 | 成人向けNISAへ自動移行 |
ジュニアNISAは払出し制限が厳しく、制度自体の終了も早かったため、利用が伸び悩みました。こどもNISAは年間枠こそ小さくなったものの、総額の枠は増え、出口の使いやすさが改善されています。
こどもNISAで期待できること
- 時間を味方にできる:0歳から18年間積み立てられるので、複利の効果が大きくなる
- 教育費の準備:12歳以降の払出しルールを使えば、中学・高校の費用にも充てやすくなる(要件の確認は必要)
- 18歳以降も途切れない:成人向けNISAへ自動で移るので、子ども自身がそのまま資産形成を続けられる
- 家庭内の金融教育:「あなたの口座でこれだけ増えた」と見せることで、お金の話をするきっかけになる
一方で、投資信託なので元本割れの可能性はあります。すぐ使う予定の教育費(数年以内の入学金など)は、こどもNISAではなく預金で用意するという切り分けは、大人のNISAと同じく大切です。
贈与税:年60万円なら基本は非課税の範囲内
子どものNISA口座に親や祖父母がお金を入れるのは、税金の世界では「贈与」です。贈与税には年間110万円の基礎控除があり、こどもNISAの年間枠60万円をすべて親が出しても、それだけなら110万円以内に収まります。
要望段階では「年間120万円の枠」も想定されていたため、この記事でも以前は110万円を超える場合の注意を書いていました。60万円で確定したことで、この心配はかなり小さくなっています。
それでも注意したい2つのケース
- 他の贈与と合算される:110万円の基礎控除は「受け取る子ども1人あたり・1年間・全員からの贈与の合計」。祖父母からの現金のお祝いや、別の口座への入金と合わせて110万円を超えると課税対象になる
- 名義預金とみなされる:名義は子どもでも、実際には親がお金を管理し、子どもに渡すつもりがない場合は「親の財産」と判断されることがある。将来の相続のときに相続財産として扱われる可能性がある
贈与として認められやすくするコツ
- 贈与契約書を毎年作る:贈与する人・受け取る人・金額・日付を書き、それぞれ署名する。子どもが幼い場合は親権者が受け取る側として署名する
- 入金の記録を残す:親の口座から子どもの口座への振込など、お金の流れが分かる形にしておく
- 子どもに伝える:ある程度の年齢になったら、口座の存在と中身を本人に伝える。本人が知らない口座は名義預金と疑われやすい
- 教育費は直接払いも使う:学費などを親が学校へ直接払う場合、必要な都度の支払いであれば贈与税はかからない
「毎年同じ時期に同じ金額を贈与すると、まとめて贈与したとみなされる(定期贈与)」という話もよく聞きます。ただ、これは最初から「10年間で総額いくら渡す」と約束していた場合などに問題になるもので、毎年その都度贈与を決めているなら通常は心配しすぎる必要はありません。気になる場合は、贈与契約書をその年ごとに作っておくのが確実です。
始めるか迷ったときの判断の目安
こどもNISAは「作れば得」という制度ではありません。家計の状況によっては、先に親自身のNISAを優先したほうがよいこともあります。次の順番で考えると整理しやすくなります。
- ① 親のNISA・生活防衛資金が先:親の新NISAを使い切れていない、または生活費の数か月分の貯金がないなら、まずはそちらを優先する。親の口座で増やしたお金を、必要なときに教育費に回すこともできる
- ② 使う時期で分ける:10年以上先に使う資金(大学費用や子どもが大人になってからの資金)はこどもNISA向き。数年以内に使う資金は預金や学資保険など元本が減りにくい方法で
- ③ 毎月いくら出せるか:年60万円は月5万円。満額にこだわらず、月5,000円や1万円から始めても18年続ければまとまった金額になる
- ④ 祖父母からの援助の受け皿にする:お祝い金などを預金に眠らせているなら、こどもNISAの入金に回すのも選択肢。ただし贈与税の合算に注意
ジュニアNISAの反省から使いやすくはなりましたが、一度入れたお金は12歳までは原則引き出せない点は変わりません。出し入れの自由度が必要なお金は入れない、というのが失敗しないコツです。
口座開設は2026年10月から受付中
こどもNISAの口座開設の申込は、2026年10月1日から各証券会社で始まっています。親権者が自分の証券口座からログインし、子どもの口座を申し込む流れが基本です。証券会社ごとの手順や必要書類は、下記記事にまとめています。

こどもNISA向けに信託報酬0%のファンドも登場しています。本当にお得かどうか、注意点は下記記事をご確認ください。

ここまでの経緯と今後のスケジュール
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年8月末 | 金融庁がこども家庭庁と共同で、未成年へのNISA拡充などを税制改正要望として提出 |
| 2025年12月26日 | 「令和8年度税制改正の大綱」を閣議決定。こどもNISAの創設が決定、毎月分配型・スイッチングは見送り |
| 2026年10月1日 | 各証券会社でこどもNISAの口座開設申込の受付開始 |
| 2027年1月 | こどもNISAの制度開始・投資スタート |
あわせて読みたい本
こどもNISAで「何を、どれだけ、どう続けるか」を考えるなら、長期のつみたて投資の基本を押さえた一冊が役立ちます。(PR:Amazonアソシエイトのリンクを含みます)
『ほったらかし投資術』:インデックス投資を手間なく続けるための考え方と、NISAの使い方を具体的に解説しています。子どもの将来に向けた長期投資の土台づくりにも通じる内容です。
まとめ

- こどもNISAは2027年1月開始。0〜17歳が対象で、年60万円・総額600万円まで非課税
- 12歳以降は一定の要件で払出し可能、18歳で成人向けNISAへ自動移行。ジュニアNISAより出口が使いやすい
- 金融庁要望のうち、毎月分配型の追加(プラチナNISA)とスイッチングは見送り
- 年60万円の入金だけなら贈与税の基礎控除110万円以内。ただし他の贈与との合算と名義預金に注意
- 口座開設の申込は2026年10月1日から受付中
要望の段階では「どこまで実現するのか」が見えませんでしたが、子ども向けの部分は形になりました。始めるかどうかは、教育費の時期と金額を書き出してから決めるのがおすすめです。

