こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
京都・東山の鹿ヶ谷にある泉屋博古館で、特別展「没後100年記念 住友春翠 -仕合せの住友近代美術コレクション」が、2026年10月31日(土)〜12月20日(日)に開催されています。
住友家第15代当主・住友春翠(1864〜1926)は、住友コレクションの多くを明治中頃から大正時代にかけて買い求めた人物。モネ《モンソー公園》や藤島武二《幸ある朝》、板谷波山の重要文化財《葆光彩磁珍果文花瓶》など、ひとりの実業家が「同時代の美術」とどう出会ってきたのかを時系列でたどれる展覧会です。紅葉シーズンの東山散策とあわせて訪ねたい一本なので、見どころと基本情報をまとめました。

「住友春翠」展の基本情報

- 展覧会名:特別展「没後100年記念 住友春翠 -仕合せの住友近代美術コレクション」
- 会期:2026年10月31日(土)〜12月20日(日)※前期・後期で一部作品の展示替えあり
- 会場:泉屋博古館(京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24)
- 開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日:月曜日(11月23日は開館)、11月24日(火)
- 入館料:一般1,200円(団体1,000円)、学生800円(団体700円)、18歳以下無料
- 主催:公益財団法人泉屋博古館、日本経済新聞社、京都新聞
18歳以下は無料、学生も800円と、20代の学生にはかなり行きやすい価格設定です(学生・18歳以下は証明書の提示が必要)。障がい者手帳等の提示で本人と同伴者1名まで無料。本展のチケットで、常設の「ブロンズギャラリー」(中国青銅器の展示)もあわせて見られます。
なお、入館券はオンラインチケットを除き館の受付で販売されています。前期・後期の切り替え日や最新の展示状況は、出かける前に公式サイトで確認しておくと安心です。

住友春翠ってどんな人?
住友春翠は、本名を住友吉左衞門友純(ともいと)といいます。公家の徳大寺家に生まれ、のちに住友家に迎えられて第15代当主となりました。元老・西園寺公望は実の兄にあたります。
春翠は実業家として住友の事業を近代的な組織へと育てた一方、文化への関心も深い人でした。大阪・中之島の府立図書館(現在の大阪府立中之島図書館)の建物と図書購入費を寄贈したことでも知られ、中国青銅器や茶道具、そして同時代の日本画・洋画・工芸を幅広く集めています。
- 生没年:1864年〜1926年(2026年が没後100年)
- 立場:住友家第15代当主。住友グループの礎を築いた人物
- 収集の時期:明治中頃から大正時代にかけて
- コレクションの行き先:泉屋博古館(京都)と泉屋博古館東京で公開されている住友コレクションの中核
「泉屋(せんおく)」は住友家の江戸時代の屋号で、「博古」は古いものを広く知るという意味。つまり泉屋博古館そのものが、春翠たちが集めた品を受け継ぐための美術館なんです。
見どころ① 時系列でたどる「出会い」の記録

今回の展覧会のいちばんの特徴は、春翠の経歴と作品購入の歴史を時系列で並べる構成になっていることです。名品をジャンル別に見せるのではなく、「この年、春翠はこの作家とこう出会った」という順番で追いかけていく形です。
さらに、かつて住友が持っていたものの今は別の場所にある作品もあわせて展示し、当時のコレクションを復原的に検証するといいます。美術館に並んだ完成形しか見ることのない私たちにとって、「集める側」の視点で近代美術を見直せるのは新鮮な体験になりそうです。
同時代の作家との交流にもスポットが当たります。春翠は作品をただ買うだけでなく、画家や工芸家と関係を結び、制作を後押ししていました。サブタイトルの「仕合せ」という言葉には、そうした人と作品との巡り合わせのニュアンスが込められているように感じます。
見どころ② 公式に紹介されている主な出品作品
洋画:モネと藤島武二
- クロード・モネ《モンソー公園》(1876年):パリの公園を描いた印象派らしい一枚。後期展示なので、モネ目当てなら会期後半に
- 藤島武二《幸ある朝》(明治41年/1908):明治洋画を代表する画家のひとり、藤島武二の作品
日本の実業家が明治・大正期にモネを手に入れていた、というだけでもワクワクします。印象派好きの人にとっては、関西で見られる貴重な機会ですね。
日本画:竹坡・鳳山・秋坪・香田勝太
- 尾竹竹坡《九冠鳥》(明治45年/1912)
- 上島鳳山「九月 菊花」(《十二ヵ月美人》のうち、明治42年/1909):大阪で活躍した美人画家の連作。前期展示
- 山田秋坪《柘榴花白鸚鵡図》(大正9年/1920):後期展示
- 香田勝太《春秋草花図》(大正6〜7年/1917〜18頃):屏風の左隻のみの展示に変更(前期)
工芸:板谷波山と七宝

- 板谷波山《葆光彩磁珍果文花瓶》(大正6年/1917、重要文化財):薄いベールをかけたようなやわらかな光沢の「葆光彩磁」で知られる、近代陶芸の名品
- 安藤重兵衛《銀七宝孔雀尾花瓶》(明治36年/1903):明治の輸出工芸を支えた七宝の技が見どころ
絵画だけでなく、陶磁器や七宝まで幅広く並ぶのが住友コレクションらしいところ。前期と後期で見られる作品が変わるので、どうしても見たい作品があれば展示期間をチェックしてから行きましょう。
記念講演会・スライドトーク
- 記念講演会②「住友友純(春翠)の生涯」:12月12日(土)14:00〜15:30。講師は住友史料館主席研究員の牧知宏氏。要予約・定員75名
- スライドトーク:11月23日(月・祝)、12月13日(日)各14:00〜15:00。講師は泉屋博古館東京主任学芸員の椎野晃史氏。予約不要、当日10時から整理券配布・定員75名
※10月31日の記念講演会①(廣川守館長「住友春翠の美術品収集」)はすでに終了しています。いずれのイベントも当日の観覧券が必要です。予約制の講演会は公式サイトから先着順で受け付けているので、空き状況は公式ページで確認してください。
あわせて楽しみたい東山の美術館さんぽ

泉屋博古館は「京都東山 美術館さんぽ」の対象館になっていて、本展の半券を見せると、近くの野村美術館「寛永時代の茶の湯」(後期:10月24日〜12月6日)の入館料が一般1,000円→900円になります(ほかの割引との併用不可)。
鹿ヶ谷周辺は、哲学の道や南禅寺・永観堂にも歩いて行けるエリア。11月下旬は紅葉の見頃と重なるので、午前中に美術館、午後は紅葉散策というコースもおすすめです。ただし紅葉シーズンの東山は道路もバスも混み合うので、時間に余裕を持って出かけるのが◎。最寄りは京都市バスの「宮ノ前町」「東天王町」バス停です。
泉屋博古館では、2026年9月に寛永行幸400年にちなんだ展覧会も紹介しました。住友コレクションの別の顔を知りたい方はこちらもどうぞ。

関西で開催中・開催予定の美術展は、まとめページで一覧にしています。

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まとめ
- 会期:2026年10月31日(土)〜12月20日(日)、京都・鹿ヶ谷の泉屋博古館
- テーマ:住友家第15代当主・住友春翠の没後100年。近代美術との「出会い」を時系列でたどる
- 注目作:モネ《モンソー公園》(後期)、藤島武二《幸ある朝》、板谷波山の重要文化財《葆光彩磁珍果文花瓶》など
- 料金:一般1,200円・学生800円・18歳以下無料。ブロンズギャラリーも観覧可
名品そのものだけでなく、「誰がどんな思いで集めたのか」まで見えてくるのがコレクション展の面白さ。紅葉の東山歩きとあわせて、ゆっくり味わってみてください。
