こんにちは。風読珈琲店のカエデです。
「10月のWindows Updateでメモリ整合性が勝手にオンになるらしい」「古いドライバーがあるとPCが起動しなくなるって本当?」──9月以降、こんな話題をSNSやニュースでよく見かけるようになりました。
結論から言うと、ほとんどのPCは何も起きず、起動しなくなるのは「まれなケース」です。ただ、古い周辺機器やチューニングツールを使っている人は事前確認しておくと安心。この記事では、Microsoftの公式発表をもとに「何が変わるのか」「自分のPCは対象か」「万一起動しなくなったときの戻し方」を、Windowsに詳しくない人向けに整理します。
10月パッチで何が変わる?メモリ整合性の自動有効化とは

Microsoftは2026年9月、「Expanding memory integrity protection across Windows devices(メッセージセンター MC1465669)」として、2026年10月以降のWindows品質更新プログラムで、対象PCのメモリ整合性を自動でオンにしていくと発表しました。最初の配信は10月13日(日本時間10月14日)の月例更新(Patch Tuesday)です。
- メモリ整合性とは:正式名称は「HVCI(Hypervisor-protected Code Integrity)」。仮想化ベースのセキュリティ(VBS)の上で動き、Windowsの中枢(カーネル)では信頼できる署名済みのドライバー・コードしか動かさないようにする機能
- 守ってくれるもの:マルウェアがカーネルにコードを注入したり、脆弱なドライバーを悪用して権限を奪ったりする攻撃
- これまでの状況:Windows 11を新規インストールしたPCは多くが最初からオン。一方、Windows 10からアップグレードしたPCなどはオフのままのことが多かった
- 今回の変更:そうした「オフのままの対象PC」を、Windows Updateが順次オンにしていく(一斉ではなく段階的な展開)
一部のPCでは、メモリ整合性と一緒に土台となるVBSそのものも有効になります。
自分のPCは対象?自動でオンになる条件
Microsoftは、ハードウェア性能・互換性・パフォーマンスを評価して「問題なく動く」と判断したPCだけを対象にするとしています。報道で示されている目安は次のとおりです。
- CPU:Intel 第8世代以降/AMD Zen 2(Ryzen 3000系)以降/Snapdragon 8180以降
- メモリ:x64機で8GB以上
- ストレージ:64GB以上のSSD
- BIOS/UEFI:ハードウェア仮想化(Intel VT-x/AMD-V)が有効
- ドライバー:メモリ整合性と互換性のないドライバーが入っていないこと
そして大事なのが、ユーザーや管理者が自分でオフにしている場合は、勝手にオンへ戻されないという点。グループポリシーやIntune、レジストリで明示的に無効化しているPCも対象外です。「ゲームのためにわざとオフにしている」という人は、基本的にそのままで大丈夫です。
今オンかオフかの確認方法
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows セキュリティ」を開く
- 「デバイス セキュリティ」をクリック
- 「コア分離」の「コア分離の詳細」を開く
- 「メモリ整合性」のスイッチがオン/オフどちらかを確認
すでにオンなら、今回の変更で起きることは何もありません。
「起動しなくなる」は本当?起こりうる影響を冷静に整理
「起動しなくなる」という話の出どころは、Microsoft自身がまれなケースとして、互換性のないドライバーによりブルースクリーン(BSOD)や起動失敗が起きうると注意喚起していることです。ただしWindowsは有効化の前に非互換ドライバーをチェックする仕組みになっているので、多くの人にとっては「気づかないうちにオンになっていた」で終わるはずです。
影響が出やすいのは、こんな環境です。
- 古い周辺機器:何年もドライバー更新のないWebカメラ、USBオーディオインターフェース、キャプチャーボード、プリンターなど
- ハードウェア系ツール:Intel XTUなどのCPUチューニング・低電圧化ツール、ファン制御・LED制御ユーティリティなど、カーネルドライバーを使うソフト
- 古いゲームのアンチチート:更新が止まったタイトルの保護ドライバー
- パフォーマンス:新しめのCPUなら日常用途で体感差はほぼなし。ゲームでは環境によってフレームレートが数%〜十数%落ちるという検証もある
ちなみに、非互換ドライバーで止められた記録は「イベント ビューアー」→「アプリケーションとサービス ログ」→「Microsoft」→「Windows」→「CodeIntegrity」→「Operational」に残ります(イベントID 3087など)。周辺機器が急に動かなくなったら、ここを見ると原因のドライバー名がわかります。
10月14日までにやっておきたい3つの準備

- ドライバー・ユーティリティを最新に:メーカー公式サイトやWindows Updateの「オプションの更新プログラム」で、周辺機器・チップセットのドライバーを更新しておく。これが一番効く対策
- 自分で一度オンにしてみる:上の確認画面でスイッチをオンにすると、非互換ドライバーがあれば「互換性のないドライバーを確認」として一覧表示される。問題なければそのまま再起動して、普段使う機器が動くかチェック
- 回復ドライブ・バックアップを用意:万一に備えて、大事なデータのバックアップと、BitLockerを使っている場合は回復キーの控え(Microsoftアカウントのページで確認可)を手元に
どうしても使い続けたい古い機器があって非互換ドライバーが出るなら、事前に自分でオフのままにしておく(明示的に無効化する)という選択肢もあります。ただしセキュリティ面では不利になるので、ドライバー更新や機器の買い替えで解決できるならそちらがおすすめです。
Windows Updateの適用タイミングをコントロールしたい人は、下記記事も併せてご確認ください。

もし起動しなくなったら?メモリ整合性をオフに戻す方法

起動はするが周辺機器が動かない場合
「コア分離の詳細」でメモリ整合性をオフ→再起動するだけでOK。自分でオフにした設定は、以後の更新で勝手にオンに戻されません。そのうえでメーカーの新しいドライバーが出ていないか確認しましょう。
ブルースクリーンで起動できない場合(回復環境から無効化)
起動に2〜3回失敗すると、Windowsは自動的に「回復環境(WinRE)」の青い画面に入ります。Microsoftが案内している、オフラインでレジストリを書き換えて無効化する方法は次のとおりです(自信がなければ詳しい人やメーカーサポートに頼ってください)。
- 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「コマンド プロンプト」を開く(BitLockerの回復キーを求められたら入力)
regeditと入力してレジストリエディターを起動- 左側で
HKEY_LOCAL_MACHINEを選び、「ファイル」→「ハイブの読み込み」でC:\Windows\System32\config\SYSTEMを開く(名前は「OfflineSys」など任意。回復環境ではドライブ文字がC以外のことがあるので注意) OfflineSys\ControlSet001\Control\DeviceGuard\Scenarios\HypervisorEnforcedCodeIntegrityを開き、Enabledの値を 0 に変更OfflineSysを選んで「ファイル」→「ハイブのアンロード」→ 画面を閉じて「続行」でWindowsを起動
システムの復元ポイントがあれば「詳細オプション」→「システムの復元」で更新前に戻す方法もあります。いずれにしても、データが消えたわけではないので、慌ててリセット(初期化)しないことが大切です。
26H2のAI機能まわりの設定を見直したい人は、下記記事も併せてご確認ください。

会社のPCを管理するIntuneの管理画面も、2026年9月にレイアウトが大きく変わりました。

まとめ
- 2026年10月13日(日本時間14日)の月例更新から、対象PCのメモリ整合性が段階的に自動オンになる
- 対象は主にWindows 10からアップグレードしてオフのままのPC。自分でオフにしている場合は戻されない
- 「起動しなくなる」は古いドライバーが残っている場合のまれなケース。事前のドライバー更新と手動オンでのテストが有効
- 万一起動しなくなっても、回復環境からレジストリで無効化すれば戻せる。慌てて初期化しない
セキュリティ的にはオンにしておくのが正解の機能です。週末のうちに一度スイッチを確認しておけば、10月のアップデートも安心して迎えられますよ。

