こんにちは。風読珈琲店のカエデです。Jリーグ観戦が趣味の私ですが、最近はその一段下のカテゴリーにもすっかり夢中になっています。JFL(日本フットボールリーグ)、Jリーグの下部にあたる全国リーグです。将棋を観る側として少しずつ知識を広げているのと同じで、JFLも「まずは追いかけてみる」くらいの気軽さで結果をチェックするようになりました。
そんな中、ここ最近ずっと気になっているクラブがあります。大分県の「ヴェルスパ大分」です。2025年シーズンにJFL上位を走り、あと一歩までJ3昇格に迫りながら悔しさを味わったクラブで、「悲願のJ3昇格」という言葉がこれほど似合うクラブもなかなかありません。
この記事では、ヴェルスパ大分がどんなクラブなのか、沿革やホームスタジアム、そして2025年シーズンにあと一歩で逃した昇格の戦いぶりを、JFLを追いかけ始めたばかりの一ファンの目線でまとめます。普段Jリーグの試合を追いかけているときとはまた違う、下部リーグならではの手作り感や地域密着ぶりも含めて紹介できればと思います。
そもそもJFLは、Jリーグ(J1〜J3)のさらに下に位置する、日本サッカー界で事実上の「4部相当」にあたる全国リーグです。プロ契約の選手だけでなく、会社員として働きながらプレーする選手が所属するクラブも多く、Jリーグを目指して奮闘するクラブと、あくまでアマチュアの立場を貫くクラブが同じ舞台で戦う、独特の空気感があります。ヴェルスパ大分は、その中でも「Jリーグ入り」をはっきり目標に掲げているクラブのひとつです。
ヴェルスパ大分ってどんなクラブ?

ヴェルスパ大分は、大分市・別府市・由布市をホームタウンとするサッカークラブです。前身の「HOYO FC」として2003年に発足し、地域リーグでの活動を経て2014年に現在の「ヴェルスパ大分」に改称しました。JFLに定着して10年以上になる、いわば「JFLの顔」のひとつです。
クラブ名の変遷をたどると、2003年に「HOYO FC」として発足したのち、2005年には地元・挾間町(現在の由布市の一部)のジュニアチームと合併して「HOYO Atletico ELAN」に、2011年にはNPO法人化して「HOYO AC ELAN大分」に改称しています。そして2013年に「HOYO大分」となり、2014年シーズンから現在の「ヴェルスパ大分」に。運営母体だった企業名をクラブ名から外したのは、将来的なJリーグ加盟を見据え、幅広いスポンサーを獲得しやすくするためだったとされています。何度も名前を変えながら地域に根を張ってきた、まさに「手作り」のクラブです。
- ホームタウン:大分市・別府市・由布市
- 主なホームスタジアム:クラサスドーム大分(大分スポーツ公園総合競技場の愛称。Jリーグ・大分トリニータの本拠地でもあり、2002年サッカーW杯や2019年ラグビーW杯の会場にもなった、大分県のシンボル的スタジアム)。ほかに県内各地のスタジアムでも試合を開催
- J3クラブライセンス:2022年に取得済み。あとは成績とJリーグの入会条件をクリアすれば、いつでも昇格できる状態が続いている
- 育成・普及活動:トップチームだけでなく、サッカースクールやレディースアカデミーも運営。2018年には竹田南高校(現・稲葉学園高校)女子サッカー部の設立を支援するなど、地域のサッカー普及にも力を入れている
2025年、あと一歩で終わった悲願のシーズン
ヴェルスパ大分にとって2025年は、これまでで最もJ3昇格に近づいたシーズンでした。開幕7節時点で早くも首位に立つと、17節のHonda FC戦にはクラサスドーム大分に7,029人を集めて再び首位に浮上。しかし、夏場の中断明けに行われたレイラック滋賀との首位攻防戦で敗れたのをきっかけに歯車が狂い始め、最終順位は6位に終わりました。
指揮を執った中村元監督は「底力が足りなかった」と振り返り、ベテランの福満隆貴選手は「後半戦は相手の分析が進む中で弱点を突かれた」「練習強度の波」「仲の良さがそのまま試合の緩さにつながる瞬間があった」と、具体的な課題を挙げています。それでも最終節はアトレチコ鈴鹿に2-1で勝利し、有終の美を飾りました。「方向性の明確化」と「守備の再構築」——これが、次のシーズンに持ち越された宿題でした。
首位を独走したわけではなく、夏場の失速から立て直して最終節を勝利で締めくくったという流れは、JFLの上位争いの厳しさをよく表しています。一発勝負のカップ戦とは違い、リーグ戦は約30試合を戦い抜く体力と修正力が問われる世界。ヴェルスパ大分の2025年は、その難しさと向き合った一年だったと言えそうです。
チームを支えたベテランの一人が、福満隆貴選手です。厳しい終盤戦の中でもチームに残る課題を具体的な言葉で語れる存在は、若い選手が多いクラブにとって貴重です。JFLのクラブは大学卒業直後の選手や、Jリーグからの移籍組など経歴の幅が広いのも特徴で、そうした選手たちが同じ目標に向かって走る姿が、下部リーグ観戦の面白さのひとつだと感じます。
「大分ダービー」の相手・ジェイリースFCとは

ヴェルスパ大分と同じ大分市を拠点とするJFLクラブに、ジェイリースFCがあります。大分市に本社を置く家賃保証会社・ジェイリースが、地域貢献の一環として2018年にカティオーラFCと連携して設立した実業団チームで、ホームスタジアムは大分市営陸上競技場の愛称「ジェイリーススタジアム」。同じ大分県・大分市を本拠地とする2クラブが対戦するカードは「大分ダービー」と呼ばれ、地元では注目度の高い一戦になっています。
ジェイリースFCについては、県リーグ3部からの急成長ぶりや2025年の全国地域CL制覇の経緯を、こちらの記事で詳しく紹介しています。

同じ県内に2つもJFLクラブがあるのは全国的にも珍しく、しかも両クラブとも「地元企業が主体になって育ててきたクラブ」という共通点があります。Jリーグ入りを掲げるヴェルスパ大分と、地域貢献を掲げるジェイリースFC。方向性の異なる2クラブが県内で切磋琢磨している構図は、JFLならではの面白さだと感じます。
大分県には、Jリーグ・大分トリニータに加えて、このJFL2クラブが存在することになります。Jリーグの下にもう一段リーグがあり、その中にさらに地元同士のダービーがある——普段Jリーグしか意識していなかった私にとって、この重層的な構造そのものが新鮮な発見でした。育成年代からトップチームまで、地域のサッカーを支える裾野の広さを感じさせるエピソードです。
そもそも「JFLからJ3昇格」はどう決まる?
JFLからJ3への昇格には、成績とクラブ資格の両方が条件になります。年間順位で上位に入るだけでなく、J3クラブライセンスの取得や、Jリーグへの入会審査(平均入場者数・年間入場料収入・財務状況などのチェック)をクリアする必要があります。
- 年間1位のクラブが、Jリーグの入会条件を満たしていれば自動昇格の対象になる
- 1位のクラブが条件を満たせない場合や、2位のクラブは、J3の下位クラブとの入れ替え戦(プレーオフ)に回る
- たとえば2025年シーズンは、優勝したHonda FCがJリーグのライセンス制度に参加していないため昇格の対象外となり、2位のレイラック滋賀がJ3・アスルクラロ沼津との入れ替え戦に回った
ヴェルスパ大分はすでにJ3クラブライセンスを取得済みなので、あとは順位を上げてJリーグの入会条件をクリアするだけ、という状態です。裏を返せば「強さ」と「クラブとしての体制」の両方が揃って初めて昇格できる、狭き門だということでもあります。
J3クラブライセンスとは、スタジアムの設備基準や医療体制、財務状況などをJリーグが定める基準に照らして審査する制度です。JFLに所属しながらこのライセンスを取得しているクラブは一部にとどまり、ヴェルスパ大分のように「いつでも昇格できる準備」を整えているクラブは、JFLの中でも数少ない存在です。仕組みの詳細はこちらの記事もあわせてどうぞ。


JFLを観てみたい人へ

ヴェルスパ大分をはじめ、JFLのクラブはチケット代も手頃で、スタジアムとの距離が近いのが魅力です。選手との距離が近いぶん、勝った日も負けた日も、ロッカールーム前で挨拶を交わすファン・サポーターの姿を見かけることもあります。Jリーグとはまた違う、手の届く距離感の応援スタイルも下部リーグ観戦の醍醐味です。「JFLの試合ってどこで観られるの?」という方には、こちらの記事で無料配信・中継の視聴方法をまとめています。関西からJFL・アマチュアサッカーを楽しむ観戦ガイドもあわせてどうぞ。


ヴェルスパ大分の最新情報は、公式サイトや公式X(旧Twitter)で発信されています。

まとめ
- ヴェルスパ大分は大分市・別府市・由布市をホームタウンとする、J3クラブライセンス保持クラブ
- 2003年に「HOYO FC」として発足し、2014年に現クラブ名に改称。育成・普及活動にも力を入れている
- 2025年シーズンは終盤に失速し、最終順位6位でJ3昇格を逃した
- 同じ大分市のジェイリースFCとの「大分ダービー」は、地元で注目度の高い一戦
- JFLからJ3への昇格には、順位だけでなくクラブライセンスやJリーグ入会条件のクリアも必要
まだJFLを観始めたばかりの私ですが、ヴェルスパ大分のようなクラブが地域と一緒に積み上げてきた歩みを知ると、応援したくなる気持ちが増します。企業名を外してまでJリーグ入りを見据えた2014年の改称から10年あまり、少しずつでも着実に前へ進んできたクラブだからこそ、次のシーズンの巻き返しにも期待したくなります。悲願のJ3昇格、いつか叶いますように。

